夏の終わり
恵の幼馴染のお名前は?
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「お、いたいた」
「パンダ先輩。…芙蓉も一緒だったか、良かった」
虎杖とパンダの試合を観ていた伏黒、恐らくパンダからの接触があるだろうと踏んでいた。
「そうか、悠仁は秤と接触できそうなんだな」
伏黒は観客席で入手した情報を共有した。パンダと試合をした虎杖が秤の目に止まり、直接会える事となったらしかった。そしてそこで伏黒はパンダがまだ秤と接触出来ていない事に疑問を持った。
「居場所は分かってんだけどな。屋上にあるモニタールーム、そこが定位置だ。…でもなぁ、近づけないんだ」
「近づけない?」
伏黒と芙蓉は顔を見合わせた。パンダが言うには秤の同期でもう1人の3年・星綺羅羅の術式のせいではないかという。
「…それって綺羅羅さんが部屋にいる時だけに起こる現象ですか?」
「分からん。秤と綺羅羅が一緒じゃない時がない。深追いして逃げ回られるよりはと思って客寄せパンダに徹してたんだ。良かったよ、お前らが来てくれて」
伏黒は難しい顔をした。
「…どうですかね。虎杖はうまく説得できると思いますか?」
「…厳しいな、悠仁よりも秤の問題だ」
率直な意見に伏黒は唸った。
「でも時間次第とも思ってるよ。悠仁の根明で人たらしな性格は秤と相性いいと思う。でもアイツ嘘下手だろ」
「下手っていうか…嘘をつくって発想が出にくいタイプですね。ある程度指示は出してますよ」
「だがまぁ悠仁が高専関係者って事がすぐバレたとして、ろくに話もせず部屋からつまみ出されたら仲間に割って入られるのが一番良くない」
芙蓉は黙って頷きながら話を聞いていた。
「つーわけで俺は悠仁が部屋に入った時点で、アジトを速攻コッソリ制圧、ドアの前固めて2人が話す時間稼ぐべきだと思う」
「いや、それは…」
大胆なパンダのアイディアに伏黒が難色を見せる。
「大丈夫、殺すわけじゃない、寝ててもらうだけだよ」
「防犯カメラがありますよ?交渉の場がモニタールームじゃバレずになんて、」
「カメラの位置と死角は把握してる。それに俺の方は多少見られても問題ない。わりとウロついてるし…、まともな術師は秤と綺羅羅だけだしな」
「見張りの人数は?」
「入口4、屋上以外の各フロア2だ」
「…いけますね」
伏黒はパンダのアイディアに可能性を見出した。
「…懸念事項は綺羅羅さんの術式ですね」
「それはもう仕方ない。ワープのように悠仁を出したり仲間を入れたりできる場合、秤の説得は諦めよう」
「…問題は虎杖くんと秤先輩がいつ接触するかですね」
「そーなんだよ、そこがなぁ…」
これからの方針展開は決まり、パンダに現状及び今後の動きについての話をして時間を潰したものの、動き出すタイミングが掴めない。芙蓉とパンダはため息を吐く。
時刻は午前1時を回ろうとしていた。
「!…虎杖からだ」
伏黒のスマホにメッセージアプリを通じて送られてきた文章ー1時ちょうどに入れそう。
「行くぞ」
伏黒の言葉を合図に動き出す。伏黒とパンダの2人が1階からアジトの制圧、芙蓉は作戦が失敗となった際の退路として屋上へ繋がる非常階段の確保をする事となった。非常階段にはカメラがないという事から、芙蓉はパンダと共に屋上を目指していく。
「じゃ、頼んだぞ」
パンダが出ていくのを見送り、芙蓉はドアを閉めた。
カメラがないという事は、基本的にこの場所を通る人がいないという事なのだろう、薄暗くカビっぽい臭いが鼻をつく。向き不向き、適材適所ーそんな言葉が芙蓉の脳裏を過ぎ、思わずため息が出ていた。
元々最初に扱った術式は反転術式、反転でなければ順転術式と言うのが正しいのだろうか、自分が扱える術式は鏡の壁を発現させる事。高専に入ってから出会った人達からの助けもあって、どうにかここまで上手くやってきた。何処でどう変わってしまったのか、自身が想像していた世界は一気に思いもしない方向へと変わり果て、痛いくらいに自身の無力さを突き付けられ、自分を見失いそうになった。それでも今ここにいるのは、偏に伏黒のおかげだと言って間違いはなかった。
彼が自身の手を離さずにいてくれたから、役割を与えてくれたからー芙蓉は自身の両頬を張った。
乾いた音、ヒリつく頬、微かに手に残る痺れ。考えるのは止そう、芙蓉は深呼吸をした。伏黒に寄りかかってばかりではいけない、この後の事を考えておかなくては。
と、ドアの向こうで伏黒の呪力が膨れ上がるのを感じたー思わぬ形で衝突が起こったのだろう事がわかったが、自身の存在は極力隠しておくようにと伏黒に言われていた芙蓉は逡巡した。
どうすべきかー芙蓉はスマホで時間を確認した。虎杖が部屋に入れそうと言っていた1時は20分を過ぎている。10分ー10分経ったらドアを開けて覗いてみよう。何も無ければ良し、何かあれば伏黒とパンダに加勢する。
そう決めたーはずだったが、やはり自分だけ何もせずに待っているだけなんて、そう思うと居ても立っても居られないー芙蓉は扉を開けた。
「芙蓉!南十字座の星はいくつだ⁉︎」
顔を見るなり、伏黒は芙蓉に声をかけた。切迫した状況である事は窺えるものの、突然の事に芙蓉は困惑した。
「えっ…?一般的には、4つ…?」
「…だよなぁ…」
「あ、…でも、」
伏黒とパンダの視線が芙蓉に集まる。
「南十字座の側に1つ星があって、その5つで」
「それだ!」
芙蓉の言葉に食い気味に伏黒が声を上げる。伏黒はパンダに何某か話をすると、2人は揃って駆け出した。
「芙蓉はそこを動くなよ!」
ただ伏黒の言葉に従う他、芙蓉は何も出来なかった。
「パンダ先輩。…芙蓉も一緒だったか、良かった」
虎杖とパンダの試合を観ていた伏黒、恐らくパンダからの接触があるだろうと踏んでいた。
「そうか、悠仁は秤と接触できそうなんだな」
伏黒は観客席で入手した情報を共有した。パンダと試合をした虎杖が秤の目に止まり、直接会える事となったらしかった。そしてそこで伏黒はパンダがまだ秤と接触出来ていない事に疑問を持った。
「居場所は分かってんだけどな。屋上にあるモニタールーム、そこが定位置だ。…でもなぁ、近づけないんだ」
「近づけない?」
伏黒と芙蓉は顔を見合わせた。パンダが言うには秤の同期でもう1人の3年・星綺羅羅の術式のせいではないかという。
「…それって綺羅羅さんが部屋にいる時だけに起こる現象ですか?」
「分からん。秤と綺羅羅が一緒じゃない時がない。深追いして逃げ回られるよりはと思って客寄せパンダに徹してたんだ。良かったよ、お前らが来てくれて」
伏黒は難しい顔をした。
「…どうですかね。虎杖はうまく説得できると思いますか?」
「…厳しいな、悠仁よりも秤の問題だ」
率直な意見に伏黒は唸った。
「でも時間次第とも思ってるよ。悠仁の根明で人たらしな性格は秤と相性いいと思う。でもアイツ嘘下手だろ」
「下手っていうか…嘘をつくって発想が出にくいタイプですね。ある程度指示は出してますよ」
「だがまぁ悠仁が高専関係者って事がすぐバレたとして、ろくに話もせず部屋からつまみ出されたら仲間に割って入られるのが一番良くない」
芙蓉は黙って頷きながら話を聞いていた。
「つーわけで俺は悠仁が部屋に入った時点で、アジトを速攻コッソリ制圧、ドアの前固めて2人が話す時間稼ぐべきだと思う」
「いや、それは…」
大胆なパンダのアイディアに伏黒が難色を見せる。
「大丈夫、殺すわけじゃない、寝ててもらうだけだよ」
「防犯カメラがありますよ?交渉の場がモニタールームじゃバレずになんて、」
「カメラの位置と死角は把握してる。それに俺の方は多少見られても問題ない。わりとウロついてるし…、まともな術師は秤と綺羅羅だけだしな」
「見張りの人数は?」
「入口4、屋上以外の各フロア2だ」
「…いけますね」
伏黒はパンダのアイディアに可能性を見出した。
「…懸念事項は綺羅羅さんの術式ですね」
「それはもう仕方ない。ワープのように悠仁を出したり仲間を入れたりできる場合、秤の説得は諦めよう」
「…問題は虎杖くんと秤先輩がいつ接触するかですね」
「そーなんだよ、そこがなぁ…」
これからの方針展開は決まり、パンダに現状及び今後の動きについての話をして時間を潰したものの、動き出すタイミングが掴めない。芙蓉とパンダはため息を吐く。
時刻は午前1時を回ろうとしていた。
「!…虎杖からだ」
伏黒のスマホにメッセージアプリを通じて送られてきた文章ー1時ちょうどに入れそう。
「行くぞ」
伏黒の言葉を合図に動き出す。伏黒とパンダの2人が1階からアジトの制圧、芙蓉は作戦が失敗となった際の退路として屋上へ繋がる非常階段の確保をする事となった。非常階段にはカメラがないという事から、芙蓉はパンダと共に屋上を目指していく。
「じゃ、頼んだぞ」
パンダが出ていくのを見送り、芙蓉はドアを閉めた。
カメラがないという事は、基本的にこの場所を通る人がいないという事なのだろう、薄暗くカビっぽい臭いが鼻をつく。向き不向き、適材適所ーそんな言葉が芙蓉の脳裏を過ぎ、思わずため息が出ていた。
元々最初に扱った術式は反転術式、反転でなければ順転術式と言うのが正しいのだろうか、自分が扱える術式は鏡の壁を発現させる事。高専に入ってから出会った人達からの助けもあって、どうにかここまで上手くやってきた。何処でどう変わってしまったのか、自身が想像していた世界は一気に思いもしない方向へと変わり果て、痛いくらいに自身の無力さを突き付けられ、自分を見失いそうになった。それでも今ここにいるのは、偏に伏黒のおかげだと言って間違いはなかった。
彼が自身の手を離さずにいてくれたから、役割を与えてくれたからー芙蓉は自身の両頬を張った。
乾いた音、ヒリつく頬、微かに手に残る痺れ。考えるのは止そう、芙蓉は深呼吸をした。伏黒に寄りかかってばかりではいけない、この後の事を考えておかなくては。
と、ドアの向こうで伏黒の呪力が膨れ上がるのを感じたー思わぬ形で衝突が起こったのだろう事がわかったが、自身の存在は極力隠しておくようにと伏黒に言われていた芙蓉は逡巡した。
どうすべきかー芙蓉はスマホで時間を確認した。虎杖が部屋に入れそうと言っていた1時は20分を過ぎている。10分ー10分経ったらドアを開けて覗いてみよう。何も無ければ良し、何かあれば伏黒とパンダに加勢する。
そう決めたーはずだったが、やはり自分だけ何もせずに待っているだけなんて、そう思うと居ても立っても居られないー芙蓉は扉を開けた。
「芙蓉!南十字座の星はいくつだ⁉︎」
顔を見るなり、伏黒は芙蓉に声をかけた。切迫した状況である事は窺えるものの、突然の事に芙蓉は困惑した。
「えっ…?一般的には、4つ…?」
「…だよなぁ…」
「あ、…でも、」
伏黒とパンダの視線が芙蓉に集まる。
「南十字座の側に1つ星があって、その5つで」
「それだ!」
芙蓉の言葉に食い気味に伏黒が声を上げる。伏黒はパンダに何某か話をすると、2人は揃って駆け出した。
「芙蓉はそこを動くなよ!」
ただ伏黒の言葉に従う他、芙蓉は何も出来なかった。