Another Story
それはまさに青天の霹靂というやつだろうか。
「へ?な、なんやて?」
バスケ部の鬼マネージャーが「今日はリフレッシュ日!絶対に身体を休めること!」と宣言した故に出来た、久し振りの休日。
彼女たる瑠璃葉の家で彼女を抱き締めながら雑誌を見ていた時のこと。
ソレは起きたのだ。
「あら?聞こえていなかったのかしら?」
「い、いや……」
ここでもし「聞こえていない」と嘘の発言をしたところで、きっと彼女はへそを曲げてしまうだろう。
けれども、付き合って一年以上。いい加減彼女が愛情表現が如何に下手だろうとも、その言葉くらいはもう一度聞きたいと願ってもいいと思うんですよね!?
「も、もういっぺん言って?」
「……あなた、いつからそんなに意地悪になったのかしら?」
「せやかて、瑠璃葉」
お前自分の愛情表現の下手さを考えてくれ!?
そう叫びそうになったのを堪えた。
付き合って一年以上。そろそろ彼女のことも分かってくると言うもので。
唇を尖らせて拗ねる瑠璃葉に、こんな時でも「可愛ええなぁ、何この生き物」なんて感情すら湧くのだが。
拗ねられて口を利かない、なんてことになっても嫌なのでそろそろ折れるかと口を開こうとしたその瞬間。
「だから、……私はあなたのことが好きだと言ったのよ」
「……へ!?」
「あなたね、」
怒りを通り越して呆れた声を発する瑠璃葉に、俺は「今のは聞こえてた!」と慌てて弁明する。
まさかあの愛情表現がド下手くそな瑠璃葉が二度も愛の言葉を放ってくれるとは思わないじゃないか。
それも俺に対して!
あ、言っててちょっと泣けてきそう。
泣かないけどね!男の子だからね!
「……っ、俺も、大っ好きやで!瑠璃葉ぁぁぁ!」
「控え目に言って煩い」
「もう!そんなところも可愛ええなぁ!ほんま俺の天使!いっそ小悪魔!」
「どちらにせよ人外なのね」
「もう!人外レベルで可愛ええ!めっちゃ好き!」
「……耳元で叫ばないで頂戴。あとさりげなくお尻を触って来ないで」
あまりに嬉しくて瑠璃葉の身体を抱き締めながら、その身体に見合った小さな頭にグリグリと頬を擦り寄せる。
「あー、もー、瑠璃葉のことぜんぶ好き!」
愛情表現が苦手な瑠璃葉が精一杯想いを伝えてくれた。それが嬉しくてニマニマと頬が緩んでいく。
あまりに鬱陶しかったのか、瑠璃葉から頭にチョップが下されるまで、あと数分。
痛くも痒くもないソレを受けてまた愛を叫ぶまで、そんなに時間は掛からないだろう。
「めっちゃ好き!」
「……煩いわ」
聞こえているわよ。
そう呟いた瑠璃葉の目元がほんの少しだけ赤く染まっていたのを、俺は見逃さなかった。
まあ、歓喜で叫ばなかっただけ成長したなと思いながら、この世界で一番大切なお姫様を抱き締める腕に力が篭った。
「へ?な、なんやて?」
バスケ部の鬼マネージャーが「今日はリフレッシュ日!絶対に身体を休めること!」と宣言した故に出来た、久し振りの休日。
彼女たる瑠璃葉の家で彼女を抱き締めながら雑誌を見ていた時のこと。
ソレは起きたのだ。
「あら?聞こえていなかったのかしら?」
「い、いや……」
ここでもし「聞こえていない」と嘘の発言をしたところで、きっと彼女はへそを曲げてしまうだろう。
けれども、付き合って一年以上。いい加減彼女が愛情表現が如何に下手だろうとも、その言葉くらいはもう一度聞きたいと願ってもいいと思うんですよね!?
「も、もういっぺん言って?」
「……あなた、いつからそんなに意地悪になったのかしら?」
「せやかて、瑠璃葉」
お前自分の愛情表現の下手さを考えてくれ!?
そう叫びそうになったのを堪えた。
付き合って一年以上。そろそろ彼女のことも分かってくると言うもので。
唇を尖らせて拗ねる瑠璃葉に、こんな時でも「可愛ええなぁ、何この生き物」なんて感情すら湧くのだが。
拗ねられて口を利かない、なんてことになっても嫌なのでそろそろ折れるかと口を開こうとしたその瞬間。
「だから、……私はあなたのことが好きだと言ったのよ」
「……へ!?」
「あなたね、」
怒りを通り越して呆れた声を発する瑠璃葉に、俺は「今のは聞こえてた!」と慌てて弁明する。
まさかあの愛情表現がド下手くそな瑠璃葉が二度も愛の言葉を放ってくれるとは思わないじゃないか。
それも俺に対して!
あ、言っててちょっと泣けてきそう。
泣かないけどね!男の子だからね!
「……っ、俺も、大っ好きやで!瑠璃葉ぁぁぁ!」
「控え目に言って煩い」
「もう!そんなところも可愛ええなぁ!ほんま俺の天使!いっそ小悪魔!」
「どちらにせよ人外なのね」
「もう!人外レベルで可愛ええ!めっちゃ好き!」
「……耳元で叫ばないで頂戴。あとさりげなくお尻を触って来ないで」
あまりに嬉しくて瑠璃葉の身体を抱き締めながら、その身体に見合った小さな頭にグリグリと頬を擦り寄せる。
「あー、もー、瑠璃葉のことぜんぶ好き!」
愛情表現が苦手な瑠璃葉が精一杯想いを伝えてくれた。それが嬉しくてニマニマと頬が緩んでいく。
あまりに鬱陶しかったのか、瑠璃葉から頭にチョップが下されるまで、あと数分。
痛くも痒くもないソレを受けてまた愛を叫ぶまで、そんなに時間は掛からないだろう。
「めっちゃ好き!」
「……煩いわ」
聞こえているわよ。
そう呟いた瑠璃葉の目元がほんの少しだけ赤く染まっていたのを、俺は見逃さなかった。
まあ、歓喜で叫ばなかっただけ成長したなと思いながら、この世界で一番大切なお姫様を抱き締める腕に力が篭った。