出会い
恵の幼馴染のお名前は?
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伏黒の隣の部屋を宛てがわれた芙蓉は、千浪が届けた荷物を部屋に置きがてら中を確認する。日常生活において足りない物は無さそうーしっかり宿題のテキストも入っていた。ひと息つく間もなく、とりあえず筆記用具を持って先程の部屋に戻る。
部屋では五条と伏黒が待っていた。芙蓉は胡座をかいた伏黒の隣に体育座りで落ち着いた。
「さて、と。…まずは恵。何か気になる事、変わった事はないかい?」
掴みどころのない質問に、伏黒は内心辟易した。具体性がなさすぎて、何をどう答えればいいかまったくわからない。この人は呪術師としての才は尊敬できるのだが、人間としてはどうにもーそんな余計な事を考えながら伏黒が暫し黙ったままでいると、五条が不機嫌そうにまた口を開く。
「え〜仕方ないなぁ、じゃあヒント!芙蓉!」
芙蓉に関して、何か気になる事、変わった事ー伏黒は自身の隣にちょこんと座る幼馴染みに視線を向ける。芙蓉も合宿、という事はー
「…呪力、ですか」
「当ったりぃー!さっすが恵!」
芙蓉はまだ術式が使えないー伏黒にはそんな思い込みもあって、五条から言われるまで気が付かなかったのだが、改めて注意を向けると、なるほど感じられる呪力が夏休み前とはかなり変化している。
「…何かあったんですか」
「うん。いきなり反転術式使ったの。午前中」
「は…?」
突拍子過ぎて信じられない、という表情の伏黒。反転術式は誰でも使えるものではないと、自身に教えたのは誰だったか。通常の術式ー順転よりも繊細な呪力操作が必要で、況してやアウトプット出来るなんて至難の業だと。それが、まだ術式もわからない芙蓉が使ったとは。
隣の芙蓉は蚊帳の外の扱いで、何処となく居心地の悪さを感じているように膝を抱えて小さくなっている。
「で、芙蓉にはこれから呪力の扱い方を覚えてもらおうと思ってね。このまま外歩いたら、今まで以上に呪霊を呼ぶ事になりそうだからね」
急に自分の話になり、芙蓉は顔を上げた。その顔は不安に満ちている。
「じゃ、僕はこれから準備してくるから、恵、芙蓉に基本的な事教えといて」
伏黒が反論しようと口を開くよりも早く、五条はさっさと部屋を出て行ってしまった。
「ったく…」
はぁっとため息をつくと、伏黒は芙蓉に向き直り、芙蓉が持って来た筆記用具を手に取ってノートにペンを走らせる。“人間”“負の感情”“呪い”の言葉をフローチャートの様に書き並べた。
「まず、ガキの頃から俺たちが見えてた“アレ”は呪霊。…呪いが集まった成れの果て、みたいな感じか。で、この呪いが何処から来るかっていうと、人間から。ストレスとか後悔とか、人間から流れ出た負の感情が呪いになるってワケだ」
伏黒が書いた図を示しながらの説明に頷く芙蓉。
「…さっき話してた、術式っていうのは?」
「それは呪術師の話になるんだが…」
伏黒は淡々と説明を進める。呪いの力を自在に操り、呪いを祓う事が出来る者が呪術師。呪術師が操る呪いの力を術式と言うこと。その術式は誰もが持っているものではないということ。
「…私にも術式ってあるのかな?」
「反転術式ができたっていうし、呪いも見えるって事で可能性はあるな。それに、芙蓉の両親が五条家と高峰家の出身だからな」
「そう…。ね、さっき悟くんが言ってた、反転術式っていうのは?」
「呪力が負の力っていうのはさっき言ったよな。負の力をそのまま使うのが順転、負の力と負の力を掛け合わせて正の力を生み出す事が反転」
「…よくわかんない…?」
「俺は反転術式をできるわけじゃないからな。だから理屈としてしか説明のしようがない。…むしろどうやったのか俺が聞きたいくらいだ」
言いながら伏黒は、芙蓉はそれを無意識に発動させたんだよなー首を傾げてノートを見返す彼女を眺める。真剣な表情の芙蓉に、伏黒は目を奪われていた。
「…恵?どうかした?」
視線を感じたのか、顔を上げた芙蓉と目が合う。伏黒は言葉を飲み込んだ。初めて見る表情ではないのに、特に何かが大きく変わったわけでもないのに、ほんの少し会わなかっただけで、こんなにも雰囲気が変わるものだろうかー女らしい、と思った。しかしそんな事を本人に言って良いものか、変わったのは自分なのか。今までに感じた事のない気持ちがぐるぐる回り出し、伏黒は何も言えないままでいた。
「お待た!準備できたよ〜」
スパンと小気味良い音がして襖が勢いよく開かれる。驚く芙蓉と、思考が中断されなんだかムカつく、と眉間に皺を寄せる伏黒。
「ビックリしたぁ…」
「はは、ごめんごめん。早速行くよ〜」
「どこ行くの?」
心なしか不安気な表情の芙蓉と、この日は1日フリーなはずの伏黒は五条に背中を押されるように部屋から連れ出される。
「…呪いや術式、呪術師っていうのがどんな存在か、説明するよりも見てもらった方が早いと思うからね」
部屋では五条と伏黒が待っていた。芙蓉は胡座をかいた伏黒の隣に体育座りで落ち着いた。
「さて、と。…まずは恵。何か気になる事、変わった事はないかい?」
掴みどころのない質問に、伏黒は内心辟易した。具体性がなさすぎて、何をどう答えればいいかまったくわからない。この人は呪術師としての才は尊敬できるのだが、人間としてはどうにもーそんな余計な事を考えながら伏黒が暫し黙ったままでいると、五条が不機嫌そうにまた口を開く。
「え〜仕方ないなぁ、じゃあヒント!芙蓉!」
芙蓉に関して、何か気になる事、変わった事ー伏黒は自身の隣にちょこんと座る幼馴染みに視線を向ける。芙蓉も合宿、という事はー
「…呪力、ですか」
「当ったりぃー!さっすが恵!」
芙蓉はまだ術式が使えないー伏黒にはそんな思い込みもあって、五条から言われるまで気が付かなかったのだが、改めて注意を向けると、なるほど感じられる呪力が夏休み前とはかなり変化している。
「…何かあったんですか」
「うん。いきなり反転術式使ったの。午前中」
「は…?」
突拍子過ぎて信じられない、という表情の伏黒。反転術式は誰でも使えるものではないと、自身に教えたのは誰だったか。通常の術式ー順転よりも繊細な呪力操作が必要で、況してやアウトプット出来るなんて至難の業だと。それが、まだ術式もわからない芙蓉が使ったとは。
隣の芙蓉は蚊帳の外の扱いで、何処となく居心地の悪さを感じているように膝を抱えて小さくなっている。
「で、芙蓉にはこれから呪力の扱い方を覚えてもらおうと思ってね。このまま外歩いたら、今まで以上に呪霊を呼ぶ事になりそうだからね」
急に自分の話になり、芙蓉は顔を上げた。その顔は不安に満ちている。
「じゃ、僕はこれから準備してくるから、恵、芙蓉に基本的な事教えといて」
伏黒が反論しようと口を開くよりも早く、五条はさっさと部屋を出て行ってしまった。
「ったく…」
はぁっとため息をつくと、伏黒は芙蓉に向き直り、芙蓉が持って来た筆記用具を手に取ってノートにペンを走らせる。“人間”“負の感情”“呪い”の言葉をフローチャートの様に書き並べた。
「まず、ガキの頃から俺たちが見えてた“アレ”は呪霊。…呪いが集まった成れの果て、みたいな感じか。で、この呪いが何処から来るかっていうと、人間から。ストレスとか後悔とか、人間から流れ出た負の感情が呪いになるってワケだ」
伏黒が書いた図を示しながらの説明に頷く芙蓉。
「…さっき話してた、術式っていうのは?」
「それは呪術師の話になるんだが…」
伏黒は淡々と説明を進める。呪いの力を自在に操り、呪いを祓う事が出来る者が呪術師。呪術師が操る呪いの力を術式と言うこと。その術式は誰もが持っているものではないということ。
「…私にも術式ってあるのかな?」
「反転術式ができたっていうし、呪いも見えるって事で可能性はあるな。それに、芙蓉の両親が五条家と高峰家の出身だからな」
「そう…。ね、さっき悟くんが言ってた、反転術式っていうのは?」
「呪力が負の力っていうのはさっき言ったよな。負の力をそのまま使うのが順転、負の力と負の力を掛け合わせて正の力を生み出す事が反転」
「…よくわかんない…?」
「俺は反転術式をできるわけじゃないからな。だから理屈としてしか説明のしようがない。…むしろどうやったのか俺が聞きたいくらいだ」
言いながら伏黒は、芙蓉はそれを無意識に発動させたんだよなー首を傾げてノートを見返す彼女を眺める。真剣な表情の芙蓉に、伏黒は目を奪われていた。
「…恵?どうかした?」
視線を感じたのか、顔を上げた芙蓉と目が合う。伏黒は言葉を飲み込んだ。初めて見る表情ではないのに、特に何かが大きく変わったわけでもないのに、ほんの少し会わなかっただけで、こんなにも雰囲気が変わるものだろうかー女らしい、と思った。しかしそんな事を本人に言って良いものか、変わったのは自分なのか。今までに感じた事のない気持ちがぐるぐる回り出し、伏黒は何も言えないままでいた。
「お待た!準備できたよ〜」
スパンと小気味良い音がして襖が勢いよく開かれる。驚く芙蓉と、思考が中断されなんだかムカつく、と眉間に皺を寄せる伏黒。
「ビックリしたぁ…」
「はは、ごめんごめん。早速行くよ〜」
「どこ行くの?」
心なしか不安気な表情の芙蓉と、この日は1日フリーなはずの伏黒は五条に背中を押されるように部屋から連れ出される。
「…呪いや術式、呪術師っていうのがどんな存在か、説明するよりも見てもらった方が早いと思うからね」