夏の終わり
恵の幼馴染のお名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
2018年、10月31日水曜日。高専の学生達はこの日も任務に出たり校内で鍛錬を積んだり、各々がやるべき事に向き合っていた。夕方の時分には学生は皆高専に戻って来ており、週のど真ん中という事もあって放課後に出かけようとする生徒は居なかった。
1年の4人は久しぶりに揃って食堂で少し早めの夕飯をとっていた。パンダの発案で、皆で集まってハロウィンパーティーをする予定になっていた。パーティーと言っても、お菓子や飲み物を持ち寄ってのいつもの集まりである。食堂のテレビは夕方のニュース番組を流しており、渋谷のハロウィンの賑わいを中継していた。
「すっげ〜、渋谷ってこんなに人が集まんの⁈」
「…見てるだけで人酔いしそうだ」
「人多くて歩けないんじゃない?」
「こんなんじゃ買い物どころじゃなさそうね」
テレビが流す様子にそれぞれがひと言ずつ呟くと、虎杖がふと思い付いたように口を開いた。
「なぁなぁ伏黒、ハロウィンて何なの?」
「…ひと言で説明出来るような話じゃない。自分で調べた方がわかるんじゃないか」
「それが面倒だから聞いたんだけど」
「………」
「確かアイルランドが発祥のお祭だったよね、恵?」
芙蓉の言葉に虎杖が嬉しそうに、伏黒を見て興味深げに目を輝かせ、伏黒はやれやれと息を吐く。
「古代ケルト人の暦では10月31日が節目、この世とあの世の境界が一番曖昧になる日らしい。…日本で言うお盆、みたいなもんか」
「それがなんでコスプレなのよ?」
様々なコスチュームに身を包み、テレビカメラに向けてピースサインをしている人々を見ながら釘崎が尋ねる。
「本来は悪霊を驚かして追い払う為の仮装らしい。他にも新年の始まりを祝う前夜祭だとか、聖人への感謝祭だとか言われてるらしいが、どれが正解かは知らん」
「へぇ〜。あ、伏黒、お茶飲む?」
「…お前ホントに話聞いてたか?」
時刻は18:30を回り、1年の4人が共有スペースに集まり、持ち寄った飲み物やお菓子をテーブルに広げ、虎杖と伏黒は狗巻に声をかけてパンダを呼びに行き、釘崎と芙蓉は真希を呼びに寮の2階へ向かう。共有スペースに全員が揃ったのは18:50になる頃だった。
「おせェぞパンダ」
「いやー、悪い悪い、まさみちと話し込んじまってよ」
「それはそれで気になるけどな」
「高菜」
「まぁまぁ、とりあえずおっ始めようぜ〜」
それぞれが紙コップに好きな飲み物を注ぎ、乾杯、とコップを掲げ、ハロウィンパーティーが始まった。
テーブルに広がったお菓子を摘みながら、取り止めのない話で盛り上がる。
「良かった、皆さんお揃いで」
その場にいた誰のものでもない声が聞こえて、一同は口を噤んでそちらを振り返った。
「恐れ入りますが、緊急の召集がかかりました」
青い顔をした男性補助監督は、全員の視線を受け止めながら努めて事務的に告げる。こちらへお願いします、と丁寧ながら有無を言わさぬ言葉に、全員は戸惑いの色を滲ませながら立ち上がった。
移動した先は鍛錬場だった。スマホで忙しくやり取りをしている伊地知、普段よりも険しい顔の夜蛾が他の補助監督に何かしら指示を出している。集まった面々が只事ではないとハッキリ理解したのは、2年の担任・日下部が七海と真剣な顔で話をしているところへ、普段高専へ姿を見せる機会が少ない冥冥が現れた時だった。
学生が集まり、高専を拠点に活動している術師が凡そ集まったところで夜蛾が口を開く。時刻は19:25。
「足労、感謝する。時間がない、端的に伝える。19時、渋谷に何者かによって帳が降ろされた」
「⁉︎」
「東急百貨店、東急東横店を中心に、半径およそ400mの帳が降ろされたとの報告が入っています」
「取り急ぎ現場に向かってもらいたい」
詳細な説明はなく、準1級である狗巻を除いた学生達は1級術師である七海、冥冥、日下部、禪院家当主の直毘人を中心とした4班に割られ、それぞれ指示された地点へと移動。七海、伏黒、猪野は都心メトロ渋谷駅13番出口へ、直毘人、真希、釘崎は渋谷マークシティレストランアベニュー入口へ、日下部、パンダ、芙蓉はJL渋谷駅新南口へと派遣された。冥冥とその弟・憂憂と行動を共にする事となった虎杖は少々離れた青山霊園へ、それぞれ現場にて待機となる。
その後の調査や検証により、この帳を降ろしたのは京都校交流会の際、高専に襲撃を仕掛けてきた連中と同一犯だろうという事が推察され、五条に狙いを定めている事が判明した。
駅前のガードレールに寄りかかり、芙蓉は日下部とパンダの話に黙って耳を傾け、2人の話が一旦止まったところで声を上げた。
「あの、狗巻先輩ってどこに派遣されたんですか?」
「狗巻なら遊撃手と斥候を兼ねてあちこち動いてるはずだ。…もう1級に手が届きそうな奴だからな、1人でも上手いこと切り抜けられんだろ」
「なんだ芙蓉〜、恵から浮気かァ〜?」
「っ、違いますよ…、準1級の術師として、どんな役割が与えられてるのか、少し気になって、」
「あぁ、パンダはともかく、お前は昇級査定中なんだったな。1級は大変だぞ〜?」
「そんなビビらせんなよ、日下部ェ。なァ芙蓉?」
「そもそもお前、昇級にゃあんま前向きじゃなかったって話らしいじゃねぇか。どういう風の吹き回しだ?」
忙しなく辺りを警戒していた芙蓉の目がパンダを、続いて日下部を捉える。2人とも興味深げに芙蓉の言葉を待つように彼女を見ていた。
「等級はあまり関係ないとは思うんですが…、強くなりたいんです。…生き残る為に」
「ハッ、命あっての物種、尤もな理由だ」
それは絶対忘れんじゃねェぞ、と日下部は大きく伸びをした。そして辺りを巡回するかと歩き出せば、パンダと芙蓉も彼に従って歩き出す。時計の針は間も無く20:30を回ろうとしていた。
今回の首謀者にターゲットとされた五条が渋谷に到着したと連絡が来たのは歩き出した直後だった。
1年の4人は久しぶりに揃って食堂で少し早めの夕飯をとっていた。パンダの発案で、皆で集まってハロウィンパーティーをする予定になっていた。パーティーと言っても、お菓子や飲み物を持ち寄ってのいつもの集まりである。食堂のテレビは夕方のニュース番組を流しており、渋谷のハロウィンの賑わいを中継していた。
「すっげ〜、渋谷ってこんなに人が集まんの⁈」
「…見てるだけで人酔いしそうだ」
「人多くて歩けないんじゃない?」
「こんなんじゃ買い物どころじゃなさそうね」
テレビが流す様子にそれぞれがひと言ずつ呟くと、虎杖がふと思い付いたように口を開いた。
「なぁなぁ伏黒、ハロウィンて何なの?」
「…ひと言で説明出来るような話じゃない。自分で調べた方がわかるんじゃないか」
「それが面倒だから聞いたんだけど」
「………」
「確かアイルランドが発祥のお祭だったよね、恵?」
芙蓉の言葉に虎杖が嬉しそうに、伏黒を見て興味深げに目を輝かせ、伏黒はやれやれと息を吐く。
「古代ケルト人の暦では10月31日が節目、この世とあの世の境界が一番曖昧になる日らしい。…日本で言うお盆、みたいなもんか」
「それがなんでコスプレなのよ?」
様々なコスチュームに身を包み、テレビカメラに向けてピースサインをしている人々を見ながら釘崎が尋ねる。
「本来は悪霊を驚かして追い払う為の仮装らしい。他にも新年の始まりを祝う前夜祭だとか、聖人への感謝祭だとか言われてるらしいが、どれが正解かは知らん」
「へぇ〜。あ、伏黒、お茶飲む?」
「…お前ホントに話聞いてたか?」
時刻は18:30を回り、1年の4人が共有スペースに集まり、持ち寄った飲み物やお菓子をテーブルに広げ、虎杖と伏黒は狗巻に声をかけてパンダを呼びに行き、釘崎と芙蓉は真希を呼びに寮の2階へ向かう。共有スペースに全員が揃ったのは18:50になる頃だった。
「おせェぞパンダ」
「いやー、悪い悪い、まさみちと話し込んじまってよ」
「それはそれで気になるけどな」
「高菜」
「まぁまぁ、とりあえずおっ始めようぜ〜」
それぞれが紙コップに好きな飲み物を注ぎ、乾杯、とコップを掲げ、ハロウィンパーティーが始まった。
テーブルに広がったお菓子を摘みながら、取り止めのない話で盛り上がる。
「良かった、皆さんお揃いで」
その場にいた誰のものでもない声が聞こえて、一同は口を噤んでそちらを振り返った。
「恐れ入りますが、緊急の召集がかかりました」
青い顔をした男性補助監督は、全員の視線を受け止めながら努めて事務的に告げる。こちらへお願いします、と丁寧ながら有無を言わさぬ言葉に、全員は戸惑いの色を滲ませながら立ち上がった。
移動した先は鍛錬場だった。スマホで忙しくやり取りをしている伊地知、普段よりも険しい顔の夜蛾が他の補助監督に何かしら指示を出している。集まった面々が只事ではないとハッキリ理解したのは、2年の担任・日下部が七海と真剣な顔で話をしているところへ、普段高専へ姿を見せる機会が少ない冥冥が現れた時だった。
学生が集まり、高専を拠点に活動している術師が凡そ集まったところで夜蛾が口を開く。時刻は19:25。
「足労、感謝する。時間がない、端的に伝える。19時、渋谷に何者かによって帳が降ろされた」
「⁉︎」
「東急百貨店、東急東横店を中心に、半径およそ400mの帳が降ろされたとの報告が入っています」
「取り急ぎ現場に向かってもらいたい」
詳細な説明はなく、準1級である狗巻を除いた学生達は1級術師である七海、冥冥、日下部、禪院家当主の直毘人を中心とした4班に割られ、それぞれ指示された地点へと移動。七海、伏黒、猪野は都心メトロ渋谷駅13番出口へ、直毘人、真希、釘崎は渋谷マークシティレストランアベニュー入口へ、日下部、パンダ、芙蓉はJL渋谷駅新南口へと派遣された。冥冥とその弟・憂憂と行動を共にする事となった虎杖は少々離れた青山霊園へ、それぞれ現場にて待機となる。
その後の調査や検証により、この帳を降ろしたのは京都校交流会の際、高専に襲撃を仕掛けてきた連中と同一犯だろうという事が推察され、五条に狙いを定めている事が判明した。
駅前のガードレールに寄りかかり、芙蓉は日下部とパンダの話に黙って耳を傾け、2人の話が一旦止まったところで声を上げた。
「あの、狗巻先輩ってどこに派遣されたんですか?」
「狗巻なら遊撃手と斥候を兼ねてあちこち動いてるはずだ。…もう1級に手が届きそうな奴だからな、1人でも上手いこと切り抜けられんだろ」
「なんだ芙蓉〜、恵から浮気かァ〜?」
「っ、違いますよ…、準1級の術師として、どんな役割が与えられてるのか、少し気になって、」
「あぁ、パンダはともかく、お前は昇級査定中なんだったな。1級は大変だぞ〜?」
「そんなビビらせんなよ、日下部ェ。なァ芙蓉?」
「そもそもお前、昇級にゃあんま前向きじゃなかったって話らしいじゃねぇか。どういう風の吹き回しだ?」
忙しなく辺りを警戒していた芙蓉の目がパンダを、続いて日下部を捉える。2人とも興味深げに芙蓉の言葉を待つように彼女を見ていた。
「等級はあまり関係ないとは思うんですが…、強くなりたいんです。…生き残る為に」
「ハッ、命あっての物種、尤もな理由だ」
それは絶対忘れんじゃねェぞ、と日下部は大きく伸びをした。そして辺りを巡回するかと歩き出せば、パンダと芙蓉も彼に従って歩き出す。時計の針は間も無く20:30を回ろうとしていた。
今回の首謀者にターゲットとされた五条が渋谷に到着したと連絡が来たのは歩き出した直後だった。