乙女ゲ+百合ゲ

腕の中で眠る君はあどけなくとても無防備だった。
時折、寒さから熱を求めて自分に擦り寄る君が愛らしく、知らず頬が緩む。
みこと君の頭を撫で、艶やかな髪を一房手に取り口付ける。
…それだけで止めるつもりだった。
だが。

「ん…蛟さ…」
「!起きたのか、みこと君?」
「…もっと…触れて……すー…」
「っ!」

寝言だと分かってはいた。
その言葉は起きている自分に向けて言ったのではない事も充分理解していた。
それでも、自分は堪らず彼女の柔らかな肢体を抱き締めていた。
眠る君に不埒な真似をしている自覚はあったが、一度思いが溢れてしまっては自分は止まらない。
ああ、寝ていても自分の心を乱す君が何よりも愛おしく狂おしい。

「…すまない、みこと君……っ」
「んぅ…」
「…ふっ……ん…」
「……はぁ…」

みこと君の甘く柔らかな唇を奪う。
唇を触れ合わせ、早急に舌を彼女の口腔に侵入させる。
触れた君の舌に自分の舌を絡ませると、君は起きているのではないかと思うほど巧みに自分を翻弄した。
数分、絶え間なく口付けを繰り返した後に唇を離すと、やはり苦しかったのか、みこと君は赤らんだ顔で喘ぐ様に呼吸をする。
その艶めかしさに形容し難い熱が胸の奥に生まれる。
このまま、ひとつになりたい…。
幾度となく脳裏を過ぎった思いが鎌首をもたげる。
そろりと腕を動かしみこと君の背を撫ぜた。
手の平に感じる彼女の体温が普段より高く、先ほどの口付けで上昇したのかと思うと…昂ぶる。
愛おしい…君が、たまらなく愛おしい。
背を撫ぜていた腕を徐々に下げ、みこと君の細腰をなぞり更にその下へ…。
彼女の身体はどこもかしこも柔らかく、得も言われぬ甘い香りがする。
もっと…君を感じたい……自分は、君の全てが知りたい。
みこと君の首筋に顔を寄せ、その甘く芳しい香りを堪能する。
……はあ……。
脳が麻痺したかの様に彼女のことしか考えられなくなる。
みこと君…みこと、君…。
白いのどに舌を這わせ、痕が残らない程度に口付ける。
彼女の肌はとても白いので強く吸い過ぎると容易く痕が残ってしまう。
故に、人目に触れる可能性の高い首筋に痕は残せない…だが、本当は…思うがままに君が自分の婚約者である証を残したいという欲が常に頭の片隅にある。
首筋に、腕に、胸元に、腰に、背中に、脚に…余すところなく全身に口付け、舌で愛撫したい。
だが、それはしてはならない。
だから今は…。

「みこと君…」

彼女の頬を撫で、再び唇を重ねる。
最初は軽く触れるだけ…それから、少しずつ深く…。

「…ん…ふぁ…あ…」
「……はっ」
「は……ん」

先程よりも長く深い口付けに、息も絶え絶えになる。
そのまま彼女の額に一つ口付けを落とし、目を閉じる。
今日はこれで終わりだ。
続きはみこと君が卒業してから…。
自分にそう言い聞かせ半ば無理やり眠りにつく。
起きている君と口付けたいと思いながら…。


おまけ

蛟が眠った後、みことはそろそろと目を開けた。
眠る蛟の顔を見つめ、ささやく。

「こういう事は起きている時にして欲しい、です…」

蛟の腕を自身の身体に巻き付けみことも眠りにつく。
朝、目が覚めた蛟がどれほど取り乱すか想像しながら…。
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