不倶戴天
恵の幼馴染のお名前は?
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伏黒たちを見送って以来、自身の気持ちを抑えながら誤魔化しながら、芙蓉は家入からの仕事を片付けていた。
何かに集中していないと身動きが取れなくなりそうだった。伏黒や虎杖は、秤やパンダ、乙骨、真希ー死滅回游の平定と、獄門疆からの五条の解放、津美紀の回游離脱を実現する為に高専を出た面々がどうか無事であれと考えてばかりだ。
とは言え、デスクワークばかりでは身体が鈍ってしまう。それは狗巻も同じだった様で、顔を合わせた時には声をかけ合って体力トレーニングや筋力トレーニングを行って過ごしていた。
15日の朝8:30。芙蓉が食堂で少し遅めの朝食をとっていると、珍しく日下部が現れた。先の渋谷では特に大きなケガをする事は無かった様だった。
「飯食ってる時に悪いな、ちょいと急ぎの連絡だ」
芙蓉は箸を止めて顔を上げる。
「今日中に高専出るぞ」
「…えっ?なんで、」
「あちこちで動いてる窓から報告が上がってきてるみてぇでな。…奴さんに動きがあるとか」
「そんな、急に…」
「保険みてぇなもんだよ。何もなきゃそれでよし、なんかあったらラッキーぐらいに思っとけ。…そうじゃなきゃ命がいくつあっても足りねぇよ」
わかったな、と言い置いて日下部は食堂を出て行った。彼の話は食堂カウンターの奥にいた寮母にとっても寝耳に水だった様で、彼女の様子を察した芙蓉は早めに食事を終わらせて食堂を出、その足で医務室へ向かった。日下部の話を信じていないわけではないが、状況の確認をする為に家入を訪ねた。
「硝子さん」
「あぁ高峰、話は聞いたか?」
「日下部先生から、」
「なら状況はわかってるな」
やはり高専を出なくてはいけないのかー芙蓉が今取り扱っている書類の確認を、と告げると、家入はノートパソコンとUSBメモリを見せた。
「基本的にデータはここに入ってる。…それならわざわざファイルに綴じなくても、と思うかもしれないが、いかんせんココは古い体質なもんでな。…ペーパーが吹き飛ばされたならそれはそれで…、もしそうなったら恐らく影も形も残らないだろうがな」
妙に納得出来る言葉に芙蓉が頷くと、家入は早めに準備を済ませておく様に言い、忙しそうに医務室を出て行ってしまった。
どうしたものかと思いながら、芙蓉は寮の自室に戻った。何か持って行った方がいいのだろうかと思うも、何も思い浮かばないー芙蓉は得物のトンファーを身につけ、スマホはポケットに、スマホの充電器を小さなバッグに押し込んだ。他に持ち出す様な物は思い浮かばず、結局バッグは持たずに部屋を出た。
「あ、芙蓉ちゃん」
「…、綺羅羅さん、」
「話聞いた?一旦高専から離れるって」
「あ…はい」
綺羅羅を見れば、やや大ぶりのバッグを肩から下げていた。綺羅羅の方は手ぶらの芙蓉に目を丸くしていた。
「…何も荷物持たないの?」
「なんか…、何持って良いかわからなくて。…綺羅羅さんは何持って行くんですか?」
「あー、これ半分くらい金ちゃんの荷物なんだ。…何に使うのかわかんない様なものばっか」
しかも無駄に重いしさ、とボヤく綺羅羅に思わず芙蓉は笑った。綺羅羅も笑顔を見せる。
「なんか芙蓉ちゃん元気なくない?」
芙蓉は歩き出した綺羅羅に従う様に歩く。何処に向かっているのだろうか、皆目見当が付かない。が、綺羅羅と話をするのは良い気分転換になるかもしれないと、そのままついて行く事にした。
「…元気、ですよ…、その、…色々考えてしまって」
「あー…、伏黒くん、だっけ。そーだよねぇ、彼氏がヤバそうなトコ行ってると思ったら心配だよねぇ」
「…綺羅羅さんは、心配じゃないんですか?」
「え?」
首を傾げる綺羅羅に、芙蓉はしまった、余計な事を言ってしまったかと内心焦りを覚えた。
「あ…その、秤先輩の事」
「あぁ、金ちゃんは殺しても死なないから」
予想を上回る言葉に芙蓉は言葉に詰まった。
「え、それは…」
「んーん、マジな話、金ちゃんは殺しても死なないの。マジな話、ノッてる時はマジでそうなんだよ」
「…」
以前、乙骨も同じ事を言っていたなと思い出しながら、芙蓉は言葉を探すが、結局何も見つからずに黙っているしか出来なかった。そんな芙蓉に、自身の発言が彼女を困らせたと思った綺羅羅はごめん、と謝罪を口にした。
「心配なのはわかるけど…、自分の身を守る事も忘れない様にしなくちゃね。…さっきチラッと聞いたけど、なんか天元様もヤバいらしいんでしょ?」
そこで芙蓉はハッとしたー日下部が今朝言っていた“奴さん”とは天元を狙う羂索の事を言っていたのだと、そして天元の護衛として薨星宮に残った九十九と脹相の顔が思い浮かび、薨星宮でのやり取りを思い出した。天元は特級術師の九十九か乙骨、そして脹相のいずれか2人を自身の護衛として薨星宮に残る様に言っていた。その辺りからするに、羂索もかなりの術師であるという事で、死滅回游結界の外にいる自分達の身が安全という事ではないと、芙蓉は自身の状況を改めて認識した。
「…ちょっと先輩らしい事言わせてもらうけどさ、ヒトの心配してる場合じゃないよ、気付いた?」
綺羅羅の言葉に芙蓉は何も言えなかった。
「さっきの話も含めて言うけど、他人の“心配”を出来るのは強い奴だけだよ。…伏黒くんだって同じじゃないのかな。彼だって芙蓉ちゃんの事は心配かもしれないけど、心配してばかりもいられないんじゃない。自分だって生きなきゃならないなら尚更」
芙蓉は自身の甘さを恥じると同時に綺羅羅にありがとうございます、と頭を下げた。
「しっかりがんばらないとね」
その言葉に背を押されるように、芙蓉は確りと頷いた。
何かに集中していないと身動きが取れなくなりそうだった。伏黒や虎杖は、秤やパンダ、乙骨、真希ー死滅回游の平定と、獄門疆からの五条の解放、津美紀の回游離脱を実現する為に高専を出た面々がどうか無事であれと考えてばかりだ。
とは言え、デスクワークばかりでは身体が鈍ってしまう。それは狗巻も同じだった様で、顔を合わせた時には声をかけ合って体力トレーニングや筋力トレーニングを行って過ごしていた。
15日の朝8:30。芙蓉が食堂で少し遅めの朝食をとっていると、珍しく日下部が現れた。先の渋谷では特に大きなケガをする事は無かった様だった。
「飯食ってる時に悪いな、ちょいと急ぎの連絡だ」
芙蓉は箸を止めて顔を上げる。
「今日中に高専出るぞ」
「…えっ?なんで、」
「あちこちで動いてる窓から報告が上がってきてるみてぇでな。…奴さんに動きがあるとか」
「そんな、急に…」
「保険みてぇなもんだよ。何もなきゃそれでよし、なんかあったらラッキーぐらいに思っとけ。…そうじゃなきゃ命がいくつあっても足りねぇよ」
わかったな、と言い置いて日下部は食堂を出て行った。彼の話は食堂カウンターの奥にいた寮母にとっても寝耳に水だった様で、彼女の様子を察した芙蓉は早めに食事を終わらせて食堂を出、その足で医務室へ向かった。日下部の話を信じていないわけではないが、状況の確認をする為に家入を訪ねた。
「硝子さん」
「あぁ高峰、話は聞いたか?」
「日下部先生から、」
「なら状況はわかってるな」
やはり高専を出なくてはいけないのかー芙蓉が今取り扱っている書類の確認を、と告げると、家入はノートパソコンとUSBメモリを見せた。
「基本的にデータはここに入ってる。…それならわざわざファイルに綴じなくても、と思うかもしれないが、いかんせんココは古い体質なもんでな。…ペーパーが吹き飛ばされたならそれはそれで…、もしそうなったら恐らく影も形も残らないだろうがな」
妙に納得出来る言葉に芙蓉が頷くと、家入は早めに準備を済ませておく様に言い、忙しそうに医務室を出て行ってしまった。
どうしたものかと思いながら、芙蓉は寮の自室に戻った。何か持って行った方がいいのだろうかと思うも、何も思い浮かばないー芙蓉は得物のトンファーを身につけ、スマホはポケットに、スマホの充電器を小さなバッグに押し込んだ。他に持ち出す様な物は思い浮かばず、結局バッグは持たずに部屋を出た。
「あ、芙蓉ちゃん」
「…、綺羅羅さん、」
「話聞いた?一旦高専から離れるって」
「あ…はい」
綺羅羅を見れば、やや大ぶりのバッグを肩から下げていた。綺羅羅の方は手ぶらの芙蓉に目を丸くしていた。
「…何も荷物持たないの?」
「なんか…、何持って良いかわからなくて。…綺羅羅さんは何持って行くんですか?」
「あー、これ半分くらい金ちゃんの荷物なんだ。…何に使うのかわかんない様なものばっか」
しかも無駄に重いしさ、とボヤく綺羅羅に思わず芙蓉は笑った。綺羅羅も笑顔を見せる。
「なんか芙蓉ちゃん元気なくない?」
芙蓉は歩き出した綺羅羅に従う様に歩く。何処に向かっているのだろうか、皆目見当が付かない。が、綺羅羅と話をするのは良い気分転換になるかもしれないと、そのままついて行く事にした。
「…元気、ですよ…、その、…色々考えてしまって」
「あー…、伏黒くん、だっけ。そーだよねぇ、彼氏がヤバそうなトコ行ってると思ったら心配だよねぇ」
「…綺羅羅さんは、心配じゃないんですか?」
「え?」
首を傾げる綺羅羅に、芙蓉はしまった、余計な事を言ってしまったかと内心焦りを覚えた。
「あ…その、秤先輩の事」
「あぁ、金ちゃんは殺しても死なないから」
予想を上回る言葉に芙蓉は言葉に詰まった。
「え、それは…」
「んーん、マジな話、金ちゃんは殺しても死なないの。マジな話、ノッてる時はマジでそうなんだよ」
「…」
以前、乙骨も同じ事を言っていたなと思い出しながら、芙蓉は言葉を探すが、結局何も見つからずに黙っているしか出来なかった。そんな芙蓉に、自身の発言が彼女を困らせたと思った綺羅羅はごめん、と謝罪を口にした。
「心配なのはわかるけど…、自分の身を守る事も忘れない様にしなくちゃね。…さっきチラッと聞いたけど、なんか天元様もヤバいらしいんでしょ?」
そこで芙蓉はハッとしたー日下部が今朝言っていた“奴さん”とは天元を狙う羂索の事を言っていたのだと、そして天元の護衛として薨星宮に残った九十九と脹相の顔が思い浮かび、薨星宮でのやり取りを思い出した。天元は特級術師の九十九か乙骨、そして脹相のいずれか2人を自身の護衛として薨星宮に残る様に言っていた。その辺りからするに、羂索もかなりの術師であるという事で、死滅回游結界の外にいる自分達の身が安全という事ではないと、芙蓉は自身の状況を改めて認識した。
「…ちょっと先輩らしい事言わせてもらうけどさ、ヒトの心配してる場合じゃないよ、気付いた?」
綺羅羅の言葉に芙蓉は何も言えなかった。
「さっきの話も含めて言うけど、他人の“心配”を出来るのは強い奴だけだよ。…伏黒くんだって同じじゃないのかな。彼だって芙蓉ちゃんの事は心配かもしれないけど、心配してばかりもいられないんじゃない。自分だって生きなきゃならないなら尚更」
芙蓉は自身の甘さを恥じると同時に綺羅羅にありがとうございます、と頭を下げた。
「しっかりがんばらないとね」
その言葉に背を押されるように、芙蓉は確りと頷いた。