二話 穢れの大地
「誰」
子供に似た声色。
だけど、一心不乱に叫んでいる声。
「…?」
「ゃめろ、クソッたれ…!!!」
(!!あれは、…ケイ。ケイだ。)
「呼吸法すら出来ねえじゃねえかよッ、離せやァ!!」
景は何かにもがき苦しんでいるようだが、心陽の目には何も見えない。
(ついにおかしくなったのか…?いや、元々か。)
「気色悪ィんだよッ!!うじゃうじゃと湧きやがって…!」
──炎の呼吸 壱ノ型 不知火
何が景に見えているかは全く分からないが、とりあえず呼吸法を使った。
景はそれでも苦しんでいるようだが。
「畜生、何突っ立てンだ!そのくらいで斬れるとでも…」
「貴方には一体何が見えているんですか。」
「はァ?!ンでいちいち言う必要があンだよ!!見りゃ分かるだろ、こう、骸骨共がうじゃうじゃ…」
「…いませんけど…?」
「〜ッ!!クソ、いいから呼吸使え!!」
「いや、貴方のこと殺す予感しか…」
「鬼に殺られるよか、テメェに殺られる方がマシだ!!早くしやがれ!!」
「…分かった、やる。」
呼吸でなくとも斬れそうなことは分かった。ひとまず刀で薙いで見えない敵を葬る。感触こそ無いが、景の様子が段々と好調になっていくのは分かる。
「あと、すこし…ッ!!」
はあああ、と景がため息をついて身体を上げる。
そして、深く呼吸をすると心陽に向かって振り返った。
「なんだよ、遅かったとは言わねェ。……その、ありがとな」
「私のほうが年上なんですから、もっと頼ってくださいね。」
「はァ?!頼るわけねェだろッ!!借りは二度と作らねェからな!!」
相変わらずの可愛げのなさで心陽は肩を落とした。
「で、結局のところあれで良かったんです?」
「…オマエ、ホントに何も見えてねェの?」
「…」
「嘘だろ。あんなにうじゃうじゃと骸骨共が…。思い出すだけでも吐きそうだァ…」
「まだ見えてるんですか?骨」
「いや、今は特に。」
景の言っていることが未だに理解不能な心陽は「きっと幻覚でも見ていたのだろう…」と思うことにした。風柱の弟子と言ってもまだまだ幼い子供だ。強さはあるにしても。
