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さん
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船へと走るエースの姿を目にした白ひげの傘下達が訳の分からない混乱のまま、その後を追う。自分達はエースが助かれば此処にいる用は無いのだ。エースが助かった!船に戻れ!と白ひげ海賊団一番隊隊長の不死鳥マルコが全傘下へと声を張り上げる。しかし、それを易々と許す筈もない海軍は退いて行く海賊達に剣を振り下ろした。
「 ...躾のなっていない犬っころだねぇ全く。
いつから海軍はこんな風になったんだい? 」
次から次へと襲い来るサカズキの攻撃を、視界に入れずとも避けるノアは、本日何度目か分からない溜息をいっぱいに吐き出し、スルリと空を撫でる。
空からピキっと音が鳴った様な気がした。すると振り下ろされる剣は瞬く間に動きを止め、放たれた弾丸は海賊の体へ届く前に地に転がり、悪魔の実の能力者は海に入ったかの様な脱力感で膝をつく。あまりにも不自然な状況に海兵達は驚きと困惑で目を見開くしか出来なかった。
また、海賊達も突然指令を失った海兵の様子に困惑し思わず走る足を止めてしまう。
「 ....チッ...足を止めるんじゃないよ、お前達。早く船に乗って安全な海の中へと潜る事だけを考えなさいな。詳しい話は合流次第、好きなだけ聞かせてやろうじゃないか。
...分かったら白ひげ。アンタもそこでボウっと突っ立っていないでさっさと行っておしまいよ。此処に居ては邪魔になるんだから 」
ようやっと白ひげに声を掛けたノアは未だ立ち止まる海賊達の足を、手を振って無理に動かし、再度意識を白ひげへと向けた。お互い沈黙の中でも会話をしている様な感覚は久しく懐かしいものだ。昔は戦いの中で、こうして目で会話をしていたのを思い出し、双方同じタイミングで頬を緩め、そうして白ひげは家族達と共に海の中へ消えて行った。
_____「あんまり遅くなるんじゃねェぞ」
_____「 あぁ、すぐに追い付くさ 」
光も届かなくなった海底を真っ直ぐ進む白ひげ海賊団の家、モビーディック内は、突如戦場に現れた女の話題で持ち切りだった。しかし今は見知らぬ女の事よりも自分たちの治療が先である。
白ひげは息子たちに休息を勧め、命からがら戻って来たエースの頭を撫で口を開いた。
「よく帰ってきた、バカ息子よ」
その言葉に今まで耐えていた感情が揺り動かされエースは静かに涙を流す。ありがとう、ありがとうと言えるだけたくさん口に出し、隣で既に眠りこけている弟ルフィにも同じくありがとうと泣きながらに言う。きっとルフィには聞こえていないだろうが、ここまで強くなった弟がエースは嬉しかった。あんなに弱く泣き虫だったルフィが、あの戦場では驚く強さを発揮したのだ。三大将を目の前に臆する事など無く、無我夢中に戦っていた。そしてルフィは強かった。今回、一番の功労者だろう。
ただ矢張りあの場ではあの女だけが異質であった。
強い。只ひたすらに強い。
強者等たくさん見てきたはずで、自分の家族だって世界に恐れられる程に強いはずだ。自惚れでなく、自分自身もまた強者の部類に入るだろう。
なのにどうしてか。
彼女には叶わないと悟った。運のいい事に敵ではない様子だったが、その背中だけでも体が震えてしまう程に。全身が彼女は危険だと警鐘を鳴らす。
「...くそ、」
思い出せば今だって手が震える。吐き出した言葉もまた震えていた。
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