☆魔法戦隊マジレンジャー&仮面ライダー剣☆

【第18話】

 世界には、「地球上に生息する、様々な生物の始祖たる生命体」が存在する。
 彼らはいかなる方法を用いても死なない事から、人間からは「アンデッド」と呼称された。
 何をしても「死なない」彼らの活動を制限する唯一の方法は、ラウズカードと呼ばれるトランプに似たカードへの「封印」。
 遥か昔、人間の始祖であるヒューマンアンデッドは自身を除く他のアンデッドを封印したことで、勝利者となり、世界は人間が支配下に置かれた。
 しかし数年前、アンデッドはある一人の人間の野望によって解放された。
 その折、剣崎けんざき 一真かずま相川あいかわ はじめたちばな 朔也さくや、そして上城かみじょう 睦月むつきの四人が、解放されたアンデッドを封印すべく戦い……そして、「終わりのない終わり」を迎えた。
 その後、様々な出来事があったのだが、結局のところラウズカードを四人で分担し保管していた。
 「一カ所にまとめて封印していた場合、一気に解放されてしまう恐れがある」と言う理由からの措置であった。
 しかし先頃、それぞれ保管していた中から一枚ずつ「失くなっている」事に気付き、最悪のケースを考えつつもそれを捜索。
 その途中「最悪の事態」である事が発覚し、二手に分かれた。
 別れた直後に見つかったのは、睦月が失くしたカードに封じられていた存在……「クラブの8」、スコーピオンアンデッドであり、それを睦月本人が今しがた再封印した。
 直後、分かれていた剣崎と始が合流したのだが……どうやら彼らの方は、アンデッドを見つける事は出来なかったらしい。
 互いの状況を説明し、落胆したような溜息が睦月の口から漏れた瞬間。彼らより先にアンデッドと戦っていた不可思議な六人組のうち、最年少と思しき赤いジャケットの青年……と言うか少年が、不機嫌そうに声をかけた。
「あんた達だけで話を進めないでくれよ。そもそも、一体何者?」
 喧嘩腰に放たれた言葉に、いささかむっとしながら、睦月はその少年を見やる。
 相手の方も僅かにだが、苛立っているらしい。睨むような目つきでこちらを見つめている。年長者らしい緑のジャケットの青年に窘められてはいるが、赤い少年は自分の態度を崩す気はなさそうだ。
 そんな彼らに対して口を開いたのは、始。彼は常に見開かれがちなその目を、一人だけデザインが他の五人とは異なるジャケットを着た青年に向けていた。
「……そう言うお前達こそ何者だ。特にそこの紺色の服の男」
「僕の事かな?」
「ああ。貴様……人間じゃないな」
「それは俺も、何となくだけどわかるよ。……人間とは違う気配だ」
 僅かながら困ったような笑顔を浮かべた青年に対し、睦月が予想すらしていなかった事を、始と剣崎は言い放つ。
 ……剣崎と始は人間ではない。二人とも「ジョーカー」と呼ばれるアンデッドだ。二人がジョーカーであるからこそ、「終わりのない終わり」と言う結末になったと言っても過言ではない。
 普段なら、アンデッドは別のアンデッドの気配を察知すると闘争本能に従って互いに戦うのだが……今は「ある事情」により、その闘争本能は互いに抑えられた状態となっている。
 とにかく、そんな二人が「人間ではない」と判断したのだ。恐らく、六人の引率者らしき青年は「ヒトではない何者か」だろう。
 「新手の敵」。
 そんな単語が頭を過ぎり、睦月は無意識の内に自身が変身する為のツールであるレンゲルバックルを腰に当てる。
 だが相手は、一瞬だけ驚いたように目を見開きはしたものの、すぐに爽やかさすら感じられる笑みを浮かべてこくりと首を縦に振り、言葉を放つ。
「うん。確かに僕は天空聖者だから、『人間』じゃないね」
 身構えていた睦月が……そして睦月ほどではないにせよ、剣呑な空気を纏いつつあった剣崎達すらも拍子抜けする程、あっさりと彼は自分が「ヒトにあらざる者」である事を認めた。
 だが、自身が「ヒトにあらざる者」であると言う割に、人間に対して敵意を持っているようには見えない。彼が纏う穏やかな雰囲気は、かつて出会ったアンデッドの一人……クラブスートのカテゴリーキングであるタランチュラアンデッドこと、しま のぼると似ている気がする。敵意どころか他者を慈しんでいるようにすら、彼の浮かべる笑みからは感じられた。
「とにかく、立ち話も難だね。どうかな? うちで話を……」
 「テンクウセイジャ」と名乗っていた青年が「話をしよう」と言い切るよりも早く、橘が持っていた小型のアンデッドサーチャーが警告音を鳴らす。同時に剣崎と始もまた、何かに反応したようにばっと同じ方向を向いた。
「橘さん!」
「近いな。それに、この反応は……」
 彼の手元の画面に映されたポインターには、「CATEGORY A」の文字。しかも、目と鼻の先にいる事になっている。
 そして、ジョーカーである二人の視線の先にいたのも……体に無数の棘を生やした、カブトムシを連想させるアンデッド。
 剣崎が失くしたカードに封印されていた存在、「スペードのA」であるビートルアンデッドだった。
「あれは!?」
「カテゴリーエース!!」
 驚きの声を上げる赤ジャケットの青年とは対照的に、剣崎は無意識のうちに警戒の声を上げていた。
 その声に気付いたのか、それまでこちらに背を向けていたビートルアンデッドが、こちらに向かって真っ直ぐに突っ込んでくる。だが。
「変身!」
『OPEN UP』
 先程腰にバックルを当てたままだった睦月が、襲い掛かるビートルアンデッドの前に躍り出ると、そのまま閉じていたバックルをスライドさせる。
 刹那、蜘蛛の模様の描かれた紫色の光の壁……研究者達がオリハルコンエレメントと呼ぶそれが展開し、駆けて来た相手を弾き飛ばし、逆に睦月はその壁を駆け抜けると、その姿をクラブスートの力で戦う戦士、レンゲルへと変えた。
 体勢を立て直し、再度こちらに向かい来るビートルアンデッドの剣を、手に持つロッド、醒杖レンゲルラウザーで払いのけ、袈裟懸けの要領でそのままレンゲルラウザーを振り下ろす。
 だが、相手もさる者。その一撃をギリギリで持っていた盾で防ぐと、そのままレンゲルラウザーを弾き返す。
「くっ……」
 攻撃を弾き返されたその瞬間、睦月の胴は当然がら空きになる。
 まずいと思うが、睦月が持っている得物は所謂「長物」だ。有効範囲も広いが、裏を返せば小回りは利きにくい。弾かれた時の動作も大きくなり、両手で構えているせいか、再び体勢を立て直すまでのタイムロスも大きくなる。
 睦月の戦闘における実力は、はっきり言って弱くない。むしろ使用しているベルトが改良型のライダーシステムと言う点も手伝っている為、充分に強い。
 だが、実力が拮抗している相手には僅かな隙も命取りになる。武器を構え直すまでのこの隙を、相手が見逃してくれるはずがなかった。
 先のお返しとばかりに、今度はビートルアンデッドが睦月の体を袈裟懸けに斬るべく、剣を振り下ろしにかかる。
――斬られる――
 衝撃を覚悟し、それでも直撃を避けるべく無意識の内に後ろに向かって睦月が飛んだ瞬間。
「大地よ、壁になれ! ジルマ・マジーロ!」
 声が、響いた。
 そう認識すると同時に、赤いジャケットの青年が金色の携帯電話のような物の先をこちらに向けているのが見えた。
――何をしているんだ、彼は――
 睦月が……そして剣崎達も不審に思った、その瞬間。睦月とビートルアンデッドの間にあった地面がせり上がり、彼の指示通り「壁」になった。睦月を、斬撃から守るかのように。
 唐突に現れたその「壁」に対処しきれなかったのだろう。睦月を斬るつもりだった一撃は、その「壁」のみを斬る結果に終わる。
 睦月はその壁に救われる形で剣から逃れると、即座に体勢を立て直す。青年がどうやってこの壁を出現させたのかとか、そもそも青年のお陰なのだろうかとか、色々と疑問に思う部分はあったが、今はそれよりもアンデッドだ。
 阻まれた事に苛立ったのか、ビードルアンデッドはそれに体当たりと斬撃を食らわせ、それを破壊する。が、既に体勢を立て直し終えた睦月は、壁を破壊した直後の相手の腹部に向けて突きを食らわせ、再び距離を稼いだ。
 何の強化もしていないが、それは充分に効いたらしい。相手は低く呻くと、数歩後ろへとたたらを踏む。
――今の「壁」がなかったら、危なかった――
 心の内でのみ安堵の溜息を吐きつつ、再びレンゲルラウザーを構え直す。一撃が入ったとはいえ、まだ油断はできない。どうやってこの状況を打破するか。そう考えた直後、今度は赤い青年の隣から、妙にテンションの高い女の声が響いた。
「カイちゃんやるぅ! それじゃあ、ホーカちゃん、かわりまーす。マージ・マジーロ!」
「何?」
 「かわります」と言う宣言を、「代わります」と受け取ったのか、睦月は心外そうに、声の主であるピンクのジャケットを着た女性の方へ僅かに視線を向けるが……どうやら、自分の認識は間違いだったらしい。「かわります」が交代を意味する「代わります」ではなく、変身を意味する「変わります」と言う意味である事に気付いたのは、その女性の姿がピンク色の扇風機になった瞬間であった。
「ホーカちゃん扇風機~!!」
 扇風機のどこから声を出しているのか分らないが、先程と大して変わらない、妙に明るい声でそう言うと、「彼女」と思しきその扇風機は、首をビートルアンデッドに向けて固定。始の持つ「トルネード」のカードと同等、もしくはそれ以上の威力の風を吹き付ける事で、相手の動きを止めた。
 正直に言えば、人間が無機物に「変身」した事に驚きを覚えるし、あの大きさの扇風機のどこに、「トルネード」クラスの風力を生み出す馬力があるのかとも思う。だが、そんな疑問は後で解決すればいい。今優先すべきは目の前のアンデッドだ。
「睦月、今だ!」
「はい!」
 剣崎にかけられた声に対して素直に頷くと、睦月はカードを三枚取り出し、レンゲルラウザーに読み込ませる。
『RUSH』
『BLIZZARD』
『POISON』
『BLIZZARD VENOM』
 レンゲルの必殺技の一つが発動、それと同時に、睦月の邪魔をしないようにと言う配慮からか、扇風機の強風が止む。
 それまでの強風に耐えようと、体に変な力をかけていたのだろうか。風が唐突に止んだ事で、ビードルアンデッドの体がぐらりと傾いだ。その事で生まれた隙を突き、睦月は強烈な突きと共に凍結させ、その身の内に毒液を流し込む凶悪コンボである「ブリザードベノム」を容赦なく叩き込む。
 アンデッドは死なない。だがそれ故に、与えられている苦しみは想像に絶する物だろう。
 扇風機に「変わって」いた女性も、既に元のピンクのジャケットの姿に戻って呑気にこちらを応援している。
 そんな彼らの様子に、仮面の下で苦笑を浮かべつつ、睦月は何も描かれていないカードを取り出し、アンデッドに向かって投げつけた。
 ひゅ、と空を切る音と共に、カードは凍りついたままのビートルアンデッドの胸部に突き刺さる。直後、カードは緑の光を放ちながら、ビートルアンデッドを吸引。その存在を、ラウズカードの中へと封印し、再び睦月の手の中に戻った。その表に、蒼い色の甲虫の絵を宿して。
 それを確認するや、睦月は一つ、小さく頷き……
「剣崎さん、あなたのカードだ」
 変身を解くと同時に、今さっき封印したカードと言葉を剣崎に向かって投げる。カードは綺麗な軌跡を描き、慣れたように受け取った剣崎の手の内に綺麗に収まる。そして受け取った方は、ほっとしたような表情でそれを見つめた。
「これで残り二体か……」
「ああ。俺が失くしたキャメルと、橘のホエールだ」
 安堵したように呟いた剣崎に答えるように、始が何の感慨もなさそうに言葉を紡ぐ。
 剣崎の抱く「もう半分」と言う空気とは対照的に、始の纏う空気は「やっと半分」と言いたげな真逆の物。
「…………さっきは助けてくれてありがとうございました」
「いや、礼を言われるような事じゃないって」
「も~、魁ちゃんってば照れ屋さん」
「……ほう姉が呑気なだけだろ」
 頭を下げた睦月に対し、赤いジャケットの少年……カイと言うらしい彼は照れたようにそっぽを向き、ピンクのジャケットの女性はその背中をバシバシ叩いて明るく笑う。そんな彼女に向って黄色いジャケットの青年が冷たく突っ込んでいたが、それはどうやら聞こえていないようだ。
 「姉」と言う呼び方をしたと言う事は、ここにいる面々は兄弟なのだろうか。少なくとも黄色の青年とピンクの女性は姉弟の関係らしい。
 暖かい「家族」の雰囲気を感じ、睦月は……そして剣崎達は、羨ましいような懐かしいような、そしてどこか寂しいような感覚に囚われる。
 四人の中で、「一般的な家族」と言う物を持っているのは睦月だけだ。その彼も、出生に何らかの闇を抱えている。時折浮かぶ記憶の断片らしき闇は、きっとそう言う意味なのだろう。
 橘は大切な女性ひとを亡くしているし、始はそもそも人間ではない。剣崎も幼い頃に自身の家族を失っている。
 「家族」と言う物に、何らかの思いを抱く彼らにとって、目の前にいる青年達の醸し出す雰囲気は、微笑ましくも羨ましいような感覚を呼び起こした。
「何だか話が途切れちゃったけど、改めて話を聞きたいな。さっきの獣の事も含めてね」
「それはこちらも同じだ」
 思い出したように放たれた紺色の服の青年の言葉に、橘が返し……四人は、とりあえずそれなりに和やかな雰囲気……と言うには少々疑問が残るが、とにかく彼らが言う「家」へと向かう事になった。

「どうぞ! 『アニキサラダ』です!」
「……マキト兄ちゃん、何でこのタイミングでそれ?」
「今朝は良い野菜が取れたからな!」
「いや、それ理由になってねぇよ、兄貴……」
 通された家は、本当にごく普通の「家」だった。閑静な住宅街に佇む一戸建て。家の中はアットホームな雰囲気と、「家庭」特有の温もりを感じる。
 ……玄関に入ってすぐ脇に摩訶不思議な「隠し部屋」があり、そこには何故か「喋る鉢植え」に「勝手に動く絨毯」、明らかに自分とは異なる動きをとる「鏡」などがある事を除けば。
 驚く彼らを尻目に、この家の住人らしい六人に通されるまま……そして出されるまま、その何とも言えないネーミングのサラダを取り分けて頬張る。
 緑ジャケットの青年の「今朝取れた」という言葉は嘘ではないらしく、サラダはしゃきしゃきしていてとても美味しかった。
 そのサラダのお陰かどうかは分らないが、緊張もほぐれ、ある程度互いの説明も終わった頃。紺色のジャケットの青年……面々から「ヒカル先生」と呼ばれていた「天空聖者」なる彼が納得したように頷いた。
「成程、さっきのは不死の生物……アンデッドというのか」
「ああ。普段は俺達が保管、悪用されないように管理しているんだが……いつの間にか、一枚ずつ消えていた」
「それで、探していたら俺達と遭遇したって事か」
 橘の言葉に、黄色いジャケットの青年……五兄弟の下から二番目、次男の翼が返す。
 ちなみに彼は、何故か先程から剣崎の服に何か白い液体を噴霧している。彼曰く、「下手したてに出て成功したての仕立て薬」らしい。「ボロボロの服じゃ不審者だろ」と言うのが彼の言い分であり、更に言えばその薬は「布の為の薬」との事。
「道理で倒せない訳だよ。バンキュリアみたいな物だろ」
「でも、封印ってちょっと凄いよね。睦月ちゃん強かったし」
「あの、ちゃん付けは止めて下さい……」
 兄弟の末っ子である赤ジャケットの少年、魁の言葉を聞いているのかいないのか、ピンク色……上から二番目、長女の芳香は睦月の頬を突きながら言った。
 ……天真爛漫と言うか、何と言うか。姉がこうだと、おそらく下の三人はとても苦労している事だろう、と睦月は思う。
「君達が魔法使いって言うのも、流石に驚いたけど……でも、あんなの見たら、信じるしかないよな」
「魁の錬成術と、芳香の変身魔法、ですね」
「ああ。俺の……俺達の『変身』とも違う。呪文のような物も唱えていたしな」
 剣崎に返した緑色の長男、蒔人に、始も淡々と言葉を返した。
 信じ難い事ではある物の……アンデッドを探す際に、なにやら銀色の幕のような物を通った事を考えれば、「この場所」は自分達が普段住んでいる世界とは違う「異世界」であると推測できる。
 特に始と橘は実際に「異世界」へ赴いた事があるだけに、簡単に実感できるし、それ故に「自分達が知らない事も、異世界だから」で何とかなりそうな気がしていた。
 もっとも、彼らがかつて赴いた世界とは、根本的に異なるのだが……彼らがそれを知る事はない。
「でも、おかしいんじゃないかな?」
「おかしいって、何が?」
 真剣な表情で言ったのは青いジャケットの次女、麗。
 不思議そうに問いかけた剣崎に頷きながら、彼女は部屋の壁にかけてある鏡を指差し……
「私達『メメの鏡』で、アンデッドの出現を知ったんですけど……そもそも、『メメの鏡』はインフェルシアが関わっている事しか映し出さないんです」
「そっか。マンちゃんも、アレを見て私達に知らせたんだもんね」
「はい。でござりますです」
 麗の言葉に芳香も頷く。その脇では「喋る鉢植え」……マンちゃんこと、マンドラ坊やと言うらしい存在もこくこくと頷いている。
 彼らの「敵」……この世界を侵略しようとしている存在を「インフェルシア」と呼ぶらしい事は、話の最中に聞いている。どこの世界でも、人間を排除し、そして自分達の物にしようと画策する存在はいるのだと苦笑気味に思いもした。そして彼らとは逆に、人間を守ろうとする者達がいる事も。
 それぞれにはそれぞれの理由があり、そしてそれぞれに戦う相手がいるのだから、干渉するような事はしないつもりだったが……インフェルシアが今回の「アンデッド解放」の一件に関わっているとなると、そうは言っていられない。
 不死の生物であるアンデッドを利用し、不死身の軍団を生み出す可能性だって、ないとは言い切れないのだ。下手をすれば新たなアンデッドを生み出す事だってやりかねないのだ。
 ……かつて自分達の世界に存在していた、天王路なる男がやろうとしていたように。
「まさか……カードを盗んだのは、そいつらじゃ!?」
 はっとしたように顔を上げ、睦月が真剣な表情で言ったその瞬間。再び橘の持つアンデッドサーチャーが鳴り響き、更には壁にかけてあった「メメの鏡」に、怪物に追われ逃げ惑う人々の様子が映る。
「あれは……ゾビル!」
「アンデッドも映ってる……やっぱり、あいつらがアンデッドを解放したのか!?」
「厄介にゃ事になってるにゃぁ。どうする、旦那だんにゃ
 魁の言葉に、剣崎も声を荒げて言う。その脇では、ヒカルの持つランプの中から「喋る猫」ことスモーキーがちらりと彼を見て問う。
 だが、その問いに答えるまでもないのか。
 鏡に映る様子に、彼らの心は一つに纏まった。ほぼ同時に立ち上がると、彼らは互いに頷き合い、アンデッドサーチャーの指し示す場所に向かったのであった。


Stage17:カードの戦士 ~マジーロ・ジルマ・マジカ~

Stage19:勇気の切り札 ~マージ・ブレイド・マジ・マジカ~
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