Welcome to dream
愛+愛=
What's your name?
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目の前に現れた女の子は、見た事ないくらい可愛くてその声は綺麗で本当に天使だと思ったんだ。
きっときっと、笑った顔はもっと綺麗なんだろうなと。子供ながらに思った記憶がある。
「.....どうしたの?」
出会って数ヶ月。天使みたいと思った衝撃のあの日から随分時間が過ぎて、半袖だった季節はダウンコートを着る季節へと変わり、その頃ようやっと俺は彼女に話しかけることが出来た。
廊下の一番奥。
殆ど誰も使わない自販機の向こう側。誰からも見られないそんな隅っこで膝を抱えて俯くノアの姿を見つけた。
薄暗闇でジトジトしたその場所は、スタッフにもジュニアにも好かれない静かな空間。
「...ノアちゃん、だよね。
どこか痛いの?具合悪い?誰か呼ぼうか?」
何も答えない彼女に焦って、矢継ぎ早に言葉を進める俺。いつ思い返してもこの時の俺よ落ち着け!と思うであろう程、俺は焦っている。
対してノアは俯いたまま塞ぎ込んで微動打にしない。...いや、少しだけ肩が震えていた。
「.....よし、俺もここに座っちゃう!」
ノアの隣に空いた人一人分のスペースに腰を下ろして、男とは違う柔らかくて細い背中をゆっくりと撫でる。
俺よりも高い体温。小さな震え。
「 ...ありがとう、相葉さん 」
その声を聞いた俺の心臓がぶるりと一層脈打った。俺だけに向けられた綺麗な音に思わず顔が緩んでしまう。あぁ、なんて事だ。彼女が自分の名前を知っているだなんて。こんな嬉しいことないよ、と緩んだ顔はそのままにむふふと声が出てしまった。
「 今日だけですから。今日だけ。
今日だけ落ち込んだらまた笑うから...。
だから今日だけ許して.....、 」
か細く吐き出された言葉は悲しみを帯びて、誰かに何かを言われたのだろうかと考える。
ジャニーズという男所帯の中に突如として現れた女の子の存在は、意外にも大きな衝撃を与え、内部からも外部からも反発する者が出ていると知ったのは記憶に新しい。
そりゃそうだとその時は楽観的に話を流した。
俺はあの子を綺麗だと思うけど、違う誰かはそう思わないかもしれない。今までずっと男しかいない中で頑張ってきたのだから、違う誰かはそう思うのだろう。
でも、悪意ある言葉や行動で今、彼女は傷ついている。耐えて耐えて、けれど耐えきれなかった悲しみが溢れ出してしまっている。例え彼女が気に食わなくても傷つけていいという事じゃないんだ。
「俺はね、俺はねノアちゃん」
名前を呼ばれて顔を上げたノアの額に、触れるだけの愛情を。我ながらマセた子供だと思う。
「俺はノアちゃんが素敵だと思うよ」
「 え.....? 」
「綺麗で可愛くて優しくて強いと思う」
「 ...あ、...ありがとう 」
涙の浮かぶ顔に少しの照れが映る。
「でもね、女の子だから。
嫌だろうけど女の子には変わりないから。
どんなに優しくて強くても。
きっとね、強くいられない時があると思う」
「 .....、 」
「泣きたい時は俺のところにおいで」
俺の胸で君をたくさんたくさん泣かせたら、その後は絶対に笑わせてみせるから。
「だから、大丈夫だよ」
この時の俺は、彼女を救えただろうか。
少しでも安らぎを安心感を与えられただろうか。
「 相葉さん? 」
「ん、なーに?どうした?」
「 あ、いや、ボーッとしてるから.....
具合悪いのかなって 」
ソファに身を委ねる俺を上から覗き込むノア。あの頃よりもずっとずっと大人になった顔つき。けれど優しい微笑みには面影がある。
「ノアと初めて話した日の事を思い出してた」
「 ...あぁ、懐かしいですね〜 」
優しい優しい俺の愛しい子。
白い陶器の様な肌に触れれば無くなってしまいそうな、そんな脆さを感じさせる雰囲気はあの頃から変わらない。
「ねぇ、ノア」
ノアの頬に手を添えて、するりと指先で撫でれば微かに震えた彼女はそれでも俺の手に擦り寄ってきた。
「俺がいるよ」
そしたら君はもう1人にはならないでしょ?