真田弦一郎
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ある日の放課後……
委員会の仕事を終えた俺は、その日は部活がなかった為、真っ直ぐ帰宅するべくエントランスへと向かった。
広めのエントランスホールには、下校時の賑やかさはもうない。
上履きから外靴へ履き替えようと自分の下駄箱へ向かうと、段差にちょこんと腰掛ける女子生徒がいた。
着ている制服がうちのものとは違う。
おそらく、学期途中に転入してきたと聞いていた、その女子生徒だろう。
急な転入で、制服の手配が間に合わなかったらしい。
顔は少し俯き気味で、じっとしている。
もしや具合でも悪いのだろうか?
「おい、そこの女子、具合でも悪いのか?」
と、確認のため声をかけてみる。
女子生徒は自分にかけられた言葉と気付いたようで、振り向き答えた。
「私の事?……大丈夫。具合、悪そうだった?」
「いや……もしそうだったらと、一応聞いてみただけだ」
体調が悪いわけではないらしい。
誰かと待ち合わせでもしているのだろうか?
それ以上は深く聞かず、俺は上履きから外靴に履き替える。
校舎から外へ出ようとしたが、視線を感じた俺は振り返る。
視線はさっきの女子生徒からのもので、先程と変わらぬその場所で、両手で頬杖をつきながら俺の事を眺めていた。
「帰らないのか?」と、俺は思わず声をかけていた。
「帰ろうにも靴がなくて……」
靴がない?なぜだ?
俺の疑問が伝わったのか、
「私のストーカーか、性格の悪い女子が持って行っちゃったと思うんだけど……可愛いって大変」
と、女子生徒は続けた。
「自分の事を自分で可愛いとは……それは周りが言う言葉だろう」
「そう?」
神経の図太そうな奴だな、と思った。
それでも外靴がないと聞けば、放っては置けない。
「間違えて別の場所にしまった可能性はないのか?」
「一応確認したけど見つけられなくて、今こんな状態だったの。探すの疲れちゃって」
「俺がもう一度確認してみよう。探す人が変われば見つけられるかもしれん」
周囲をしばらく探してみたものの、無くなった外靴は見つけられなかった。
外靴が無ければ帰られんな……
「もういいよ。私の為にありがとね。もう裸足で帰っちゃおー」
裸足でか?
「いくら靴下を履いているからといって裸足で道を歩くなど、足を怪我したらどうする⁉︎……仕方がない、乗れ」
俺は彼女に背を向けしゃがみ込む。
「乗るって……」
彼女はキョトンとしているようだ。
「靴が売ってる1番近い店まで送ってやる。そこで新しい靴でも買うしかないだろう」と付け加えた。
彼女は少し驚いたように
「……おんぶしてくれるって事?」
と尋ねてきたので、頷いて答える。
少しの間の後に、
「じゃ、遠慮なくー」
と声が聞こえ、背中に重みを感じた。
「落ちないようにしっかり捕まっていろ」と、一応注意を促しておく。
彼女は、俺の首元へ両腕を回してしっかりと捕まったようだ。
……しっかり捕まっていろと言ったのは俺だが、初対面の人間に対し、ここまで遠慮なくしがみつけるとは大したものだと思う。
本当に神経が図太いようだ。
おんぶして歩く姿は目立つようで、道中、学校の敷地内に残っていた生徒や、すれ違う街の人々から、好奇の視線が注がれている。
小学生くらいの年の子をおんぶして歩くのとは訳が違う。
少しの恥ずかしさを感じながら歩いているが、後ろの彼女はどうだろう?
あえて尋ねはしなかったが……
お互いの名前すら知らない為、道中の話題は自己紹介からだった。
彼女の名前は苗字 名前という。
俺と同じ3年だ。
「真田弦一郎くんかー。老け顔の君に似合ういい名前だね」
「!…バカにしとるのか?」
「違う違う!老け顔の人は将来イケメンだもん!」
…そうとは限らないと思うし、今の俺はハンサムではないと言っているのと同じではないか。
自分の顔に自信などないが、失敬な…!
「今思ったけど、外靴にこだわらないで、仕方ないから上履きで帰っちゃえばよかったよねー」
確かにそれは言えている。
「真田くんには迷惑かけちゃったけど…まあ、いいか!レッツゴー!」
いいか、のひと言で済ませるな、と内心思ったが、ここまで来たら仕方ない。
店はすぐそこだった。
靴が売っている1番近い店まで着き、店内に入る。
「あ!そこの安い靴でいい」
彼女を試着用の椅子へ座らせ、代わりに会計してやった。
彼女の為にここまでやったのは、もちろん外靴がないと聞いて放ってはおけないと関わった責任からだ。
「真田くん、ありがとう!ほんと助かっちゃった!」
先程までは背中で感じていた彼女の笑顔。
その笑顔を目の当たりにした俺は、自然と笑顔になっていた。
委員会の仕事を終えた俺は、その日は部活がなかった為、真っ直ぐ帰宅するべくエントランスへと向かった。
広めのエントランスホールには、下校時の賑やかさはもうない。
上履きから外靴へ履き替えようと自分の下駄箱へ向かうと、段差にちょこんと腰掛ける女子生徒がいた。
着ている制服がうちのものとは違う。
おそらく、学期途中に転入してきたと聞いていた、その女子生徒だろう。
急な転入で、制服の手配が間に合わなかったらしい。
顔は少し俯き気味で、じっとしている。
もしや具合でも悪いのだろうか?
「おい、そこの女子、具合でも悪いのか?」
と、確認のため声をかけてみる。
女子生徒は自分にかけられた言葉と気付いたようで、振り向き答えた。
「私の事?……大丈夫。具合、悪そうだった?」
「いや……もしそうだったらと、一応聞いてみただけだ」
体調が悪いわけではないらしい。
誰かと待ち合わせでもしているのだろうか?
それ以上は深く聞かず、俺は上履きから外靴に履き替える。
校舎から外へ出ようとしたが、視線を感じた俺は振り返る。
視線はさっきの女子生徒からのもので、先程と変わらぬその場所で、両手で頬杖をつきながら俺の事を眺めていた。
「帰らないのか?」と、俺は思わず声をかけていた。
「帰ろうにも靴がなくて……」
靴がない?なぜだ?
俺の疑問が伝わったのか、
「私のストーカーか、性格の悪い女子が持って行っちゃったと思うんだけど……可愛いって大変」
と、女子生徒は続けた。
「自分の事を自分で可愛いとは……それは周りが言う言葉だろう」
「そう?」
神経の図太そうな奴だな、と思った。
それでも外靴がないと聞けば、放っては置けない。
「間違えて別の場所にしまった可能性はないのか?」
「一応確認したけど見つけられなくて、今こんな状態だったの。探すの疲れちゃって」
「俺がもう一度確認してみよう。探す人が変われば見つけられるかもしれん」
周囲をしばらく探してみたものの、無くなった外靴は見つけられなかった。
外靴が無ければ帰られんな……
「もういいよ。私の為にありがとね。もう裸足で帰っちゃおー」
裸足でか?
「いくら靴下を履いているからといって裸足で道を歩くなど、足を怪我したらどうする⁉︎……仕方がない、乗れ」
俺は彼女に背を向けしゃがみ込む。
「乗るって……」
彼女はキョトンとしているようだ。
「靴が売ってる1番近い店まで送ってやる。そこで新しい靴でも買うしかないだろう」と付け加えた。
彼女は少し驚いたように
「……おんぶしてくれるって事?」
と尋ねてきたので、頷いて答える。
少しの間の後に、
「じゃ、遠慮なくー」
と声が聞こえ、背中に重みを感じた。
「落ちないようにしっかり捕まっていろ」と、一応注意を促しておく。
彼女は、俺の首元へ両腕を回してしっかりと捕まったようだ。
……しっかり捕まっていろと言ったのは俺だが、初対面の人間に対し、ここまで遠慮なくしがみつけるとは大したものだと思う。
本当に神経が図太いようだ。
おんぶして歩く姿は目立つようで、道中、学校の敷地内に残っていた生徒や、すれ違う街の人々から、好奇の視線が注がれている。
小学生くらいの年の子をおんぶして歩くのとは訳が違う。
少しの恥ずかしさを感じながら歩いているが、後ろの彼女はどうだろう?
あえて尋ねはしなかったが……
お互いの名前すら知らない為、道中の話題は自己紹介からだった。
彼女の名前は苗字 名前という。
俺と同じ3年だ。
「真田弦一郎くんかー。老け顔の君に似合ういい名前だね」
「!…バカにしとるのか?」
「違う違う!老け顔の人は将来イケメンだもん!」
…そうとは限らないと思うし、今の俺はハンサムではないと言っているのと同じではないか。
自分の顔に自信などないが、失敬な…!
「今思ったけど、外靴にこだわらないで、仕方ないから上履きで帰っちゃえばよかったよねー」
確かにそれは言えている。
「真田くんには迷惑かけちゃったけど…まあ、いいか!レッツゴー!」
いいか、のひと言で済ませるな、と内心思ったが、ここまで来たら仕方ない。
店はすぐそこだった。
靴が売っている1番近い店まで着き、店内に入る。
「あ!そこの安い靴でいい」
彼女を試着用の椅子へ座らせ、代わりに会計してやった。
彼女の為にここまでやったのは、もちろん外靴がないと聞いて放ってはおけないと関わった責任からだ。
「真田くん、ありがとう!ほんと助かっちゃった!」
先程までは背中で感じていた彼女の笑顔。
その笑顔を目の当たりにした俺は、自然と笑顔になっていた。