二話 穢れの大地













「ッな、にィ…?!」


(師範…!!)


「ッ因幡!!!」

「緑髪の少年、君は心陽の看病を頼んだ!!」

「了解ィ」

「まっ、しは……私まだ」

「いや、大丈夫だ。君はここまでよくやってくれた。ここからは俺に任せてくれ!」

「でも、あれは私の倒すべき鬼……っぐぇ、ぅ゛」

「因幡オマエ、血ィ吐いてんじゃねェか!!!」

「君に死なれたら困るんだ。俺が代わりにやってくるから少し待っていてくれないか?心陽」

「わかり、ました」


鬼から離れた場所まで景は担いで運んだ。


「結構強いのか?アイツ」

「下弦の肆……」

「あれが?十二鬼月と一人でやり合えるのか、柱は……。かっけェ…ッていいから止血して包帯巻かねぇと!!本当に死んじまうぞ!!」


燃える日輪刀を携えて鬼を次々と斬っていく姿は心陽の憧れだ。性格も表裏が無くいい人だと思う。……それだけ。
煉獄は奉御の頸に向かって駆けていく。腰を低くし、刀を構えた。




───炎の呼吸 壱ノ型 不知火




見事に鬼の頸を撥ねた。まさに瞬殺だった。


「ギィィアアアアアァァア!!!!許さん、許さんぞ人間ンンンンン!!!」


途端に景は喜びを露わにした。


「炎柱が下弦の肆を倒したァ!!!」


これには心陽も微笑む。
煉獄は二人の元にやってくるなり快活な声で「二人とも、ご苦労だった!!」と言った。


「こちらこそ……どうも。だが今回はオレの活躍が無くて悔しい!!次こそおれが鬼を殺ッてらぁ!!」

「うむ!いい心がけだ。特に今回は精神面でも辛かっただろう。しかも十二鬼月相手だからな!!よく頑張った!!」

「あざ、…す」


煉獄はうんうん、と頷いて心陽に目を遣った。


「ね、寝たままですみません…」

「そのままでいい。怪我は処置できたか?」

「内臓と皮膚の傷の止血はしました。…でも骨が折れてしまって……」

「まず、任務は暫く休んで治療に専念することだ!」

「はい…」


心陽は奉御に言われたことが気掛かりだった。


「私…継子でいいんですか?」


「因幡暗すぎだろォ」と景が漏らす。それを心陽はじっと目配せしてまた煉獄に向き直る。


「む、俺は心陽が継子で良かったと思っているぞ。気に病む必要は無い!」


煉獄がお世辞でも気休めの言葉でもないことを言うのは心陽も分かっていた。心陽はその言葉に安堵し、知らないうちに笑っていた。


「帰ろうぜ!おれ師匠におはぎ買ってくる!!」

「では心陽、俺が負ぶってやろう」

「え」

「どうした、歩けないだろう?」


景は目をカッと見開いて煉獄の羽織を引っ張る。


「あッ、ずりィぞ!!おれも乗せろーッ!!!」

「はっはっは、また今度だな!」


(どうしてこんなことに…!!元はと言えば私が悪いけど)


もう森には血腥い臭いはなくなっていた。











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