夏の終わり
恵の幼馴染のお名前は?
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虎杖と今後の方針についての話が纏まり、高専へ戻ろうと動き出す中、芙蓉が不安を口にした。
「…さっきの話、天元様の結界…何か良い方法はないのかな?…だって、1,000以上の扉があるんでしょう?」
「…その“隠す”結界とやら」
「ひっ…!」
「なんとかなるかもしれんぞ」
闇の中から人の顔が音もなく現れ、芙蓉は飛び上がって驚きの悲鳴を上げた。
「聞いてたんですね」
突然現れた人物に警戒する伏黒、その伏黒の背中に飛び付いて隠れる芙蓉に、心なしか明るい表情の乙骨。
「どういう事だ脹相」
虎杖と乙骨の様子を見、敵ではない事を確認すると伏黒と芙蓉は警戒を解き、話に耳を傾ける。
「以前、真人が宿儺の指と俺たち呪胎九相図を盗み出しただろう。それと同じ事をする」
具体的に話が固まり、5人は高専へ向けて移動を始めた。先頭に伏黒と乙骨、虎杖、芙蓉、脹相の順に歩いていく。伏黒と乙骨は初見では無い事もあってか、何某か話をしている。そんな2人と虎杖の背中を見ながら歩いていた芙蓉は近くの虎杖に声を掛けた。
「虎杖くん、身体は大丈夫?ケガはない?」
「ん、あぁ、…乙骨先輩が全部治してくれた感じでさ。全然だいじょぶ。俺、元々頑丈だし」
笑顔を見せる虎杖とは対照的に、芙蓉の表情は何かを思い詰めた様に、固い。
「…高峰?」
「あの、さっき…、虎杖くん、“宿儺が恵で何かを企んでる”って言ってたけど…、あれってどう言う事…?」
芙蓉の言葉に虎杖はあー、どう言えゃいいかな、などと言いながら頭を掻いた。
「…今、俺ん中に宿儺がいるわけだけど、お互い何してるかっていうのがわかるんだよ。…宿儺に身体の主導権取られた時もなんだけどさ。見えるし聞こえるんだけど、身体だけは動かねぇ感じでさ」
「…金縛り、みたいな感じ?」
「あー、何となくそーいう感じかも。…渋谷で宿儺に身体取られた時さ、…アイツ、伏黒の事を助けたんだよ。伏黒にやってもらう事があるとかなんとか言ってさ。傲慢で、…人の命を何とも思ってない奴がさ。だから、伏黒繋がりで高峰も気を付け」
突然虎杖が口を噤んだ。口元に手を当て、何かを考えている様だ。どうしたの、と首を傾げて芙蓉が声を掛ければ、珍しく歯切れの悪い虎杖。
「…ごめん」
「えっ、何?」
「…少年院で、高峰にケガさせたろ。謝ってなかったって思って…、ホント、ごめん」
虎杖の言葉に芙蓉は目を丸くした。
「虎杖くんが謝るのはおかしいよ。あの時私にケガさせたのは宿儺でしょ?虎杖くんは悪くないじゃない」
乙骨に言われた事を芙蓉にも言われ、虎杖は俯いた。
「…虎杖くんは人を傷つけるような人じゃないってわかってるし、虎杖くんと宿儺は別の存在でしょ?」
「…それはそう、だけど…、結局のところ、俺が宿儺を抑えられなかったから、」
「仮にそうだったとしても、虎杖くんのせいじゃないと思う。人を傷つけるのは宿儺、宿儺が悪いよ」
終わりの見えない押し問答を聞いていた伏黒、乙骨は幾分緩んだ表情で2人を振り返り、後ろを歩いていた脹相は虎杖の隣に並んでいた。
「…そういう事だ、虎杖」
「僕も同じ事言ったんだけどね、やっぱりクラスメイトから言われた方が響くよね。…ていうか高峰さん、意外とハッキリ言う人なんだね…、ちょっと驚いたな」
「術師歴は短いですが、結構肝は据わってますよ」
「恵…、そんな風に思ってたの?」
「術師としての話だ。…負けず嫌いだしな」
「負けず嫌いなのは大事な事だよ」
芙蓉が伏黒と乙骨の輪に加わるの見送った虎杖、隣を歩く脹相に労われる様に肩を叩かれた。
「…良い仲間だな」
「あぁ、ホント感謝しかねぇよ」
「さすがは俺の弟、お兄ちゃんとして誇らしいぞ」
「……」
無事高専に戻った一行は真希、九十九との再会と合流を果たし、今後の方針の道標としての天元と接触する事となった。脹相の提案通りに彼が弟たちと呼ぶ九相図の呪力を辿り、薨星宮へ向かう。
本殿まであと少しの場所で、芙蓉は立ち止まった。
「どうした?ビビってんのか?」
揶揄うような真希の声を懐かしく思うのと同時に、自分はここに居て良いのだろうかと自問する芙蓉。
「あ…、私も、行っていいのかな、って…」
「ここまで来て何言ってんだ」
「話を聞いて、どうするかを判断しても十分だろう」
真希と伏黒の言葉を受けて芙蓉は止まった足を動かし始める。それを見た伏黒は、自身の想像以上に芙蓉が術師として悩み、心身共に深く傷付き、自信を失いかけているのかもしれないと思った。術師として歩む事を無理強いは出来ないが、現状彼女の為に何か出来る事は、側にいてやる事しか無さそうだと伏黒は思っていた。しかし伏黒としては姉の津美紀をどうあっても死滅回游から助け出したい、それに関しては芙蓉も理解しているだろう。が、今こうして術師としてすべき事を模索する事は芙蓉の想いを無視している事になるのではないかという葛藤もあった。伏黒は歩く速さを落とし、芙蓉に並ぶ。
「…大丈夫か?…休みなしでずっと動きっぱなしだったよな…、無理をさせてすまない」
「ううん、…大丈夫」
虎杖と再会した事もあってか、虎杖と乙骨を探しに高専を出る前よりも、表情はずっと良い。
「私にも出来る事があるなら、やらない後悔はしたくない…って、思ってるから」
「…。無理は、するなよ」
少しだけ笑顔を見せ、頷く芙蓉。久しぶりに穏やかな顔の芙蓉を見た気がしたー伏黒は自分が思っている以上に芙蓉は強くなっていて、先程の葛藤が小さくなり始めた事に気が付いた。そして、もしかしたら自身の考察は間違いかもしれないというのを伏黒は感じ始めていた。
「…さっきの話、天元様の結界…何か良い方法はないのかな?…だって、1,000以上の扉があるんでしょう?」
「…その“隠す”結界とやら」
「ひっ…!」
「なんとかなるかもしれんぞ」
闇の中から人の顔が音もなく現れ、芙蓉は飛び上がって驚きの悲鳴を上げた。
「聞いてたんですね」
突然現れた人物に警戒する伏黒、その伏黒の背中に飛び付いて隠れる芙蓉に、心なしか明るい表情の乙骨。
「どういう事だ脹相」
虎杖と乙骨の様子を見、敵ではない事を確認すると伏黒と芙蓉は警戒を解き、話に耳を傾ける。
「以前、真人が宿儺の指と俺たち呪胎九相図を盗み出しただろう。それと同じ事をする」
具体的に話が固まり、5人は高専へ向けて移動を始めた。先頭に伏黒と乙骨、虎杖、芙蓉、脹相の順に歩いていく。伏黒と乙骨は初見では無い事もあってか、何某か話をしている。そんな2人と虎杖の背中を見ながら歩いていた芙蓉は近くの虎杖に声を掛けた。
「虎杖くん、身体は大丈夫?ケガはない?」
「ん、あぁ、…乙骨先輩が全部治してくれた感じでさ。全然だいじょぶ。俺、元々頑丈だし」
笑顔を見せる虎杖とは対照的に、芙蓉の表情は何かを思い詰めた様に、固い。
「…高峰?」
「あの、さっき…、虎杖くん、“宿儺が恵で何かを企んでる”って言ってたけど…、あれってどう言う事…?」
芙蓉の言葉に虎杖はあー、どう言えゃいいかな、などと言いながら頭を掻いた。
「…今、俺ん中に宿儺がいるわけだけど、お互い何してるかっていうのがわかるんだよ。…宿儺に身体の主導権取られた時もなんだけどさ。見えるし聞こえるんだけど、身体だけは動かねぇ感じでさ」
「…金縛り、みたいな感じ?」
「あー、何となくそーいう感じかも。…渋谷で宿儺に身体取られた時さ、…アイツ、伏黒の事を助けたんだよ。伏黒にやってもらう事があるとかなんとか言ってさ。傲慢で、…人の命を何とも思ってない奴がさ。だから、伏黒繋がりで高峰も気を付け」
突然虎杖が口を噤んだ。口元に手を当て、何かを考えている様だ。どうしたの、と首を傾げて芙蓉が声を掛ければ、珍しく歯切れの悪い虎杖。
「…ごめん」
「えっ、何?」
「…少年院で、高峰にケガさせたろ。謝ってなかったって思って…、ホント、ごめん」
虎杖の言葉に芙蓉は目を丸くした。
「虎杖くんが謝るのはおかしいよ。あの時私にケガさせたのは宿儺でしょ?虎杖くんは悪くないじゃない」
乙骨に言われた事を芙蓉にも言われ、虎杖は俯いた。
「…虎杖くんは人を傷つけるような人じゃないってわかってるし、虎杖くんと宿儺は別の存在でしょ?」
「…それはそう、だけど…、結局のところ、俺が宿儺を抑えられなかったから、」
「仮にそうだったとしても、虎杖くんのせいじゃないと思う。人を傷つけるのは宿儺、宿儺が悪いよ」
終わりの見えない押し問答を聞いていた伏黒、乙骨は幾分緩んだ表情で2人を振り返り、後ろを歩いていた脹相は虎杖の隣に並んでいた。
「…そういう事だ、虎杖」
「僕も同じ事言ったんだけどね、やっぱりクラスメイトから言われた方が響くよね。…ていうか高峰さん、意外とハッキリ言う人なんだね…、ちょっと驚いたな」
「術師歴は短いですが、結構肝は据わってますよ」
「恵…、そんな風に思ってたの?」
「術師としての話だ。…負けず嫌いだしな」
「負けず嫌いなのは大事な事だよ」
芙蓉が伏黒と乙骨の輪に加わるの見送った虎杖、隣を歩く脹相に労われる様に肩を叩かれた。
「…良い仲間だな」
「あぁ、ホント感謝しかねぇよ」
「さすがは俺の弟、お兄ちゃんとして誇らしいぞ」
「……」
無事高専に戻った一行は真希、九十九との再会と合流を果たし、今後の方針の道標としての天元と接触する事となった。脹相の提案通りに彼が弟たちと呼ぶ九相図の呪力を辿り、薨星宮へ向かう。
本殿まであと少しの場所で、芙蓉は立ち止まった。
「どうした?ビビってんのか?」
揶揄うような真希の声を懐かしく思うのと同時に、自分はここに居て良いのだろうかと自問する芙蓉。
「あ…、私も、行っていいのかな、って…」
「ここまで来て何言ってんだ」
「話を聞いて、どうするかを判断しても十分だろう」
真希と伏黒の言葉を受けて芙蓉は止まった足を動かし始める。それを見た伏黒は、自身の想像以上に芙蓉が術師として悩み、心身共に深く傷付き、自信を失いかけているのかもしれないと思った。術師として歩む事を無理強いは出来ないが、現状彼女の為に何か出来る事は、側にいてやる事しか無さそうだと伏黒は思っていた。しかし伏黒としては姉の津美紀をどうあっても死滅回游から助け出したい、それに関しては芙蓉も理解しているだろう。が、今こうして術師としてすべき事を模索する事は芙蓉の想いを無視している事になるのではないかという葛藤もあった。伏黒は歩く速さを落とし、芙蓉に並ぶ。
「…大丈夫か?…休みなしでずっと動きっぱなしだったよな…、無理をさせてすまない」
「ううん、…大丈夫」
虎杖と再会した事もあってか、虎杖と乙骨を探しに高専を出る前よりも、表情はずっと良い。
「私にも出来る事があるなら、やらない後悔はしたくない…って、思ってるから」
「…。無理は、するなよ」
少しだけ笑顔を見せ、頷く芙蓉。久しぶりに穏やかな顔の芙蓉を見た気がしたー伏黒は自分が思っている以上に芙蓉は強くなっていて、先程の葛藤が小さくなり始めた事に気が付いた。そして、もしかしたら自身の考察は間違いかもしれないというのを伏黒は感じ始めていた。