前章─復讐の先に掴む未来は(1)
あれからどれほど時間が経過しただろう。まだ一分にも満たないようで、もう一時間以上経っているような気もした。
まだ間に合うだろうか。
術式は完成していないだろうか。
それを確かめる術はない。最初は耐え難いほどの激痛を体に感じていた。だが一つずつ感覚を奪われていくごとに、痛みが遠退 いた。
最初に視覚が、次に聴覚が、そしてスイウの手の感覚が消え、触覚が少しずつ失われ、今は自分が立っているのかどうかもわからない。
そもそもまだ生きているのだろうか。
術はまだ継続できているだろうか。
障壁はどうなったのか。
口を動かしても声が言葉となっているかわからない。言葉にできても返事を聞く術がない。魔力を手のひらへと送る感覚だけを頼りに、ずっと続けている。終わりの見えない不安に心が塗り潰されかけたときだった。
「目を開けてごらん、メリー」
音も光もないたった一人の世界に声が響く。
「大丈夫だよ。ねぇ、ほらほら!」
体の内側から湧き出た小さな熱が一つ鼓動を打つと、奪われたはずの視界に薄く光が差しこむ。少しずつ光が強くなりやがて視界が戻ると、なぜかメリーの目に元の天界の景色と仲間たちの姿が見えた。
スイウ、アイゼア、エルヴェ、フィロメナ、いつの間に傍に来ていたのだろう。本来であればスイウ以外の三人は下に待機しているはずだ。全員の手が杖を握るメリーの両手に添えられている。
「メリー、君は自分の持てる全てをかけるんだろう? なら僕たち仲間だって、メリーの持てるものの一つじゃないか。だから、僕のこともかけてくれないかな」
アイゼアの穏やかでありながら強気にも見える笑顔が頼もしく感じた。触れられた手からアイゼアの生命力が、失われていくメリーたちの魂を守ろうとするかのように流れ込んでくる。
「メリー様。私の魔力を貴女へ。決して死なせたりはしません。必ず支えてみせますので、私の力も信じて下さい」
エルヴェの見守るような優しい笑みに胸が温かくなった。動力としてかき集めた膨大 な魔力が、触れられた手から失われたものを満たすように送り込まれてくる。
「あんた本当に馬鹿よ! 黙って魂を触媒になんかして! あたしに、あんたが笑って生きてる世界を守らせなさいよ!!」
フィロメナの泣きながら怒る顔に、チクリと胸の奥が痛む。爽やかさを感じる魔力が、触れられた手から癒やしを与えるように染み渡っていく。
「だそうだ。諦めんなよ」
短いスイウの励ましに勇気を貰い、メリーは小さく頷いた。触れた手から魔力と魂の感覚が溶け合い、杖へと流れていく。
「絶対にこじ開けてみせる……!」
散漫としていたメリーの心が奮い立つ。まだ間に合う、みんなが力を貸してくれれば乗り越えられないものはない。少なくとも自分はそう信じたい。
受けたありったけの魔力を杖へと傾ける。すると障壁に小さな亀裂が入るのが見えた。いける、そう感じたときだった。目眩 に似た体が浮くような感覚に襲われ、ふわりと手が透ける。
「メリー様、体が……」
「嫌……ダメよメリー! 意識を手放さないでっ!」
送り込まれる魔力の負荷に体が追いついていない。かといって弱めれば障壁は破れなくなる。エルヴェとフィロメナの悲痛な声に胸が軋んだ。メリーの手に触れている全員の手に強い力がこもり、絶対に離さない、と言われているような気がした。
だが嫌でもわかってしまう。終わりが近いのだと。ふわふわとした感覚に、段々と覚束なくなっていく。先程とは違い視界が白く染まり、頭を吊られて宙に浮いていくような感覚に襲われる。思考までぼんやりとし、頭が上手く回ってこない。
消えてしまいそうになる中で、繋ぎ留めてくれている手の感触だけが頼りだった。この手の感触だけが自分はまだここにいるのだと辛うじて証明してくれていた。
ぬるま湯の中を揺蕩 うような心地よさが緩やかな微睡 みをメリーに与える。甘やかな眠りへと誘われ、瞼 がゆっくりと閉じられていく。
「眠っちゃダメ! 起きてっ!」
またどこからともなく聞こえてくる誰かの声に、消えかけていた意識が覚醒してくる。自分を叱る声はどこから聞こえたのだろうか。
気づくとメリーは真っ白な世界に一人佇んでいた。地に足のついた感覚がある。四人の気配は傍にあるのに手を掴まれている感覚以外、姿も見えず、声も聞こえない。
ふと前方に気配を感じ、目を凝らすと遠くに誰かが立っているのが見える。近付こうと思っても、縫い付けられたように足は動かなかった。
「母なる炎霊サラマンドラよ、我が呼び声に応えたまえ。我が名は『ブランブル』、汝の系譜を受け継ぐ者なり」
「母なる地霊ノーミードよ、我が呼び声に応えたまえ。我が名は『ブランブル』、汝の系譜を受け継ぐ者なり」
二人分の声が詠唱を揃えて唱えている。雪解けを報せるそよ風ような穏やかで爽やかな声と、小鳥がさえずるような明るく朗らかな声。どこか懐かしさを感じる声だった。それが誰だったのか、なぜか頭に霧がかかったように思い出せない。
「我が名を贄 とし捧げ、彼の者を灼 き尽くさんとする汝の焔を我に与えたまえ」
「我が名を贄 とし捧げ、彼の者に生命の息吹を授ける大地の祝福を我に与えたまえ」
「あなたたち……誰、ですか?」
その声の主にメリーは問いかける。ぼんやりと霞んで見える二つの背中。二人はこちらを振り返り、ふっと何かを慈しむように微笑んだような気がした。
「「 」」
何か言葉を口にしたようだが、メリーには聞き取ることはできなかった。
ハッと覚醒し、意識が戻ってくる。驚いたような表情でメリーを凝視している仲間の姿が目の前にあった。
今のは何だったのだろうか。なぜか体はもう透けていない。妙なふわふわとした感覚も、最初のような焼かれていく痛みもなく、かといって内側に流れ込む強烈な魔力の気配もすっかり消え失せていた。自分の中の何かが欠けていくような、蝕まれるような感覚もない。限界を迎えていたはずの体が完璧に術を使う前の状態に戻っていた。
「まさか……」
術の効力が切れたということだけはすぐに理解した。足元にはまだ少しだけ亀裂の入った障壁が残っている。
失敗した、失敗したのだ。世界の破滅は止まらない。どの道死ぬというのに、こんなところで生き延びて何になるというのか。
「喰い尽くされる前に術を中断したの? 意気地がないなー」
サクの挑発がメリーの心に火をつける。
まだだ。この命がある限り、何度だって試みてやる。詠唱を紡ごうと口を開きかけて、止めた。
二つ分の魔力を感じると共に、杖の水晶の部分が淡く光を放ち始めたからだ。それはまるで鼓動を打つかのように明滅している。
光は、暖炉のような温もりを感じる炎の色をしていた。柔らかな煌めきは徐々に強まり、強烈な強い光と共に魔力が放たれていく。だがそれでいて恐怖感はなく、むしろ勇気が湧いてくるような、包み込むような優しさと凛々しさ、そして安らぐような温もりを感じる力だった。
その二つの気配をメリーはよく知っている。先程の声が誰であったかを思い出し、目を見開いた。
「どうして……」
そしてその炎の色が杖の柄までもを染め、伝うようにして下へと向かい、ひび割れた障壁へと染み渡るように広がっていく。柔らかな炎の色に障壁が染まった瞬間、まるで薄い砂糖菓子が溶けるようにして消失していく。同時に足場を失って、メリーの体は落下を始めた。咄嗟 に空中で体勢を立て直す。
「障壁が……一体何を!」
サクが戸惑い、吼 える。眼下には完成間近の法陣が見えた。無の王の振るう腕が暴風を巻き起こし、こちらへと襲いかかってくる。
吹き飛ばされる、そう思った瞬間、その風を裂いて、メリーの脇を何かが素早くすり抜けていく。閃く白にそれがスイウとその刀の刀身だと気づいた。
今も尚、炎の色に煌めく杖をメリーは強く握りしめる。杖から穏やかな温もりが手に伝わり、全身が凛々しく美しい炎に包まれた。スイウの拓いた道を、メリーはさながら流星のように、空を落ちていく。
「自分を信じて。メリーなら必ず未来を切り拓けるから」
耳元でどこか楽しそうに囁 く声が聞こえてきた。杖を握る手に、二人分の手が添えられるような柔らかさが伝わってくる。
「わたしも信じてる! だって──
なぜか目頭が熱くなり、涙が一粒散った。その一雫を空中に置き去りにして、杖を振りかぶる。
──わたしの自慢のお姉ちゃんだもん!」
杖の切っ先がサクの宿る巨大な額をめがけて振り下ろされた。スイウのつけた刀傷から切っ先を深くめり込ませ、炎が柱のように天高く立ち昇る。
メリーですら初めて感じるような強大な威力を持つ炎に、額どころか頭部全体が焼けて灰に変わっていく。やがて炎が収束すると、杖の炎の色も消え、懐かしい気配も魔力もぷっつりと失われた。
メリーは空中に放り出されたグリモワールを受け止める。
「フィロメナさん!」
「受け取ったわ! あとは任せてちょうだい!」
グリモワールを投げ渡すと、フィロメナは全速力で戦場を離れていく。
「……よくやってくれた」
落下していくメリーをスイウが空中で拾い、着地する。頭部を失ったサクは制御を失い、暴れ狂いながら天界の門を目指そうと動き出した。その巨体をアイゼアとエルヴェ、騎士たちが必死に交戦して抑えようとしている。
「あのバケモノをどうにかする。まだいけるな?」
「当然です。私は元から、一歩だって退く気はありません!」
メリーは強く杖を握り返し、胸元に手を当て握りしめる。首にかけたお守り代わりの布袋には、折られた写真の感触だけが残っていた。
第72話 遺志は流星の如く 終
まだ間に合うだろうか。
術式は完成していないだろうか。
それを確かめる術はない。最初は耐え難いほどの激痛を体に感じていた。だが一つずつ感覚を奪われていくごとに、痛みが
最初に視覚が、次に聴覚が、そしてスイウの手の感覚が消え、触覚が少しずつ失われ、今は自分が立っているのかどうかもわからない。
そもそもまだ生きているのだろうか。
術はまだ継続できているだろうか。
障壁はどうなったのか。
口を動かしても声が言葉となっているかわからない。言葉にできても返事を聞く術がない。魔力を手のひらへと送る感覚だけを頼りに、ずっと続けている。終わりの見えない不安に心が塗り潰されかけたときだった。
「目を開けてごらん、メリー」
音も光もないたった一人の世界に声が響く。
「大丈夫だよ。ねぇ、ほらほら!」
体の内側から湧き出た小さな熱が一つ鼓動を打つと、奪われたはずの視界に薄く光が差しこむ。少しずつ光が強くなりやがて視界が戻ると、なぜかメリーの目に元の天界の景色と仲間たちの姿が見えた。
スイウ、アイゼア、エルヴェ、フィロメナ、いつの間に傍に来ていたのだろう。本来であればスイウ以外の三人は下に待機しているはずだ。全員の手が杖を握るメリーの両手に添えられている。
「メリー、君は自分の持てる全てをかけるんだろう? なら僕たち仲間だって、メリーの持てるものの一つじゃないか。だから、僕のこともかけてくれないかな」
アイゼアの穏やかでありながら強気にも見える笑顔が頼もしく感じた。触れられた手からアイゼアの生命力が、失われていくメリーたちの魂を守ろうとするかのように流れ込んでくる。
「メリー様。私の魔力を貴女へ。決して死なせたりはしません。必ず支えてみせますので、私の力も信じて下さい」
エルヴェの見守るような優しい笑みに胸が温かくなった。動力としてかき集めた
「あんた本当に馬鹿よ! 黙って魂を触媒になんかして! あたしに、あんたが笑って生きてる世界を守らせなさいよ!!」
フィロメナの泣きながら怒る顔に、チクリと胸の奥が痛む。爽やかさを感じる魔力が、触れられた手から癒やしを与えるように染み渡っていく。
「だそうだ。諦めんなよ」
短いスイウの励ましに勇気を貰い、メリーは小さく頷いた。触れた手から魔力と魂の感覚が溶け合い、杖へと流れていく。
「絶対にこじ開けてみせる……!」
散漫としていたメリーの心が奮い立つ。まだ間に合う、みんなが力を貸してくれれば乗り越えられないものはない。少なくとも自分はそう信じたい。
受けたありったけの魔力を杖へと傾ける。すると障壁に小さな亀裂が入るのが見えた。いける、そう感じたときだった。
「メリー様、体が……」
「嫌……ダメよメリー! 意識を手放さないでっ!」
送り込まれる魔力の負荷に体が追いついていない。かといって弱めれば障壁は破れなくなる。エルヴェとフィロメナの悲痛な声に胸が軋んだ。メリーの手に触れている全員の手に強い力がこもり、絶対に離さない、と言われているような気がした。
だが嫌でもわかってしまう。終わりが近いのだと。ふわふわとした感覚に、段々と覚束なくなっていく。先程とは違い視界が白く染まり、頭を吊られて宙に浮いていくような感覚に襲われる。思考までぼんやりとし、頭が上手く回ってこない。
消えてしまいそうになる中で、繋ぎ留めてくれている手の感触だけが頼りだった。この手の感触だけが自分はまだここにいるのだと辛うじて証明してくれていた。
ぬるま湯の中を
「眠っちゃダメ! 起きてっ!」
またどこからともなく聞こえてくる誰かの声に、消えかけていた意識が覚醒してくる。自分を叱る声はどこから聞こえたのだろうか。
気づくとメリーは真っ白な世界に一人佇んでいた。地に足のついた感覚がある。四人の気配は傍にあるのに手を掴まれている感覚以外、姿も見えず、声も聞こえない。
ふと前方に気配を感じ、目を凝らすと遠くに誰かが立っているのが見える。近付こうと思っても、縫い付けられたように足は動かなかった。
「母なる炎霊サラマンドラよ、我が呼び声に応えたまえ。我が名は『ブランブル』、汝の系譜を受け継ぐ者なり」
「母なる地霊ノーミードよ、我が呼び声に応えたまえ。我が名は『ブランブル』、汝の系譜を受け継ぐ者なり」
二人分の声が詠唱を揃えて唱えている。雪解けを報せるそよ風ような穏やかで爽やかな声と、小鳥がさえずるような明るく朗らかな声。どこか懐かしさを感じる声だった。それが誰だったのか、なぜか頭に霧がかかったように思い出せない。
「我が名を
「我が名を
「あなたたち……誰、ですか?」
その声の主にメリーは問いかける。ぼんやりと霞んで見える二つの背中。二人はこちらを振り返り、ふっと何かを慈しむように微笑んだような気がした。
「「 」」
何か言葉を口にしたようだが、メリーには聞き取ることはできなかった。
ハッと覚醒し、意識が戻ってくる。驚いたような表情でメリーを凝視している仲間の姿が目の前にあった。
今のは何だったのだろうか。なぜか体はもう透けていない。妙なふわふわとした感覚も、最初のような焼かれていく痛みもなく、かといって内側に流れ込む強烈な魔力の気配もすっかり消え失せていた。自分の中の何かが欠けていくような、蝕まれるような感覚もない。限界を迎えていたはずの体が完璧に術を使う前の状態に戻っていた。
「まさか……」
術の効力が切れたということだけはすぐに理解した。足元にはまだ少しだけ亀裂の入った障壁が残っている。
失敗した、失敗したのだ。世界の破滅は止まらない。どの道死ぬというのに、こんなところで生き延びて何になるというのか。
「喰い尽くされる前に術を中断したの? 意気地がないなー」
サクの挑発がメリーの心に火をつける。
まだだ。この命がある限り、何度だって試みてやる。詠唱を紡ごうと口を開きかけて、止めた。
二つ分の魔力を感じると共に、杖の水晶の部分が淡く光を放ち始めたからだ。それはまるで鼓動を打つかのように明滅している。
光は、暖炉のような温もりを感じる炎の色をしていた。柔らかな煌めきは徐々に強まり、強烈な強い光と共に魔力が放たれていく。だがそれでいて恐怖感はなく、むしろ勇気が湧いてくるような、包み込むような優しさと凛々しさ、そして安らぐような温もりを感じる力だった。
その二つの気配をメリーはよく知っている。先程の声が誰であったかを思い出し、目を見開いた。
「どうして……」
そしてその炎の色が杖の柄までもを染め、伝うようにして下へと向かい、ひび割れた障壁へと染み渡るように広がっていく。柔らかな炎の色に障壁が染まった瞬間、まるで薄い砂糖菓子が溶けるようにして消失していく。同時に足場を失って、メリーの体は落下を始めた。
「障壁が……一体何を!」
サクが戸惑い、
吹き飛ばされる、そう思った瞬間、その風を裂いて、メリーの脇を何かが素早くすり抜けていく。閃く白にそれがスイウとその刀の刀身だと気づいた。
今も尚、炎の色に煌めく杖をメリーは強く握りしめる。杖から穏やかな温もりが手に伝わり、全身が凛々しく美しい炎に包まれた。スイウの拓いた道を、メリーはさながら流星のように、空を落ちていく。
「自分を信じて。メリーなら必ず未来を切り拓けるから」
耳元でどこか楽しそうに
「わたしも信じてる! だって──
なぜか目頭が熱くなり、涙が一粒散った。その一雫を空中に置き去りにして、杖を振りかぶる。
──わたしの自慢のお姉ちゃんだもん!」
杖の切っ先がサクの宿る巨大な額をめがけて振り下ろされた。スイウのつけた刀傷から切っ先を深くめり込ませ、炎が柱のように天高く立ち昇る。
メリーですら初めて感じるような強大な威力を持つ炎に、額どころか頭部全体が焼けて灰に変わっていく。やがて炎が収束すると、杖の炎の色も消え、懐かしい気配も魔力もぷっつりと失われた。
メリーは空中に放り出されたグリモワールを受け止める。
「フィロメナさん!」
「受け取ったわ! あとは任せてちょうだい!」
グリモワールを投げ渡すと、フィロメナは全速力で戦場を離れていく。
「……よくやってくれた」
落下していくメリーをスイウが空中で拾い、着地する。頭部を失ったサクは制御を失い、暴れ狂いながら天界の門を目指そうと動き出した。その巨体をアイゼアとエルヴェ、騎士たちが必死に交戦して抑えようとしている。
「あのバケモノをどうにかする。まだいけるな?」
「当然です。私は元から、一歩だって退く気はありません!」
メリーは強く杖を握り返し、胸元に手を当て握りしめる。首にかけたお守り代わりの布袋には、折られた写真の感触だけが残っていた。
第72話 遺志は流星の如く 終