夏の終わり
恵の幼馴染のお名前は?
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天元との接触を果たし、加茂憲倫ー羂索の目的、獄門疆の解き方についての情報を聞き出す事に成功した。津美紀を死滅回游から離脱させる方法、そして五条の封印を解く方法に関してのキーパーソンとなる“天使”を名乗る術師の存在を知らされ、死滅回游の平定及び津美紀の離脱と並行して“天使”と接触し、五条の封印解除を目的とする事が確定した。
九十九と脹相を天元の護衛として薨星宮へ残し、2人を除いた一行は地上へと戻る。
「高峰さん、大丈夫?…何処か、具合でも悪い?」
黙ったままの芙蓉に気が付いた乙骨が声を掛け、気遣う。芙蓉はゆるゆると首を振り、大丈夫です、ありがとうございます、と頭を下げた。
「くれぐれも無理はしないようにね。…津美紀さんには時間がないからね、僕はもう行くよ」
「そうだな。私もそろそろ行く。オマエらも頼んだぞ」
乙骨は死滅回游の仙台結界へ、真希は呪具を求めて禪院家へ、そして虎杖と伏黒は停学中の3年に協力を仰ぐ為に栃木へ出向く事となった。
「芙蓉、」
伏黒の言葉に芙蓉は一瞬戸惑った様な表情を見せるも頷いた。津美紀の為にも立ち止まっている時間はないー芙蓉は虎杖と伏黒の後を追った。
虎杖と乙骨、脹相が高専に戻って来たのが11月8日深夜、天元と接触したのが翌9日午前。虎杖、伏黒、芙蓉の3人が高専を出立したのは午後、あちこち煩雑な物事に追われた上に日没の早い季節。途中、少し休もうと3人は荒廃したビルの屋上へ落ち着いた。わざわざ悪い場所を選んだのは混乱している一般人を避ける為、屋上を選んだのは周囲がよく見えるという事、いざという時に逃げやすいという事、等。3人は手分けして火を起こすのに使えそうな廃材を探した。時折冷たい風が吹き抜けるも、起こした火が幾分寒さを和らげてくれた。
廃材を探し歩いていた際、虎杖が近くの荒れ果てたコンビニから軽食を持って来ていて、3人で分け合って簡単に食事を済ませる。
焚き火とは不思議なもので、見つめていると誰も口を開かなくなる。拝火教、というものが生まれたのも理解出来る気がするーなどと思った伏黒はスマホで時刻を確認する。21時を回っていた。
「…交代で少し休もう。全員で起きてたって仕方ない」
「時間はどれくらい?」
「…とりあえず2時間交代にしよう。あまり負担にならないようにした方が良いだろう」
伏黒の言葉の後、少し考えていたらしい芙蓉が順番についてだけど、と口を開く。
「私が2番目に見張りでもいいかな?…最初に虎杖くんか恵に起きててもらって、2時間後に私が起きれば、2人は連続で4時間は眠れるでしょ?」
「や、でも高峰だって疲れてるだろ」
「私は大丈夫。…戦力的に私が一番下だし、2人にしっかり休んでもらった方が良いと思うから」
「芙蓉、」
「決まりね!先に寝かせてもらうね」
芙蓉を気遣う伏黒を振り切るように、芙蓉は焚き火から少し離れた場所に移動すると2人に背を向けて横になった。声のトーンを抑えた伏黒と虎杖の話し合う声を聞きながら、こんな固い地面に横になって眠気を催すなんてだいぶ疲れていたのかな、と芙蓉は他人事の様に思った。自身の想定よりも早い睡魔の訪れに抗う事なく、ウトウトと芙蓉が微睡み始めた時、身体に何かが掛けられる感覚、暖かさを感じたと同時に伏黒の匂いがした。
先に寝るのは伏黒に決まったらしい。芙蓉が重くなった瞼を少しだけ開けるとぼんやりと伏黒が見えた。
眠気に引き込まれながら芙蓉が笑うと、伏黒も僅かに笑った。半ば寝息を立てている芙蓉の頬をするりと撫で、伏黒も身体を横たえた。
制服のポケットに入れておいたスマホがブルブルと振動し、芙蓉に時間を知らせる。アラームをセットした時間は22:55。伸びをして縮こまった身体を動かし、ゆっくりと起き上がる。
眠る前よりも少し火の小さくなった焚き火の方を見れば、虎杖が退屈そうに欠伸を溢したところだった。
「虎杖くん、お疲れさま」
虎杖の側へ近付き、声をかけた。
「あれ、もうそんな時間?」
「うん、代わるよ。ゆっくり休んで」
「サンキュー」
人好きのする笑顔を見せると、虎杖は焚き火を挟んで伏黒と反対の場所に横になった。大の字に寝たと思えばものの数分で虎杖の鼾が聞こえ、芙蓉は小さく笑った。
反対側では伏黒が背を向けて眠っていた。対照的な2人だからこそ上手く付き合っていけるのだろうなと結論付けると同時に、芙蓉の脳裏に釘崎の笑顔が浮かんだ。
あの件の後、芙蓉は一度だけ釘崎と対面する事が出来た。伏黒と真希、狗巻の無事が判明したものの、虎杖は行方不明、高専に運ばれているはずの釘崎の姿は見ていない。彼女はどうなったのかと芙蓉はしつこく家入に問い質し食い下がり、漸く対面を果たす事が出来た。
額から顔の左半分を包帯で覆われ、ベッドに横たわる釘崎はただ眠っているだけで、今にも起き上がるのではないかと思えるくらいに顔色が良かった。
「…硝子さん、…、野薔薇、は」
「…わからない」
芙蓉は無表情で家入を振り返った。
「…心肺停止状態で、通常ならば死亡判定が出される状態だが、体温も維持されているし、瞳孔散大も見られていない。…術式で身体の状態を保持しているとはいえ、こんな状態は私も扱った経験がないからな」
「っ!」
芙蓉は自身の内に沈んでいた意識を慌てて引き上げた。近くで何かが動く気配を感じた。忙しなく辺りを見回して警戒するも異常は無さそうだとわかり、息を吐く。
芙蓉は静かに立ち上がり、ビルの淵に立った。空を見れば月はなく、星の瞬きがよく見える。視線を地上へと動かせば、東京とは思えない程に荒廃した景色が広がる。
本当に世界が変わってしまったのだと、現実とは思えない現実を突きつけられ、芙蓉は無意識に胸元のネックレスを服の上から握り締めていた。
「芙蓉」
呼ばれた声に反射的に振り返ると、いつの間に起きたのだろうか、伏黒が彼女を見つめていた。
九十九と脹相を天元の護衛として薨星宮へ残し、2人を除いた一行は地上へと戻る。
「高峰さん、大丈夫?…何処か、具合でも悪い?」
黙ったままの芙蓉に気が付いた乙骨が声を掛け、気遣う。芙蓉はゆるゆると首を振り、大丈夫です、ありがとうございます、と頭を下げた。
「くれぐれも無理はしないようにね。…津美紀さんには時間がないからね、僕はもう行くよ」
「そうだな。私もそろそろ行く。オマエらも頼んだぞ」
乙骨は死滅回游の仙台結界へ、真希は呪具を求めて禪院家へ、そして虎杖と伏黒は停学中の3年に協力を仰ぐ為に栃木へ出向く事となった。
「芙蓉、」
伏黒の言葉に芙蓉は一瞬戸惑った様な表情を見せるも頷いた。津美紀の為にも立ち止まっている時間はないー芙蓉は虎杖と伏黒の後を追った。
虎杖と乙骨、脹相が高専に戻って来たのが11月8日深夜、天元と接触したのが翌9日午前。虎杖、伏黒、芙蓉の3人が高専を出立したのは午後、あちこち煩雑な物事に追われた上に日没の早い季節。途中、少し休もうと3人は荒廃したビルの屋上へ落ち着いた。わざわざ悪い場所を選んだのは混乱している一般人を避ける為、屋上を選んだのは周囲がよく見えるという事、いざという時に逃げやすいという事、等。3人は手分けして火を起こすのに使えそうな廃材を探した。時折冷たい風が吹き抜けるも、起こした火が幾分寒さを和らげてくれた。
廃材を探し歩いていた際、虎杖が近くの荒れ果てたコンビニから軽食を持って来ていて、3人で分け合って簡単に食事を済ませる。
焚き火とは不思議なもので、見つめていると誰も口を開かなくなる。拝火教、というものが生まれたのも理解出来る気がするーなどと思った伏黒はスマホで時刻を確認する。21時を回っていた。
「…交代で少し休もう。全員で起きてたって仕方ない」
「時間はどれくらい?」
「…とりあえず2時間交代にしよう。あまり負担にならないようにした方が良いだろう」
伏黒の言葉の後、少し考えていたらしい芙蓉が順番についてだけど、と口を開く。
「私が2番目に見張りでもいいかな?…最初に虎杖くんか恵に起きててもらって、2時間後に私が起きれば、2人は連続で4時間は眠れるでしょ?」
「や、でも高峰だって疲れてるだろ」
「私は大丈夫。…戦力的に私が一番下だし、2人にしっかり休んでもらった方が良いと思うから」
「芙蓉、」
「決まりね!先に寝かせてもらうね」
芙蓉を気遣う伏黒を振り切るように、芙蓉は焚き火から少し離れた場所に移動すると2人に背を向けて横になった。声のトーンを抑えた伏黒と虎杖の話し合う声を聞きながら、こんな固い地面に横になって眠気を催すなんてだいぶ疲れていたのかな、と芙蓉は他人事の様に思った。自身の想定よりも早い睡魔の訪れに抗う事なく、ウトウトと芙蓉が微睡み始めた時、身体に何かが掛けられる感覚、暖かさを感じたと同時に伏黒の匂いがした。
先に寝るのは伏黒に決まったらしい。芙蓉が重くなった瞼を少しだけ開けるとぼんやりと伏黒が見えた。
眠気に引き込まれながら芙蓉が笑うと、伏黒も僅かに笑った。半ば寝息を立てている芙蓉の頬をするりと撫で、伏黒も身体を横たえた。
制服のポケットに入れておいたスマホがブルブルと振動し、芙蓉に時間を知らせる。アラームをセットした時間は22:55。伸びをして縮こまった身体を動かし、ゆっくりと起き上がる。
眠る前よりも少し火の小さくなった焚き火の方を見れば、虎杖が退屈そうに欠伸を溢したところだった。
「虎杖くん、お疲れさま」
虎杖の側へ近付き、声をかけた。
「あれ、もうそんな時間?」
「うん、代わるよ。ゆっくり休んで」
「サンキュー」
人好きのする笑顔を見せると、虎杖は焚き火を挟んで伏黒と反対の場所に横になった。大の字に寝たと思えばものの数分で虎杖の鼾が聞こえ、芙蓉は小さく笑った。
反対側では伏黒が背を向けて眠っていた。対照的な2人だからこそ上手く付き合っていけるのだろうなと結論付けると同時に、芙蓉の脳裏に釘崎の笑顔が浮かんだ。
あの件の後、芙蓉は一度だけ釘崎と対面する事が出来た。伏黒と真希、狗巻の無事が判明したものの、虎杖は行方不明、高専に運ばれているはずの釘崎の姿は見ていない。彼女はどうなったのかと芙蓉はしつこく家入に問い質し食い下がり、漸く対面を果たす事が出来た。
額から顔の左半分を包帯で覆われ、ベッドに横たわる釘崎はただ眠っているだけで、今にも起き上がるのではないかと思えるくらいに顔色が良かった。
「…硝子さん、…、野薔薇、は」
「…わからない」
芙蓉は無表情で家入を振り返った。
「…心肺停止状態で、通常ならば死亡判定が出される状態だが、体温も維持されているし、瞳孔散大も見られていない。…術式で身体の状態を保持しているとはいえ、こんな状態は私も扱った経験がないからな」
「っ!」
芙蓉は自身の内に沈んでいた意識を慌てて引き上げた。近くで何かが動く気配を感じた。忙しなく辺りを見回して警戒するも異常は無さそうだとわかり、息を吐く。
芙蓉は静かに立ち上がり、ビルの淵に立った。空を見れば月はなく、星の瞬きがよく見える。視線を地上へと動かせば、東京とは思えない程に荒廃した景色が広がる。
本当に世界が変わってしまったのだと、現実とは思えない現実を突きつけられ、芙蓉は無意識に胸元のネックレスを服の上から握り締めていた。
「芙蓉」
呼ばれた声に反射的に振り返ると、いつの間に起きたのだろうか、伏黒が彼女を見つめていた。