夏の終わり
恵の幼馴染のお名前は?
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何がどうなったのかがわからないまま、芙蓉の目の前の出来事は一旦の決着が付いたらしかった。
伏黒が頭を下げた相手ー停学中である3年のはずであるが、芙蓉の目には可愛らしい服に身を包んだ、少しヤンチャな女の子に見える。確か3年は2人とも男だという話のはずだがー芙蓉は首を傾げた。
「…あいつが綺羅羅だよ」
かけられたパンダの言葉に芙蓉は頷きながら、上手く状況が理解出来ないままではあるが伏黒の下へ向かった。
「恵、ケガはない?」
「あぁ、大丈夫だ」
「…あの、先輩…ケガは無いですか?私、治せますから…、我慢しないで言ってください」
「だいじょぶ…、ていうか今年の1年生すごくない?」
伏黒たちは綺羅羅を通じて一応は秤との接触機会を得る事が出来た。揃って秤と虎杖のいるモニタールームへ移動し始めた時、1つ下のフロアから激しい衝突音が聞こえた。慌ててそちらを見下ろせば、虎杖がモニタールームのドアから弾き出された格好となっていた。
「虎杖⁉︎」
モニタールームからは憤怒の形相をした男ー状況から察するに彼が秤なのだろう、ゆっくりと地を踏み締めながら姿を見せた。虎杖が血を拭いながら立ち上がる。
「伏黒、パンダ先輩…手ェ出すなよ」
「‼︎」
「ナメるじゃねぇか」
秤は虎杖目掛けて拳を思い切り振り抜いた。これまで殴り合いというか喧嘩というか、その様なものを間近で見た事がない芙蓉は思わず顔を背けた。出来る事ならば今すぐにでも虎杖と秤のやり取りを止めたいと、芙蓉は伏黒たちを振り返るが、誰も動こうとしない。
「…恵っ、」
呼び掛けに伏黒が芙蓉へ視線を送る。彼女の表情から察した伏黒は眉間に皺を寄せて首を振った。
「…今の悠仁は止められねぇよ。アイツの目を見ろよ」
伏黒と芙蓉のやり取りに気が付いたらしいパンダが芙蓉にそっと声を掛ける。
「でも…!」
再び虎杖が秤に殴り飛ばされる。伏黒とほぼ同じ背格好ながらもがっしりとした体躯の虎杖が壁にぶつかる様子に、芙蓉はもう見ていられないと背を向けた。
「虎杖‼︎もういい‼︎」
状況がこれ以上悪くなるのを止める様に伏黒が声を上げる。それでも虎杖は立ち上がるのをやめなかった。そんな彼に対し、少々ムキになっているのではないかと、綺羅羅に内面を突かれた秤は自身の感覚を認めた様で、伏黒たちに向け降りて来いと声を上げた。
「虎杖くん…!」
芙蓉は真っ先に虎杖の下へ向かった。痣だらけに血塗れの顔で大丈夫、ヘーキヘーキ、と笑いかける虎杖に芙蓉は複雑な表情を見せた。
「…そんな面で笑いかけられてもホラーでしかないぞ、悠仁。芙蓉の顔が引き攣ってる」
「あっごめん高峰、俺ちょっと顔洗ってくるわ」
「待って虎杖くん、まだ血が止まってない…!」
バタバタと駆け回る2人を眺めながら、伏黒はふっと安堵の息を吐いた。ひとまず最悪の事態は回避できた。秤が手を貸してくれるかはこれからの交渉次第ー伏黒は呼吸を整える様に深呼吸をした。
「マジで?五条さん封印されたの?」
先程虎杖と対峙していた時とは全く別人の様な秤の雰囲気に芙蓉は内心安堵していた。見た目はともかく、話をしてみれば思っていたよりも気さくな印象を受けるし、頭の回転も早く行動力もある。ファイトクラブを取り仕切るのも頷ける程の人物だった。
「死滅回游の平定には協力する。…勘違いすんなよ。情に流されたわけじゃねぇ、これはあくまで取引だ」
秤から提示された条件を飲む事で協力を取り付ける事に成功し、伏黒たちはこの後ー死滅回游結界へ向かうに当たり、各々の役割について話し合いを重ねた。
「…で、どーすんだよそっちの女子は?」
伏黒と虎杖が東京第一結界へ、秤とパンダが東京第二結界へ、そして綺羅羅が外での連絡役と決めたところで、秤が芙蓉を顎でしゃくって言った。その場の全員の視線が芙蓉に集まるー思わず芙蓉は口籠った。
「回游には参加させません。…綺羅羅さんと同じ、外で連絡係をさせるつもりです」
キッパリと言い切る伏黒の表情は真剣そのものだった。秤は伏黒を、芙蓉を見てふっと笑った。
「そうか。…大事にされてんな、アンタ」
「…えっ⁉︎な、ん…」
「これでも人を見る目はある方だ、見てりゃわかる」
「金ちゃん、伊達にダブってないもんね〜」
「…ソレは言う必要なくねぇか?」
そんな2人のやり取りにどう突っ込んだものかと全員が口を閉ざしていると、秤がひとつ咳払いをした。
「よっし、んじゃぼちぼち高専に行くとするか」
変な空気を断ち切る様に秤が声を上げ、立ち上がった。
「こんな真夜中に何処行こうってんだ?」
パンダの疑問に対し、秤は得意げな顔でたくさんの鍵がぶら下がったキーリングをかざして見せた。
「…秤先輩、運転出来るの⁉︎」
秤が全員を従えて向かった先は1階の奥まったスペースだった。そこには大型のバンが停まっており、秤は車を解錠してドアを開ける。声を上げたのは虎杖だった。
「…免許は大丈夫なんですか?」
伏黒が心配そうな声を上げるも、秤は運転席に乗り込むとエンジンを回す。大きなエンジン音が響く。
「まぁ細けぇ事は心配すんな、ちゃんと転がせるからその辺は安心して信用しろ。ホラ、早く乗れ」
「………」
綺羅羅がさっさと助手席に乗り込むのを横目に、全員が互いに顔を見合わせる。夜が明けるのを待って移動するより、今ここで秤が運転する車で移動した方が早いのは間違いない。パンダがよっしゃ、と声を上げた。
「考えてる時間が勿体ねぇ。腹決めて行こうぜ」
そう言うとパンダは大きな身体を懸命に縮めて最後部座席へ乗り込んだ。虎杖、伏黒、芙蓉も続いて乗り込む。
「よォーし、楽しいドライブと洒落込もうぜ!」
耳を劈き、車を揺らすような大音量と重低音の音楽が流れると同時に車が勢いよく動き出した。
伏黒が頭を下げた相手ー停学中である3年のはずであるが、芙蓉の目には可愛らしい服に身を包んだ、少しヤンチャな女の子に見える。確か3年は2人とも男だという話のはずだがー芙蓉は首を傾げた。
「…あいつが綺羅羅だよ」
かけられたパンダの言葉に芙蓉は頷きながら、上手く状況が理解出来ないままではあるが伏黒の下へ向かった。
「恵、ケガはない?」
「あぁ、大丈夫だ」
「…あの、先輩…ケガは無いですか?私、治せますから…、我慢しないで言ってください」
「だいじょぶ…、ていうか今年の1年生すごくない?」
伏黒たちは綺羅羅を通じて一応は秤との接触機会を得る事が出来た。揃って秤と虎杖のいるモニタールームへ移動し始めた時、1つ下のフロアから激しい衝突音が聞こえた。慌ててそちらを見下ろせば、虎杖がモニタールームのドアから弾き出された格好となっていた。
「虎杖⁉︎」
モニタールームからは憤怒の形相をした男ー状況から察するに彼が秤なのだろう、ゆっくりと地を踏み締めながら姿を見せた。虎杖が血を拭いながら立ち上がる。
「伏黒、パンダ先輩…手ェ出すなよ」
「‼︎」
「ナメるじゃねぇか」
秤は虎杖目掛けて拳を思い切り振り抜いた。これまで殴り合いというか喧嘩というか、その様なものを間近で見た事がない芙蓉は思わず顔を背けた。出来る事ならば今すぐにでも虎杖と秤のやり取りを止めたいと、芙蓉は伏黒たちを振り返るが、誰も動こうとしない。
「…恵っ、」
呼び掛けに伏黒が芙蓉へ視線を送る。彼女の表情から察した伏黒は眉間に皺を寄せて首を振った。
「…今の悠仁は止められねぇよ。アイツの目を見ろよ」
伏黒と芙蓉のやり取りに気が付いたらしいパンダが芙蓉にそっと声を掛ける。
「でも…!」
再び虎杖が秤に殴り飛ばされる。伏黒とほぼ同じ背格好ながらもがっしりとした体躯の虎杖が壁にぶつかる様子に、芙蓉はもう見ていられないと背を向けた。
「虎杖‼︎もういい‼︎」
状況がこれ以上悪くなるのを止める様に伏黒が声を上げる。それでも虎杖は立ち上がるのをやめなかった。そんな彼に対し、少々ムキになっているのではないかと、綺羅羅に内面を突かれた秤は自身の感覚を認めた様で、伏黒たちに向け降りて来いと声を上げた。
「虎杖くん…!」
芙蓉は真っ先に虎杖の下へ向かった。痣だらけに血塗れの顔で大丈夫、ヘーキヘーキ、と笑いかける虎杖に芙蓉は複雑な表情を見せた。
「…そんな面で笑いかけられてもホラーでしかないぞ、悠仁。芙蓉の顔が引き攣ってる」
「あっごめん高峰、俺ちょっと顔洗ってくるわ」
「待って虎杖くん、まだ血が止まってない…!」
バタバタと駆け回る2人を眺めながら、伏黒はふっと安堵の息を吐いた。ひとまず最悪の事態は回避できた。秤が手を貸してくれるかはこれからの交渉次第ー伏黒は呼吸を整える様に深呼吸をした。
「マジで?五条さん封印されたの?」
先程虎杖と対峙していた時とは全く別人の様な秤の雰囲気に芙蓉は内心安堵していた。見た目はともかく、話をしてみれば思っていたよりも気さくな印象を受けるし、頭の回転も早く行動力もある。ファイトクラブを取り仕切るのも頷ける程の人物だった。
「死滅回游の平定には協力する。…勘違いすんなよ。情に流されたわけじゃねぇ、これはあくまで取引だ」
秤から提示された条件を飲む事で協力を取り付ける事に成功し、伏黒たちはこの後ー死滅回游結界へ向かうに当たり、各々の役割について話し合いを重ねた。
「…で、どーすんだよそっちの女子は?」
伏黒と虎杖が東京第一結界へ、秤とパンダが東京第二結界へ、そして綺羅羅が外での連絡役と決めたところで、秤が芙蓉を顎でしゃくって言った。その場の全員の視線が芙蓉に集まるー思わず芙蓉は口籠った。
「回游には参加させません。…綺羅羅さんと同じ、外で連絡係をさせるつもりです」
キッパリと言い切る伏黒の表情は真剣そのものだった。秤は伏黒を、芙蓉を見てふっと笑った。
「そうか。…大事にされてんな、アンタ」
「…えっ⁉︎な、ん…」
「これでも人を見る目はある方だ、見てりゃわかる」
「金ちゃん、伊達にダブってないもんね〜」
「…ソレは言う必要なくねぇか?」
そんな2人のやり取りにどう突っ込んだものかと全員が口を閉ざしていると、秤がひとつ咳払いをした。
「よっし、んじゃぼちぼち高専に行くとするか」
変な空気を断ち切る様に秤が声を上げ、立ち上がった。
「こんな真夜中に何処行こうってんだ?」
パンダの疑問に対し、秤は得意げな顔でたくさんの鍵がぶら下がったキーリングをかざして見せた。
「…秤先輩、運転出来るの⁉︎」
秤が全員を従えて向かった先は1階の奥まったスペースだった。そこには大型のバンが停まっており、秤は車を解錠してドアを開ける。声を上げたのは虎杖だった。
「…免許は大丈夫なんですか?」
伏黒が心配そうな声を上げるも、秤は運転席に乗り込むとエンジンを回す。大きなエンジン音が響く。
「まぁ細けぇ事は心配すんな、ちゃんと転がせるからその辺は安心して信用しろ。ホラ、早く乗れ」
「………」
綺羅羅がさっさと助手席に乗り込むのを横目に、全員が互いに顔を見合わせる。夜が明けるのを待って移動するより、今ここで秤が運転する車で移動した方が早いのは間違いない。パンダがよっしゃ、と声を上げた。
「考えてる時間が勿体ねぇ。腹決めて行こうぜ」
そう言うとパンダは大きな身体を懸命に縮めて最後部座席へ乗り込んだ。虎杖、伏黒、芙蓉も続いて乗り込む。
「よォーし、楽しいドライブと洒落込もうぜ!」
耳を劈き、車を揺らすような大音量と重低音の音楽が流れると同時に車が勢いよく動き出した。