決戦、交流会
恵の幼馴染のお名前は?
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交流会団体戦、翌日。
職員による臨時会議が開かれている間、芙蓉は家入の遣いとして東京・京都両校の生徒全員の健康状態の確認を取り纏めていた。芙蓉は京都校で一番話し掛けやすく、ケガの程度が軽かった三輪に事情を説明し、京都サイドの確認を三輪に依頼、報告してもらう事にした。京都の生徒の事をよく知らない芙蓉にとって、三輪の協力的な姿勢は本当にありがたかった。
事務室前で三輪からの“全員異常なし”という報告を受け、彼女の助力に感謝を告げる。三輪を見送り、1人になったところで芙蓉はため息を吐いた。
家入と同じように、他人への反転術式が使える芙蓉。彼女に医療の心得のようなものも教わり、術式なしでの簡単な応急処置や救命措置の方法も身に付けた。本来は祓除をメインに活動する術師を目指しているのに、と複雑な思いもあるが、それぞれ持つ術式も能力も違う。芙蓉は、高専に入る前に五条から言われた事を思い出した。
ー術式を持っているからと言って無条件に術師になれるわけではない。
五条の言葉に間違いはないし、また、高専では術式どころか呪力を持たずに祓除を行う先輩にも出会えた。それぞれ無いものねだりをしても仕方がないし、自分の思いに執着し過ぎていては、本来持つ能力も発揮できないだろう。場合によっては自分や周りの人の命を危険に晒す事にもなりかねない。少し、自分の思いを改めて見つめ直す時かもしれない、そう自身の中で結論付け、事務室で家入へ書き置きをして立ち上がった。
「あ!高峰さん、お願いがあるんだけど」
突然掛かった声に振り返れば、事務室で電話番をしていた職員だった。なんだかいい匂いがするなと思えば目の前の職員の手には大きなデリバリーピザの箱。
「どうしたんですか、それ?」
「これね、虎杖くんが注文したみたいで、さっき受け取ったのは良いんだけど、肝心の虎杖くんが何処にいるのか捕まらなくて。連絡しても繋がらないし」
「じゃあお預かりしますよ。これから寮に戻りますし」
「ありがとう!…申し訳ないけど…、ついでにコレも、お願いして良い?」
そう言ってピザと一緒に渡されたのは代金の記載されたレシートだった。職員が立て替えてくれたのだろう、芙蓉は必ず渡します、と受け取った。
芙蓉は先程三輪と話している時にメッセージアプリに着信があったのを思い出した。アプリを確認すると釘崎からで、伏黒の見舞いを兼ねて全員医務室にいる、用が終わったら来るように、という連絡だった。虎杖が捕まらないというのは、恐らくスマホを部屋に置き去りにしていての事だろう。虎杖らしいな、と思いながら、芙蓉はピザを手に医務室を目指して歩き出す。程なくして医務室へ到着、芙蓉は静かにドアを開ける。複数あるベッドを仕切るカーテンを開け、ベッドの上、身体を起こした伏黒を囲むように虎杖と釘崎が両サイドに座っていた。
「お疲れ様、大変だったわね」
「うん、でも京都の三輪さんが手伝ってくれたから」
「あれ、なんでこれ高峰が?」
芙蓉が抱えるように持って来たピザの箱を見た虎杖が声を上げる。
「事務室に届いたみたいで、職員の人が」
あとこれ、とレシートを手渡す。確かに渡したよ、と言えば虎杖は声を上げた。
「ぅえ⁉︎なんで俺になってんの⁉︎」
「うるさいわねー、ピザの1枚くらい私たちにオゴったってバチ当たんないわよ」
どうやら釘崎が虎杖名で注文したらしい。釘崎は伏黒の脚の上にピザの箱を置き、あったかい内に食べましょ、と箱を開けてピザに手を伸ばした。
「恵、調子はどう?」
「あぁ、だいぶ落ち着いた」
伏黒の両サイドから手が伸び、それぞれがピザを取っていく。香ばしいチーズの匂いに食欲が刺激され、芙蓉もひと切れご馳走になれるかな、などと思っていたところにスマホの着信音が鳴る。五条からだったら無視しちゃおうかな、などと不躾な事を考えるも、スマホの表示には“家入”の文字。芙蓉は小さく息を吐き、3人の視線を背中に受けながら医務室を出て通話を繋ぐ。
「はい、高峰です」
『悪いな、今大丈夫か?』
先程のピザが頭にチラつくが、芙蓉はどうにか雑念を追いやって気持ちを切り替える。
「はい。…何かありましたか?」
『急で悪いが、すぐ動けそうな奴を教えて欲しいんだ』
「えっ、と…、何かトラブルですか?」
『あぁいや、そう言う物騒な事じゃない。…今後の事を決めるのに、学生の意見を聞こうって事になってな』
そう言う事かー芙蓉は内心安堵した。
「わかりました、京都の皆さんにも連絡しておきます」
『助かるよ、よろしくな』
芙蓉が通話を切る少し前に、部屋の中からあまり聞き慣れない声と虎杖の声が聞こえていた。なんだろう、誰だろうと思いながら医務室に戻る。と、窓が開け放たれ、伏黒と釘崎が呆れ顔で窓の方を見ていた。外からは未だ虎杖の叫び声が聞こえている。
「…どう、したの…?」
「…気にするな」
「そうね、相手にしなくていいわよ」
「それより、何かあったか?」
「あ、うん…、今後の事について、学生含めて全体ミーティングをするから、集まってくれって」
2人に伝えると、芙蓉は京都の人たちにも連絡するねと再び部屋を出て、三輪へと通話を繋いだ。
職員による臨時会議が開かれている間、芙蓉は家入の遣いとして東京・京都両校の生徒全員の健康状態の確認を取り纏めていた。芙蓉は京都校で一番話し掛けやすく、ケガの程度が軽かった三輪に事情を説明し、京都サイドの確認を三輪に依頼、報告してもらう事にした。京都の生徒の事をよく知らない芙蓉にとって、三輪の協力的な姿勢は本当にありがたかった。
事務室前で三輪からの“全員異常なし”という報告を受け、彼女の助力に感謝を告げる。三輪を見送り、1人になったところで芙蓉はため息を吐いた。
家入と同じように、他人への反転術式が使える芙蓉。彼女に医療の心得のようなものも教わり、術式なしでの簡単な応急処置や救命措置の方法も身に付けた。本来は祓除をメインに活動する術師を目指しているのに、と複雑な思いもあるが、それぞれ持つ術式も能力も違う。芙蓉は、高専に入る前に五条から言われた事を思い出した。
ー術式を持っているからと言って無条件に術師になれるわけではない。
五条の言葉に間違いはないし、また、高専では術式どころか呪力を持たずに祓除を行う先輩にも出会えた。それぞれ無いものねだりをしても仕方がないし、自分の思いに執着し過ぎていては、本来持つ能力も発揮できないだろう。場合によっては自分や周りの人の命を危険に晒す事にもなりかねない。少し、自分の思いを改めて見つめ直す時かもしれない、そう自身の中で結論付け、事務室で家入へ書き置きをして立ち上がった。
「あ!高峰さん、お願いがあるんだけど」
突然掛かった声に振り返れば、事務室で電話番をしていた職員だった。なんだかいい匂いがするなと思えば目の前の職員の手には大きなデリバリーピザの箱。
「どうしたんですか、それ?」
「これね、虎杖くんが注文したみたいで、さっき受け取ったのは良いんだけど、肝心の虎杖くんが何処にいるのか捕まらなくて。連絡しても繋がらないし」
「じゃあお預かりしますよ。これから寮に戻りますし」
「ありがとう!…申し訳ないけど…、ついでにコレも、お願いして良い?」
そう言ってピザと一緒に渡されたのは代金の記載されたレシートだった。職員が立て替えてくれたのだろう、芙蓉は必ず渡します、と受け取った。
芙蓉は先程三輪と話している時にメッセージアプリに着信があったのを思い出した。アプリを確認すると釘崎からで、伏黒の見舞いを兼ねて全員医務室にいる、用が終わったら来るように、という連絡だった。虎杖が捕まらないというのは、恐らくスマホを部屋に置き去りにしていての事だろう。虎杖らしいな、と思いながら、芙蓉はピザを手に医務室を目指して歩き出す。程なくして医務室へ到着、芙蓉は静かにドアを開ける。複数あるベッドを仕切るカーテンを開け、ベッドの上、身体を起こした伏黒を囲むように虎杖と釘崎が両サイドに座っていた。
「お疲れ様、大変だったわね」
「うん、でも京都の三輪さんが手伝ってくれたから」
「あれ、なんでこれ高峰が?」
芙蓉が抱えるように持って来たピザの箱を見た虎杖が声を上げる。
「事務室に届いたみたいで、職員の人が」
あとこれ、とレシートを手渡す。確かに渡したよ、と言えば虎杖は声を上げた。
「ぅえ⁉︎なんで俺になってんの⁉︎」
「うるさいわねー、ピザの1枚くらい私たちにオゴったってバチ当たんないわよ」
どうやら釘崎が虎杖名で注文したらしい。釘崎は伏黒の脚の上にピザの箱を置き、あったかい内に食べましょ、と箱を開けてピザに手を伸ばした。
「恵、調子はどう?」
「あぁ、だいぶ落ち着いた」
伏黒の両サイドから手が伸び、それぞれがピザを取っていく。香ばしいチーズの匂いに食欲が刺激され、芙蓉もひと切れご馳走になれるかな、などと思っていたところにスマホの着信音が鳴る。五条からだったら無視しちゃおうかな、などと不躾な事を考えるも、スマホの表示には“家入”の文字。芙蓉は小さく息を吐き、3人の視線を背中に受けながら医務室を出て通話を繋ぐ。
「はい、高峰です」
『悪いな、今大丈夫か?』
先程のピザが頭にチラつくが、芙蓉はどうにか雑念を追いやって気持ちを切り替える。
「はい。…何かありましたか?」
『急で悪いが、すぐ動けそうな奴を教えて欲しいんだ』
「えっ、と…、何かトラブルですか?」
『あぁいや、そう言う物騒な事じゃない。…今後の事を決めるのに、学生の意見を聞こうって事になってな』
そう言う事かー芙蓉は内心安堵した。
「わかりました、京都の皆さんにも連絡しておきます」
『助かるよ、よろしくな』
芙蓉が通話を切る少し前に、部屋の中からあまり聞き慣れない声と虎杖の声が聞こえていた。なんだろう、誰だろうと思いながら医務室に戻る。と、窓が開け放たれ、伏黒と釘崎が呆れ顔で窓の方を見ていた。外からは未だ虎杖の叫び声が聞こえている。
「…どう、したの…?」
「…気にするな」
「そうね、相手にしなくていいわよ」
「それより、何かあったか?」
「あ、うん…、今後の事について、学生含めて全体ミーティングをするから、集まってくれって」
2人に伝えると、芙蓉は京都の人たちにも連絡するねと再び部屋を出て、三輪へと通話を繋いだ。