Welcome to dream
ドレスに着替えて
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この世界、或はこの世の中で最も権力を持っている生物。それが人間である。キミや私達の様な猿から進化した者達だ。誰だって知っている事であり、誰だってそれを信じて疑わない。権力を持ち知能を蓄えて生きているのが、人間だけだとそう思っている。
しかしそれは、この世の真の姿を知らないからで、知識を持っているのはなにも人間だけでは無い。権力があるのは人間だけでは無い。もっと広い世界に目を向けてみれば見えるかもしれない、人では無いナニカの存在達。
人よりも恐ろしい...この世の闇に生きるモノ達。
〔ノア!朝だぞ!起きろ!〕
〔起きろ!起きろ!
今日はガッコーの日だぞ!ノア!〕
月が落ち、朝日が昇ってまだ幾分も経たない頃。淡い青色の布団がもぞもぞと動き出すと、そこに集まるモノ達がいる。彼等は妖怪。人知れずこの世に古くから生きる存在だ。
〔ノア!ノア!遅刻するぞ!〕
「 .....、まだ5時よ...悪鬼達... 」
掛け布団から引っ張り起こされた可哀想なこの家の主であるノアは、毎度毎度早朝に起こしてくる妖怪に眠そうな目を向けた。若干怒っているように見えなくもないが、妖怪からしたらそんなの関係ねぇである。彼等はノアを起こせれば何でもいいのだ。
〔ノア!飯だ!腹減った!〕
〔飯だ!今日は魚だぞ!鮭だぞ!〕
「 ...あー、はいはい 」
頭に角の生えた悪鬼と呼ばれる妖怪は、ぼふぼふと布団の上を跳ねながらくるりと回ってみせる。朝からとてつもない元気さを発揮する妖怪、悪鬼族の子供達にいつもの事ながら溜息を零し、起きてしまったからには仕方ないと朝食の準備に部屋を出るのであった。
〔ノア、今日からガッコーなんだろ?〕
「 ん、そうよ。今日から高校生 」
〔ガッコーって面白ぇのか?〕
「 人それぞれでしょ 」
赤い髪から覗く小さな角は一本。ノアの家にこうして遊びに来る悪鬼の双子のうち、兄の方である。弟は青い髪に小さな角が二本。彼等に肯定した名前は無いが、名前が無ければ呼びずらいのでノアは兄の事を赤角、弟の事を青角と呼んでいた。
「 いい?アカツノ、アオツノ。
学校には来ちゃダメよ。何があっても絶対に 」
〔えーなんでだよー〕
〔俺等も人間のガッコー行きてぇ!〕
鮭を三枚焼きながら、お行儀よくダイニングテーブルの椅子に座る双子に念を押すとやはり、双子はつまらなそうに不服を述べる。昨日、あれだけ話をしたのに...1度寝ればすぐこうだ...と頭を抱えたくなる衝動を抑え、静かに息を吐く。
基本的に自由奔放で勝手な行動をする悪鬼達を普段は何も言わずに、ただ怪我だけはしないようにとそれだけで後は好きにさせていた。彼等は自分とは違う、妖怪だから。好きに生きるのが妖怪の性分である。
しかし、人間のいる学校に来るのは別だ。
「 確かに、普通の人間に貴方達は見えないけど...貴方達の姿隠しはまだまだ未熟でいつ解けるか分からないでしょう? 」
〔そうだけどー〕
「 人間は危険よ。未知のモノには特にね 」
もしも学校に角の生えた子供が居たら...。
人間が起こす行動など目に見えている。
妖怪にとって人間は弱い存在だが、人間にとって妖怪という未知の生物は危険極まりない存在なのだ。