呼応
恵の幼馴染のお名前は?
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「おはよ、恵」
「おう」
10月19日、この日最初に教室にやって来たのは伏黒。程なくして芙蓉、続いて釘崎、虎杖と、珍しく誰も任務に出る予定がなく、4人は顔を合わせた。
朝のホームルームでは担任の五条から放課後集まるようにと指示を受け、その後特にこれと言った出来事も問題もなく、この日の授業が終わる。
「なぁ、五条先生って何処にいんの?伏黒知ってる?」
「知るか。とりあえず事務室行くしかねぇだろ」
「はぁ〜だる〜」
「悟くんからの呼び出しって珍しいよね、何だろ?」
4人は事務室を訪れる。が、五条の姿は見当たらず、伊地知に声をかける。
「五条さんですか?…恐らく、資料室の隣の部屋だと思いますよ。…あそこはほぼ、五条さん専用の休憩室になっていますから」
伊地知に礼を述べ、4人は改めて資料室を目指す。事務室から離れ、あまり人の出入りがないところにある資料室。その隣のドアを伏黒が静かにノックする。
「…おっ、空いてるぜ!」
虎杖が静かにドアを開く。あまり物がなく、人の出入りが少ない割にはとても綺麗な部屋だった。壁際に応接セット、格子の入った窓辺には大きな椅子が1つー身体を背凭れに預けて座る五条がいた。
「五条先生」
4人は椅子に座る五条に近付くも、彼から反応はない。
「…悟くん?」
「先生も寝るんだな」
「当たり前でしょ、何言ってんのアンタ」
「五条先生‼︎」
やや大きめの声で呼び掛ければ五条が身じろぎをした。
「おっ、起きた」
「ちょっとその椅子、高いやつでしょ」
「体調悪いとかじゃないよね?」
「呼びつけといて居眠りしないでくださいよ」
五条はするりとアイマスクをずらして4人の顔を見たー自身の生徒1人1人の顔を確かめるように。五条は立ち上がって軽く身体を伸ばす。五条が座っていた椅子の座り心地を確かめるように釘崎が椅子に滑り込み、次は俺だと声を上げる虎杖、自身を気遣う様子をみせる伏黒と芙蓉。思わず笑みが溢れていた。
「何笑ってんスか」
「別に♡」
五条の言葉に、伏黒と芙蓉は顔を見合わせた。
「ねぇ先生、呼び出しは何だったの?」
虎杖のひと言が部屋の空気を大きく変えた。
「うん、大事な話があってね」
4人は応接用の椅子に座るよう促され、五条は先程まで座っていた椅子を引き寄せる。
「…君たち4人に、1級への推薦があったんだ」
「!?」
「更に言えば、パンダと真希にも推薦が来てる。…先の交流会での1件、皆それぞれかなり良い感じの動きを見せてくれたのもあって、いろいろ評価されたってワケ」
4人の間に驚き、喜び、戸惑いなど、様々な感情が入り混じった視線が互いを彷徨う。
「てなワケで、今後は1級の術師と一緒に任務に出る事になる。そこで同行した術師に適正アリって判断されれば準1級に昇級、で、その後、単独で1級任務に出て、その結果次第で正式に1級になるかどうかが決まる」
じっと、五条の言葉に耳を傾けている4人。
「…悟くん、もし推薦をー」
「推薦を“受けない”っていう選択肢は無いと思ってね。こんなに早く1級昇級のチャンスは滅多にないし、まずやってみて欲しいんだよね」
「…それで死んだらどーすんのよ」
「それで死んだらその程度だったって事でしょ。てゆーか皆、そんなんで死ぬ程弱くないし死ぬつもりもないでしょ?特級相手にやり合っておいてよく言うよ」
五条は笑いながら肩をすくめた。応接セットの4人は何も言えずに顔を見合わせる。
「それから…、こっちが本題なんだけど」
五条から密命を受けた4人は補助監督の運転する車に乗り込んだ。高専を出てすぐに降り出した秋雨は気温を一気に引き下げ、陽の傾きかけた時分、僅かに肌寒さを感じさせる。移動中、誰も口を利かなかった。
「コッチよ」
車を降りれば、京都校の教員である庵歌姫が雨の中傘もささずに4人を出迎えた。
「五条から内通者の話は聞いてるわね」
「はい」
1級昇進の話の後、五条から本題として伝えられた事ー高専関係者の中に、呪詛師或いは呪霊と通じている人物がいる、という事。そして4人には、京都校の庵と協力してその人物を捕縛して欲しいとの話だった。一行はとある建物の立体駐車場へと移動する。
「多分呪詛師と通じてるのは2人以上。1人は学長以上の上層部、コッチは私じゃどうしようもない。…もう1人、その上層部に情報を流してる奴がいる、…それが今回のターゲット。まだ容疑の段階だから捕縛後、尋問します」
庵の言葉に黙って耳を傾ける4人。術式を行使し人を助ける呪術師と、術式を行使して人を傷付ける呪詛師が内通しているなどとはあってはならない事ー重みのある命に、4人の間に緊張が走る。
「で、京都校の誰ですか?」
事も無げに釘崎が口を開く。
「私達東京側に頼むって事はそういう事でしょ?」
「釘崎スゲーな…」
驚く虎杖を横目に釘崎は淡々と言葉を紡ぐ。そしてその釘崎の言葉に、庵の表情が曇り始める。
「内通者はー」
庵を先頭に、4人は仄暗い通路を静かに歩いて行く。
「この地下にメカ丸本体、与幸吉がいます」
耳を敧てないと聞き漏らしてしまいそうな程に、庵の声は小さい。先へ進むと、庵は地下へ伸びる階段を静かに降りていく。4人も後に続く。
「あの子が怪しいんじゃなくて、誰も怪しくないから消去法でメカ丸なの。…登録してない傀儡があれば内通者としての仕事はいくらでもこなせるからね」
「そう⁉︎あの人結構目立つと思うけど」
傀儡操術という、自身の代わりとなる傀儡を操る術式で、その範囲は天与呪縛の力で日本全土に及ぶという能力を持つメカ丸ー与幸吉。
「傀儡が蚊や蝿のようなサイズだとしたら…?」
「そっか、そういうのもアリか」
庵が示した部屋のドアを、虎杖がぶち破る。
「‼︎」
「…誰も、いない…?」
「…えーと…」
正に間抜けの殻ー困惑を口にする虎杖と芙蓉。
「やられたわね」
「でも逆に」
「これでメカ丸で確定かしら」
誰もいない部屋に用はない。さっと踵を返し、行きましょう、と気丈に振る舞う庵の心中は如何程かー芙蓉は彼女を追い、その背に声をかけた。
「あの…、庵先生…」
「…ありがとう。大丈夫よ」
芙蓉に儚げな笑みを向けると、庵は改めて4人に向き直った。覚悟を決めた表情に、誰も何も言えなかった。
「…はるばる来てもらったのに申し訳ないわ。けど、おかげでハッキリしたわ。…メカ丸の事はこちらで引き続き追ってみる。…今日は本当にありがとう」
「おう」
10月19日、この日最初に教室にやって来たのは伏黒。程なくして芙蓉、続いて釘崎、虎杖と、珍しく誰も任務に出る予定がなく、4人は顔を合わせた。
朝のホームルームでは担任の五条から放課後集まるようにと指示を受け、その後特にこれと言った出来事も問題もなく、この日の授業が終わる。
「なぁ、五条先生って何処にいんの?伏黒知ってる?」
「知るか。とりあえず事務室行くしかねぇだろ」
「はぁ〜だる〜」
「悟くんからの呼び出しって珍しいよね、何だろ?」
4人は事務室を訪れる。が、五条の姿は見当たらず、伊地知に声をかける。
「五条さんですか?…恐らく、資料室の隣の部屋だと思いますよ。…あそこはほぼ、五条さん専用の休憩室になっていますから」
伊地知に礼を述べ、4人は改めて資料室を目指す。事務室から離れ、あまり人の出入りがないところにある資料室。その隣のドアを伏黒が静かにノックする。
「…おっ、空いてるぜ!」
虎杖が静かにドアを開く。あまり物がなく、人の出入りが少ない割にはとても綺麗な部屋だった。壁際に応接セット、格子の入った窓辺には大きな椅子が1つー身体を背凭れに預けて座る五条がいた。
「五条先生」
4人は椅子に座る五条に近付くも、彼から反応はない。
「…悟くん?」
「先生も寝るんだな」
「当たり前でしょ、何言ってんのアンタ」
「五条先生‼︎」
やや大きめの声で呼び掛ければ五条が身じろぎをした。
「おっ、起きた」
「ちょっとその椅子、高いやつでしょ」
「体調悪いとかじゃないよね?」
「呼びつけといて居眠りしないでくださいよ」
五条はするりとアイマスクをずらして4人の顔を見たー自身の生徒1人1人の顔を確かめるように。五条は立ち上がって軽く身体を伸ばす。五条が座っていた椅子の座り心地を確かめるように釘崎が椅子に滑り込み、次は俺だと声を上げる虎杖、自身を気遣う様子をみせる伏黒と芙蓉。思わず笑みが溢れていた。
「何笑ってんスか」
「別に♡」
五条の言葉に、伏黒と芙蓉は顔を見合わせた。
「ねぇ先生、呼び出しは何だったの?」
虎杖のひと言が部屋の空気を大きく変えた。
「うん、大事な話があってね」
4人は応接用の椅子に座るよう促され、五条は先程まで座っていた椅子を引き寄せる。
「…君たち4人に、1級への推薦があったんだ」
「!?」
「更に言えば、パンダと真希にも推薦が来てる。…先の交流会での1件、皆それぞれかなり良い感じの動きを見せてくれたのもあって、いろいろ評価されたってワケ」
4人の間に驚き、喜び、戸惑いなど、様々な感情が入り混じった視線が互いを彷徨う。
「てなワケで、今後は1級の術師と一緒に任務に出る事になる。そこで同行した術師に適正アリって判断されれば準1級に昇級、で、その後、単独で1級任務に出て、その結果次第で正式に1級になるかどうかが決まる」
じっと、五条の言葉に耳を傾けている4人。
「…悟くん、もし推薦をー」
「推薦を“受けない”っていう選択肢は無いと思ってね。こんなに早く1級昇級のチャンスは滅多にないし、まずやってみて欲しいんだよね」
「…それで死んだらどーすんのよ」
「それで死んだらその程度だったって事でしょ。てゆーか皆、そんなんで死ぬ程弱くないし死ぬつもりもないでしょ?特級相手にやり合っておいてよく言うよ」
五条は笑いながら肩をすくめた。応接セットの4人は何も言えずに顔を見合わせる。
「それから…、こっちが本題なんだけど」
五条から密命を受けた4人は補助監督の運転する車に乗り込んだ。高専を出てすぐに降り出した秋雨は気温を一気に引き下げ、陽の傾きかけた時分、僅かに肌寒さを感じさせる。移動中、誰も口を利かなかった。
「コッチよ」
車を降りれば、京都校の教員である庵歌姫が雨の中傘もささずに4人を出迎えた。
「五条から内通者の話は聞いてるわね」
「はい」
1級昇進の話の後、五条から本題として伝えられた事ー高専関係者の中に、呪詛師或いは呪霊と通じている人物がいる、という事。そして4人には、京都校の庵と協力してその人物を捕縛して欲しいとの話だった。一行はとある建物の立体駐車場へと移動する。
「多分呪詛師と通じてるのは2人以上。1人は学長以上の上層部、コッチは私じゃどうしようもない。…もう1人、その上層部に情報を流してる奴がいる、…それが今回のターゲット。まだ容疑の段階だから捕縛後、尋問します」
庵の言葉に黙って耳を傾ける4人。術式を行使し人を助ける呪術師と、術式を行使して人を傷付ける呪詛師が内通しているなどとはあってはならない事ー重みのある命に、4人の間に緊張が走る。
「で、京都校の誰ですか?」
事も無げに釘崎が口を開く。
「私達東京側に頼むって事はそういう事でしょ?」
「釘崎スゲーな…」
驚く虎杖を横目に釘崎は淡々と言葉を紡ぐ。そしてその釘崎の言葉に、庵の表情が曇り始める。
「内通者はー」
庵を先頭に、4人は仄暗い通路を静かに歩いて行く。
「この地下にメカ丸本体、与幸吉がいます」
耳を敧てないと聞き漏らしてしまいそうな程に、庵の声は小さい。先へ進むと、庵は地下へ伸びる階段を静かに降りていく。4人も後に続く。
「あの子が怪しいんじゃなくて、誰も怪しくないから消去法でメカ丸なの。…登録してない傀儡があれば内通者としての仕事はいくらでもこなせるからね」
「そう⁉︎あの人結構目立つと思うけど」
傀儡操術という、自身の代わりとなる傀儡を操る術式で、その範囲は天与呪縛の力で日本全土に及ぶという能力を持つメカ丸ー与幸吉。
「傀儡が蚊や蝿のようなサイズだとしたら…?」
「そっか、そういうのもアリか」
庵が示した部屋のドアを、虎杖がぶち破る。
「‼︎」
「…誰も、いない…?」
「…えーと…」
正に間抜けの殻ー困惑を口にする虎杖と芙蓉。
「やられたわね」
「でも逆に」
「これでメカ丸で確定かしら」
誰もいない部屋に用はない。さっと踵を返し、行きましょう、と気丈に振る舞う庵の心中は如何程かー芙蓉は彼女を追い、その背に声をかけた。
「あの…、庵先生…」
「…ありがとう。大丈夫よ」
芙蓉に儚げな笑みを向けると、庵は改めて4人に向き直った。覚悟を決めた表情に、誰も何も言えなかった。
「…はるばる来てもらったのに申し訳ないわ。けど、おかげでハッキリしたわ。…メカ丸の事はこちらで引き続き追ってみる。…今日は本当にありがとう」