鬼の手短編
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その先の言葉は愛し合った後で
「ん?!」
目が醒めて、スマホで時間を確認すれば思わず声を上げてしまった。
照明を落とした寝室のなか、スマホの光が目に痛い。
久々の二人きりの休日。
玄関で靴を脱ぐなり、鵺野先生は私を横抱きにする位、テンションが高かった。
リビングでも変にいじわるしてきて…。
秋は行事がたくさんあって忙しくて、なかなか二人でゆっくりできない。
だから、久々の休日の鵺野先生との時間を楽しみにしていたのに。
その楽しみとは……つまり……肉体的な意味であって………。
そんな自分が凄くはしたなく思えてしまった。
もちろん、鵺野先生と色々お話したり、お出かけもしたい。でも、何よりもぬくもりが欲しかった。
結局、鵺野先生も同じで、ベッドになだれ込むなりお互いに貪り合うように抱き合って………寝落ちしてしまったのだ。
時計は既に夕食時を指していた。
「んー………」
隣で眠る鵺野先生が仰向けからこちらに寝返りを打ってきた。
「鵺野先生、もう夜になっちゃいましたよ」
「ん?!」
逞しい肩を揺らせば瞼を震わせ、私の言葉にとうとうガバリと起き上がった。
布団がめくれ、一糸まとわぬ互いの姿が露わになった。
「寝ちまったか………」
鵺野先生は頭を乱暴に掻いた。
背中と二の腕の逞しさに思わず見惚れてしまう。
「お腹空きませんか………って、ちょっと!」
枕元に脱ぎ捨てた下着を身に着けていたら、再び鵺野先生に押し倒されてしまった。
「………」
じっとりとした目つきで無言で私を見下ろす鵺野先生だけど何を思っているのだろう。
「………どうしました?」
「朱美……」
名前を呼ばれたものの、沈黙が続く。
「………泊まっていい?」
胸が嬉しさで弾むけれど、それ故に返事が可愛げのないものになってしまった。
「着替えは?」
「………下着だけ持ってきた」
じゃあ今から服を洗って部屋干しすれば大丈夫だろう。Tシャツとかはこの間置いていったものがあるし。
そう考えたら思わず笑ってしまった。
鵺野先生と恋人になったという実感が改めて湧いてきて、嬉しくなったのだ。
「泊まってください」
「良かった…………」
「断る理由なんてないじゃないですか」
いつもお互いの家に行く約束はするけど、お泊りをする約束はしていなかった。
そして夜になってよくやくお互いその事をおずおずと尋ねるのがいつもの流れだ。
「…………あのですね………」
鵺野先生は大きく深呼吸をした。
「いつもこうやって俺達、確認しあってますよね」
「はい」
「非効率的じゃないか?」
「そう、ですよね」
「精神衛生上にも宜しくない!断られたらどうしようとか、気が気じゃないんです」
「私も、そうでした」
でしょう?!と鵺野先生は食い気味に確認した。
鵺野先生は教師でもあるが、優秀な霊能力者だ。
除霊の依頼があればあちこち行くこともある。
だから、会えない週末はすごく寂しい。
いつも金曜日にどちらの家に行くか話すのだけれど、「実は依頼があって」と切り出されたとき、一緒に過ごせない明日が憂鬱で仕方がなかったのだ。
かく言う私も、家族の用事や友達との約束があって断ることがあった。その時の鵺野先生の寂しそうな顔に私は申し訳なさで胸が痛かった。
「年度始めとか、学期末とか、秋とか、………除霊の依頼とか………朱美に会えないのは………辛い!」
お互い大人なのだから、その事も含めて確認し合えばいいのだが、それが出来ないのは気恥ずかしさもあるけれど、断られた時の悲しさに耐えられる自信が私には無かった。
そして、鵺野先生も同じことを考えていたのかもしれない。
今の鵺野先生は、お泊りを断るときと同じ表情をしているのが薄暗いなかでも分かった。
精悍な顔立ちの鵺野先生の顔が悲しそうにしていると、子犬のようなあどけなさが出て、胸の中で甘いときめきが弾ける。
こうして、会えないのが寂しいと前面に出してくれるから、私は寂しくてもその寂しさに潰れることは無かったんだなと気がついた。
「うん………」
「だから………いっそ………その…………」
土日に会える楽しみと、もしかしたら会えないかもしれないという不安に悩まされているのは、鵺野先生も私も同じなのだ。
もう悩まされたくない。
好き合って、やっと恋人になれたのに……。
どうすればこんなモヤモヤする日々を解消できるのだろうと私は考えた。
鵺野先生と一緒にいられるためには………。
「一緒に住めば不安は解消されますね」
私の言葉に鵺野先生はがくりと崩れ落ちた。
ごろんと私の隣に戻り、口をとがらせて天井を見上げている。
「鵺野先生………?」
「俺の………セリフ………おれの………」
「え……」
「簡単に言わないでくださいよ……」
「え、……えぇ?!」
確かに簡単に言ってしまった。
自分の発言の大胆さと、鵺野先生も同じことを言おうとしていた事を知って、恥ずかしさと嬉しさが込み上がってくる。
「ふふ………」
「家事は分担制にします?」
「鵺野先生、サボりそう」
「そんなことは!…………あるかもしれない」
「じゃあ一緒に住むのはやめようかなぁ」
「頑張ります!努力します!!」
必死な鵺野先生の様子に私が吹き出せば、鵺野先生もつられて笑い出した。
「一緒に住んで………ゆくゆくは…………」
鵺野先生の大きな手が私の頬を包む。
その先の言葉を聞きたかったけれど、もう一度、この嬉しさの中で貴方を味わいたい。
きっと鵺野先生もそう思ったのだろう。
私達は深く甘い口づけをした。
「ん?!」
目が醒めて、スマホで時間を確認すれば思わず声を上げてしまった。
照明を落とした寝室のなか、スマホの光が目に痛い。
久々の二人きりの休日。
玄関で靴を脱ぐなり、鵺野先生は私を横抱きにする位、テンションが高かった。
リビングでも変にいじわるしてきて…。
秋は行事がたくさんあって忙しくて、なかなか二人でゆっくりできない。
だから、久々の休日の鵺野先生との時間を楽しみにしていたのに。
その楽しみとは……つまり……肉体的な意味であって………。
そんな自分が凄くはしたなく思えてしまった。
もちろん、鵺野先生と色々お話したり、お出かけもしたい。でも、何よりもぬくもりが欲しかった。
結局、鵺野先生も同じで、ベッドになだれ込むなりお互いに貪り合うように抱き合って………寝落ちしてしまったのだ。
時計は既に夕食時を指していた。
「んー………」
隣で眠る鵺野先生が仰向けからこちらに寝返りを打ってきた。
「鵺野先生、もう夜になっちゃいましたよ」
「ん?!」
逞しい肩を揺らせば瞼を震わせ、私の言葉にとうとうガバリと起き上がった。
布団がめくれ、一糸まとわぬ互いの姿が露わになった。
「寝ちまったか………」
鵺野先生は頭を乱暴に掻いた。
背中と二の腕の逞しさに思わず見惚れてしまう。
「お腹空きませんか………って、ちょっと!」
枕元に脱ぎ捨てた下着を身に着けていたら、再び鵺野先生に押し倒されてしまった。
「………」
じっとりとした目つきで無言で私を見下ろす鵺野先生だけど何を思っているのだろう。
「………どうしました?」
「朱美……」
名前を呼ばれたものの、沈黙が続く。
「………泊まっていい?」
胸が嬉しさで弾むけれど、それ故に返事が可愛げのないものになってしまった。
「着替えは?」
「………下着だけ持ってきた」
じゃあ今から服を洗って部屋干しすれば大丈夫だろう。Tシャツとかはこの間置いていったものがあるし。
そう考えたら思わず笑ってしまった。
鵺野先生と恋人になったという実感が改めて湧いてきて、嬉しくなったのだ。
「泊まってください」
「良かった…………」
「断る理由なんてないじゃないですか」
いつもお互いの家に行く約束はするけど、お泊りをする約束はしていなかった。
そして夜になってよくやくお互いその事をおずおずと尋ねるのがいつもの流れだ。
「…………あのですね………」
鵺野先生は大きく深呼吸をした。
「いつもこうやって俺達、確認しあってますよね」
「はい」
「非効率的じゃないか?」
「そう、ですよね」
「精神衛生上にも宜しくない!断られたらどうしようとか、気が気じゃないんです」
「私も、そうでした」
でしょう?!と鵺野先生は食い気味に確認した。
鵺野先生は教師でもあるが、優秀な霊能力者だ。
除霊の依頼があればあちこち行くこともある。
だから、会えない週末はすごく寂しい。
いつも金曜日にどちらの家に行くか話すのだけれど、「実は依頼があって」と切り出されたとき、一緒に過ごせない明日が憂鬱で仕方がなかったのだ。
かく言う私も、家族の用事や友達との約束があって断ることがあった。その時の鵺野先生の寂しそうな顔に私は申し訳なさで胸が痛かった。
「年度始めとか、学期末とか、秋とか、………除霊の依頼とか………朱美に会えないのは………辛い!」
お互い大人なのだから、その事も含めて確認し合えばいいのだが、それが出来ないのは気恥ずかしさもあるけれど、断られた時の悲しさに耐えられる自信が私には無かった。
そして、鵺野先生も同じことを考えていたのかもしれない。
今の鵺野先生は、お泊りを断るときと同じ表情をしているのが薄暗いなかでも分かった。
精悍な顔立ちの鵺野先生の顔が悲しそうにしていると、子犬のようなあどけなさが出て、胸の中で甘いときめきが弾ける。
こうして、会えないのが寂しいと前面に出してくれるから、私は寂しくてもその寂しさに潰れることは無かったんだなと気がついた。
「うん………」
「だから………いっそ………その…………」
土日に会える楽しみと、もしかしたら会えないかもしれないという不安に悩まされているのは、鵺野先生も私も同じなのだ。
もう悩まされたくない。
好き合って、やっと恋人になれたのに……。
どうすればこんなモヤモヤする日々を解消できるのだろうと私は考えた。
鵺野先生と一緒にいられるためには………。
「一緒に住めば不安は解消されますね」
私の言葉に鵺野先生はがくりと崩れ落ちた。
ごろんと私の隣に戻り、口をとがらせて天井を見上げている。
「鵺野先生………?」
「俺の………セリフ………おれの………」
「え……」
「簡単に言わないでくださいよ……」
「え、……えぇ?!」
確かに簡単に言ってしまった。
自分の発言の大胆さと、鵺野先生も同じことを言おうとしていた事を知って、恥ずかしさと嬉しさが込み上がってくる。
「ふふ………」
「家事は分担制にします?」
「鵺野先生、サボりそう」
「そんなことは!…………あるかもしれない」
「じゃあ一緒に住むのはやめようかなぁ」
「頑張ります!努力します!!」
必死な鵺野先生の様子に私が吹き出せば、鵺野先生もつられて笑い出した。
「一緒に住んで………ゆくゆくは…………」
鵺野先生の大きな手が私の頬を包む。
その先の言葉を聞きたかったけれど、もう一度、この嬉しさの中で貴方を味わいたい。
きっと鵺野先生もそう思ったのだろう。
私達は深く甘い口づけをした。