夏の終わり
恵の幼馴染のお名前は?
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虎杖を見送ってから、どれだけ時間が経っただろうか。
芙蓉は人影の減ってきた通りを見回しながら、肩で大きく息をする。これ程までに長く実践で動くのは初めてかもしれないと思いながら、乱れた呼吸を整えていく。
「いくら、こんぶ」
「…はい、…大丈夫、です。…あと少し、やれます」
狗巻の喉もだいぶ荒れているようで、声がだいぶ枯れてきている。互いに互いを気遣いながら、もう少しでひと段落出来そうな状況に、2人は改めて気を引き締める。
歩き出す狗巻に芙蓉も続こうとした時。
「っ…⁈」
腹部にツキリと痛みを覚え、芙蓉は腹部を押さえて足を止めた。今まで経験した事のない痛みだった。無数の針で突かれているような、火傷のような痛み。
突然立ち止まった芙蓉を狗巻が振り返って見ていた。
「すじこ?」
狗巻は心配そうに芙蓉の顔を覗き込む。自分の身体に一体何が起きているのかと芙蓉が思った途端に痛みは治まり、芙蓉は酷く困惑した。
「すみません…、大丈夫です、…?」
相変わらず心配そうな顔の狗巻だったが、確りと背を伸ばして立つ芙蓉の姿に納得したように、彼は芙蓉を気にしながらも再び歩き出した。狗巻の後を追いながら、芙蓉は身体の異変を案じたー今のは、何?
辺りを警戒しながら、腹部の状態に気を向けるも何とも無い。さっきの痛みは気のせいだったのだろうかと考えるが、薄気味悪い。何だか嫌な感じがすると思いながら、芙蓉は狗巻の後を追う。あと少しで渋谷駅近くの掃討が完了するのだと、芙蓉は自身を奮い立たせた。
「じゃげ!」
濁声の狗巻は咳き込みながらも芙蓉を振り返り、親指を立てて見せた。先程片付けたのが最後だったようで、辺りは静寂が立ち込めていた。
「先輩、これからどうしましょうか?」
喉薬を飲み、幾分喉の調子良くなったらしい狗巻はある方向を指差した。
「しゃけ、いくら」
「そうですね、たぶんそれ程遠くには行ってないと思います。日下部先生は近くを巡回するって言ってましたし。…あ、先輩、少し良いですか?」
歩き出そうとする狗巻の背に芙蓉は手を添えた。
「私が倒れても先輩は大丈夫だと思いますけど、先輩が倒れちゃったら私、どうしようもなくなるんで」
「おかか」
「…そう簡単に倒れるつもりはないですけどね」
狗巻の回復が済むと、2人は日下部とパンダに状況の確認と共有を目的に、最初に配置された場所近くを目指して歩き出した。こんなにも人気のない渋谷は不気味だと芙蓉は辺りを見回しながら歩く。
「棘!芙蓉!無事か!」
声を上げたのはパンダだった。芙蓉は思っていたよりもすぐ日下部とパンダに再会出来た事に少々驚いた。狗巻は淡々と日下部に状況を説明していくーメトロ渋谷駅周辺の人造人間の掃討及び民間人の屋内避難を完了させた事、そして、五条悟が封印されたらしい事。
「眉唾だと思ってたんだがなぁ」
「こんぶ」
「いや、お前を信用してねぇわけじゃねぇ。…こう、辺りの気配が複雑過ぎるからな、もうわけわからん」
何か考える様に日下部は腕組みをして黙り込んだ。
「…狗巻と高峰は引き続きペアで動け」
日下部の言葉に芙蓉が返事をしようとした瞬間、再びあの痛みが芙蓉の腹部を襲う。最初に感じた程度とは比較にならない程の強い痛みだった。
「っおい、どうした⁉︎」
腹部を襲う痛みに耐え切れず、突然蹲った芙蓉に驚いた日下部は声を上げた。
「すじこ!」
「芙蓉、大丈夫か⁉︎」
灼熱感という表現が正しいのか疼痛と言うべきなのか、もうそんな事などわからないくらいの痛みだった。そんな中でも芙蓉は痛みに飲み込まれないようにと、懸命に呼吸を整える。2人と1匹が右往左往している内に、落ち着きを取り戻した芙蓉はゆっくりと立ち上がった。
「…すみま、せん、…大丈夫、です」
「嘘だろ芙蓉、無理すんなよ」
心配そうにパンダが言うも、芙蓉は首を横に振った。痛みがなくなったわけではなく、慣れただけなのかもしれないが、動けないわけじゃない。芙蓉がそう伝えれば、日下部は渋い顔をした。
「んな事言ったってなぁ…」
状況がわからない状況に日下部は眉を顰める。
「…大丈夫です…、命に関わる事じゃないはずなので」
痛みに耐えながら芙蓉が告げた通り、この痛みは自身の命を脅かすものではないと感じていた。傷を負って出血するように体力を奪われるわけでもなく、呪力を奪われるような事もない。ただ痛むだけなのだ。原因は今のところわからないが、その痛みに飲み込まれないように気持ちを強く持てば良いだけの事。くっと歯を噛み締め、芙蓉は身体に力を入れ、深呼吸をした。少しだけ痛みが大人しくなった気がした。
「…本当に大丈夫なんだな?」
怪訝そうに日下部が絞り出すように言う。狗巻もパンダも芙蓉の様子を気遣わしげに見ていた。
「はい。…大丈夫です。動けます」
「わかった。…んじゃ、さっき言った通りにな。狗巻、高峰を頼むぞ」
「しゃけ」
「パンダは引き続き俺と行動だ」
「あいよォ」
二手に分かれ、それぞれ行動を再開する。狗巻の後を追う芙蓉を日下部が呼び止めた。
「死ぬんじゃねェぞ」
「!…はい!」
芙蓉の返事に満足そうな顔をした日下部は、彼女に背を向けて歩き出した。その背に深く頭を下げ、芙蓉は狗巻を追いかけた。
芙蓉は人影の減ってきた通りを見回しながら、肩で大きく息をする。これ程までに長く実践で動くのは初めてかもしれないと思いながら、乱れた呼吸を整えていく。
「いくら、こんぶ」
「…はい、…大丈夫、です。…あと少し、やれます」
狗巻の喉もだいぶ荒れているようで、声がだいぶ枯れてきている。互いに互いを気遣いながら、もう少しでひと段落出来そうな状況に、2人は改めて気を引き締める。
歩き出す狗巻に芙蓉も続こうとした時。
「っ…⁈」
腹部にツキリと痛みを覚え、芙蓉は腹部を押さえて足を止めた。今まで経験した事のない痛みだった。無数の針で突かれているような、火傷のような痛み。
突然立ち止まった芙蓉を狗巻が振り返って見ていた。
「すじこ?」
狗巻は心配そうに芙蓉の顔を覗き込む。自分の身体に一体何が起きているのかと芙蓉が思った途端に痛みは治まり、芙蓉は酷く困惑した。
「すみません…、大丈夫です、…?」
相変わらず心配そうな顔の狗巻だったが、確りと背を伸ばして立つ芙蓉の姿に納得したように、彼は芙蓉を気にしながらも再び歩き出した。狗巻の後を追いながら、芙蓉は身体の異変を案じたー今のは、何?
辺りを警戒しながら、腹部の状態に気を向けるも何とも無い。さっきの痛みは気のせいだったのだろうかと考えるが、薄気味悪い。何だか嫌な感じがすると思いながら、芙蓉は狗巻の後を追う。あと少しで渋谷駅近くの掃討が完了するのだと、芙蓉は自身を奮い立たせた。
「じゃげ!」
濁声の狗巻は咳き込みながらも芙蓉を振り返り、親指を立てて見せた。先程片付けたのが最後だったようで、辺りは静寂が立ち込めていた。
「先輩、これからどうしましょうか?」
喉薬を飲み、幾分喉の調子良くなったらしい狗巻はある方向を指差した。
「しゃけ、いくら」
「そうですね、たぶんそれ程遠くには行ってないと思います。日下部先生は近くを巡回するって言ってましたし。…あ、先輩、少し良いですか?」
歩き出そうとする狗巻の背に芙蓉は手を添えた。
「私が倒れても先輩は大丈夫だと思いますけど、先輩が倒れちゃったら私、どうしようもなくなるんで」
「おかか」
「…そう簡単に倒れるつもりはないですけどね」
狗巻の回復が済むと、2人は日下部とパンダに状況の確認と共有を目的に、最初に配置された場所近くを目指して歩き出した。こんなにも人気のない渋谷は不気味だと芙蓉は辺りを見回しながら歩く。
「棘!芙蓉!無事か!」
声を上げたのはパンダだった。芙蓉は思っていたよりもすぐ日下部とパンダに再会出来た事に少々驚いた。狗巻は淡々と日下部に状況を説明していくーメトロ渋谷駅周辺の人造人間の掃討及び民間人の屋内避難を完了させた事、そして、五条悟が封印されたらしい事。
「眉唾だと思ってたんだがなぁ」
「こんぶ」
「いや、お前を信用してねぇわけじゃねぇ。…こう、辺りの気配が複雑過ぎるからな、もうわけわからん」
何か考える様に日下部は腕組みをして黙り込んだ。
「…狗巻と高峰は引き続きペアで動け」
日下部の言葉に芙蓉が返事をしようとした瞬間、再びあの痛みが芙蓉の腹部を襲う。最初に感じた程度とは比較にならない程の強い痛みだった。
「っおい、どうした⁉︎」
腹部を襲う痛みに耐え切れず、突然蹲った芙蓉に驚いた日下部は声を上げた。
「すじこ!」
「芙蓉、大丈夫か⁉︎」
灼熱感という表現が正しいのか疼痛と言うべきなのか、もうそんな事などわからないくらいの痛みだった。そんな中でも芙蓉は痛みに飲み込まれないようにと、懸命に呼吸を整える。2人と1匹が右往左往している内に、落ち着きを取り戻した芙蓉はゆっくりと立ち上がった。
「…すみま、せん、…大丈夫、です」
「嘘だろ芙蓉、無理すんなよ」
心配そうにパンダが言うも、芙蓉は首を横に振った。痛みがなくなったわけではなく、慣れただけなのかもしれないが、動けないわけじゃない。芙蓉がそう伝えれば、日下部は渋い顔をした。
「んな事言ったってなぁ…」
状況がわからない状況に日下部は眉を顰める。
「…大丈夫です…、命に関わる事じゃないはずなので」
痛みに耐えながら芙蓉が告げた通り、この痛みは自身の命を脅かすものではないと感じていた。傷を負って出血するように体力を奪われるわけでもなく、呪力を奪われるような事もない。ただ痛むだけなのだ。原因は今のところわからないが、その痛みに飲み込まれないように気持ちを強く持てば良いだけの事。くっと歯を噛み締め、芙蓉は身体に力を入れ、深呼吸をした。少しだけ痛みが大人しくなった気がした。
「…本当に大丈夫なんだな?」
怪訝そうに日下部が絞り出すように言う。狗巻もパンダも芙蓉の様子を気遣わしげに見ていた。
「はい。…大丈夫です。動けます」
「わかった。…んじゃ、さっき言った通りにな。狗巻、高峰を頼むぞ」
「しゃけ」
「パンダは引き続き俺と行動だ」
「あいよォ」
二手に分かれ、それぞれ行動を再開する。狗巻の後を追う芙蓉を日下部が呼び止めた。
「死ぬんじゃねェぞ」
「!…はい!」
芙蓉の返事に満足そうな顔をした日下部は、彼女に背を向けて歩き出した。その背に深く頭を下げ、芙蓉は狗巻を追いかけた。