本編
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時計塔に再び入り、少し進むと天井からぱらぱらと土が落ちてきた。
「・・・?」
俺が進むと、土が落ちてくるのともう一つ、足音みたいなものがついてくる。
「また新手の奴かよ・・・」
勘弁してくれ、と頭を抱える。
新たな恐怖と、聖に迫る死の不安の膨らむ胸を押さえ、俺は全速力で走りだした。
しかしその歩調に合わせて天井上の怪物も走ってくる。
しばらくして、広間に辿り着いた。
ここなら天井は無い。さっきの奴も追ってきようが無いだろう。
壁でもぶち破ってくるんなら別だけどな。
「・・・?」
俺は不可解な音を聞いた。
・・・誰かが壁を叩いている。
その音はどんどんと大きくなっていき、やがて音がしていた壁に亀裂が走る。
俺の予想はまんまと的中してしまった。
目の前をくらくらとさせていると、黒服の化け物が壁をぶち破って俺の目の前に現れた。
いや、先程とは容貌が少し違うがやっかいな化け物に変わりは無い。
「・・・てめぇかよ!」
俺はマグナムを取ろうとしたが、今はこいつを相手にしている場合じゃない事を思い出す。
化け物は先程より随分量が多くなっている触手を思い切り俺に向けて振りかぶる。
その横をすり抜け、俺は聖の待つ礼拝堂に急いだ。
奴が俺を見失えば、問題ないはずだ。
しかし化け物はそれを執拗に、正確に追いかけてくる。
礼拝堂は目の前だ。これ以上進めば聖の身が危ない。
俺は振り切るのを諦め、化け物に向かってマグナムを構えた。
「止まりやがれ!」
一発、その大きな弾丸を放ったが、その先に化け物の姿は見えない。
頭上を、黒い影が舞った。
「っなぁ!?」
俺の目は影を追った。
その影が実体を持ち、高い位置から俺を見下ろす。
眼前に立つ化け物。
初めてこんな近くで見た。
上半身の服が無くなっているのはあの時炎に巻かれたからなのだろう、服の隅々に焦げた跡がある。
化け物は濁った瞳で俺を睨んだ。
礼拝堂の扉を守るかのように、俺の前に立ちはだかる。
まるで俺の方が悪者みたいに。
「冗談じゃねぇぞ!!」
その態度に俺は怒りを覚え、睨み返した上に怒鳴りつけた。
化け物は俺を見下ろしたまま、驚いたような顔をしている。
「聖を殺しかけたのはてめぇだろうが!」
唾が飛ぶような怒声を浴びせると、化け物は硬直した。
白い瞳を何処かに向け、ただただ呆然としている。
何だよ、こいつ。
俺はその横を通り過ぎ、礼拝堂への扉を開けた。
「生きてるか!聖!!」
聖は俺に背を向け、横になっていた。
「聖?」
返事がない。
全身から嫌な汗が噴き出てくる。
「おいおい嘘だろ」
しかし万が一に備え、俺はハンドガンを握りしめた。
これを使う事にならないでくれと祈りながら、恐る恐る近寄る。
聖は脂汗を額中に浮かべ、浅い呼吸をしている。
真っ青な顔に浮かぶ苦悶の表情が「限界」を告げようとしていた。
俺はワクチンを注射器に吸入し、指で少し弾く。
注射器内の空気を出し、聖の紫色の肩にその針を刺した。
少し奥まで挿し込み、ゆっくり液体を注入していく。
「間に合ってくれ・・・」
液体を全て入れ終えて針を引き抜く。
次第に静かになる息。
一瞬、最悪のイメージが頭に浮かぶ。
しかしそれはすぐに掻き消された。
みるみる顔に生気が戻り、聖は間抜けな寝息を立て始めた。
肩の色も先程より元の肌色に近づく。
俺はほっと胸を撫で下ろし、息を吐いた。
俺が後ろを振り向くと、黒服の奴が後ろに立っていた。
「・・・なんだよ?」
意味は無いと思うが、聞いてみる。
黒服はそれを無視するように俺の横に立ち、聖を見つめた。
「寝てるんだよ、そっとしとけ」
俺はそう言って黒服の肩をぽんぽんと叩いた。
すると黒服は無言でロケットランチャーを突き出してくる。
「―――ってめ」
俺が身構えると、黒服は器用に触手を使いそのロケットランチャーを手渡してきた。
「・・・使えってか?」
頭を縦に振り、黒服は礼拝堂から静かに出て行った。
俺は溜息をつき、目を閉じる。
そういえばさっきまであんなに強かった雨音が聞こえない。
雨が、止んだ。
「・・・?」
俺が進むと、土が落ちてくるのともう一つ、足音みたいなものがついてくる。
「また新手の奴かよ・・・」
勘弁してくれ、と頭を抱える。
新たな恐怖と、聖に迫る死の不安の膨らむ胸を押さえ、俺は全速力で走りだした。
しかしその歩調に合わせて天井上の怪物も走ってくる。
しばらくして、広間に辿り着いた。
ここなら天井は無い。さっきの奴も追ってきようが無いだろう。
壁でもぶち破ってくるんなら別だけどな。
「・・・?」
俺は不可解な音を聞いた。
・・・誰かが壁を叩いている。
その音はどんどんと大きくなっていき、やがて音がしていた壁に亀裂が走る。
俺の予想はまんまと的中してしまった。
目の前をくらくらとさせていると、黒服の化け物が壁をぶち破って俺の目の前に現れた。
いや、先程とは容貌が少し違うがやっかいな化け物に変わりは無い。
「・・・てめぇかよ!」
俺はマグナムを取ろうとしたが、今はこいつを相手にしている場合じゃない事を思い出す。
化け物は先程より随分量が多くなっている触手を思い切り俺に向けて振りかぶる。
その横をすり抜け、俺は聖の待つ礼拝堂に急いだ。
奴が俺を見失えば、問題ないはずだ。
しかし化け物はそれを執拗に、正確に追いかけてくる。
礼拝堂は目の前だ。これ以上進めば聖の身が危ない。
俺は振り切るのを諦め、化け物に向かってマグナムを構えた。
「止まりやがれ!」
一発、その大きな弾丸を放ったが、その先に化け物の姿は見えない。
頭上を、黒い影が舞った。
「っなぁ!?」
俺の目は影を追った。
その影が実体を持ち、高い位置から俺を見下ろす。
眼前に立つ化け物。
初めてこんな近くで見た。
上半身の服が無くなっているのはあの時炎に巻かれたからなのだろう、服の隅々に焦げた跡がある。
化け物は濁った瞳で俺を睨んだ。
礼拝堂の扉を守るかのように、俺の前に立ちはだかる。
まるで俺の方が悪者みたいに。
「冗談じゃねぇぞ!!」
その態度に俺は怒りを覚え、睨み返した上に怒鳴りつけた。
化け物は俺を見下ろしたまま、驚いたような顔をしている。
「聖を殺しかけたのはてめぇだろうが!」
唾が飛ぶような怒声を浴びせると、化け物は硬直した。
白い瞳を何処かに向け、ただただ呆然としている。
何だよ、こいつ。
俺はその横を通り過ぎ、礼拝堂への扉を開けた。
「生きてるか!聖!!」
聖は俺に背を向け、横になっていた。
「聖?」
返事がない。
全身から嫌な汗が噴き出てくる。
「おいおい嘘だろ」
しかし万が一に備え、俺はハンドガンを握りしめた。
これを使う事にならないでくれと祈りながら、恐る恐る近寄る。
聖は脂汗を額中に浮かべ、浅い呼吸をしている。
真っ青な顔に浮かぶ苦悶の表情が「限界」を告げようとしていた。
俺はワクチンを注射器に吸入し、指で少し弾く。
注射器内の空気を出し、聖の紫色の肩にその針を刺した。
少し奥まで挿し込み、ゆっくり液体を注入していく。
「間に合ってくれ・・・」
液体を全て入れ終えて針を引き抜く。
次第に静かになる息。
一瞬、最悪のイメージが頭に浮かぶ。
しかしそれはすぐに掻き消された。
みるみる顔に生気が戻り、聖は間抜けな寝息を立て始めた。
肩の色も先程より元の肌色に近づく。
俺はほっと胸を撫で下ろし、息を吐いた。
俺が後ろを振り向くと、黒服の奴が後ろに立っていた。
「・・・なんだよ?」
意味は無いと思うが、聞いてみる。
黒服はそれを無視するように俺の横に立ち、聖を見つめた。
「寝てるんだよ、そっとしとけ」
俺はそう言って黒服の肩をぽんぽんと叩いた。
すると黒服は無言でロケットランチャーを突き出してくる。
「―――ってめ」
俺が身構えると、黒服は器用に触手を使いそのロケットランチャーを手渡してきた。
「・・・使えってか?」
頭を縦に振り、黒服は礼拝堂から静かに出て行った。
俺は溜息をつき、目を閉じる。
そういえばさっきまであんなに強かった雨音が聞こえない。
雨が、止んだ。