乙女ゲ+百合ゲ
「あの…私、もっと一ノ瀬さんと一緒にいたいです」
頬を朱に染め、恥ずかしそうに俯きながら春歌がそんな可愛らしい事を言いました。
それとなくぼかして言ったので、彼女には真意が伝わらなかったようですね。
直接的な言葉を伝えるのはいくら私でも些か躊躇われるのですが致し方ないでしょう。
言います。
「春歌」
「はい!」
にこにこ
その様な無垢な瞳を向けられると、とても言いづらいのですが。
さてどうしたものでしょう。
「あ、あの、一ノ瀬さん?」
「何ですか?」
「その…手が…」
手?
ああ、まったく気付きませんでした。
いつの間にか私の右手が春歌の腰に回されていますね。
彼女が傍に居ると、つい触れてしまう。
無意識とはなんとも危険なものですね。
ですが…。
「私も、君ともっと一緒にいたい」
「わぁ…嬉しいです!」
私の一言で笑顔を浮かべる春歌。
なんて愛らしいのでしょうか。
抱き寄せ、その笑顔をより近くで見たい。
そう思った次の瞬間、私は春歌の腰に回していた手に力を込め抱き寄せていた。
「ふふ、君は可愛いですね」
「え、ああああのあのそんな事ないです!」
春歌は私の賛辞を必死に否定する。
笑顔もいいですが、慌てる顔も恥ずかしそうに頬を染める顔も愛らしいですね。
ああ、もっと春歌の色々な顔が見たい…彼女と居ると、私の欲は増すばかり。
だからこそ君をこのまま部屋に居させる事ができない。
名残惜しいですがお別れです。
「やはり、君はそろそろ帰るべきです」
「え…」
途端に悲しそうな顔になる。
そのような顔をさせたいわけではないのです。
ただ、君が好きだから。
ただ、君を愛しているから。
このままでは君を怖がらせ傷付けてしまわない自信が私にはないのです。
今の私は、心の赴くままに彼女の全てを私のものにしたい衝動と、それはしてはいけないと諌める理性が激しく葛藤しています。
分かりやすく言うなら情熱的な私と冷静な私が頭の中で激論を交わしている、という状態です。
現在、優勢なのは情熱的な私。
このままではいけない…分かってはいても、激情を止められない。
「そんな顔をしないで下さい…帰したくなくなってしまいます」
春歌の悲しそうな顔を見たくなくて、私は彼女を強く抱きしめた。
瞳を閉じ、彼女の存在を感じ、その温もりを全身に刻み込む。
心が春歌への愛で満ちる。
「春歌。顔を…君の笑顔を見せてくれませんか?」
「…はい」
私の要求に応え、笑顔を浮かべてくれる春歌。
やはり春歌には笑顔が似合いますね。
愛しい君にはいつも笑っていてほしい。
その気持ちに偽りはありません。
ですが…羞恥に赤くなる顔や泣き顔、そして快楽に歪む顔を見たいとも思うのです。
その矛盾する思いは春歌の全てを知りたいと思う気持ちがもたらすもの。
つまり、愛するが故の矛盾。
だから私が春歌を求めるのは自然な事であり、正しい心の在り方なのです!
…これはまずいですね。
情熱的な私がさらに優勢になったようです。
早く春歌の腰に回している右手を離さなければいけない。
そう、分かってはいるのですが、やはり離れ難い…いっそドアノブにかけている左手を彼女の頬に添え、そのまま…。
「あの、一ノ瀬さん」
「っどうしました?」
ポーカーフェイスを崩さず対応する。
我ながら素晴らしい演技力です。
「一ノ瀬さんに抱きしめられていると、ドキドキし過ぎて立っていられません!だ、だから…その…」
顔を赤らめ潤んだ瞳で私を見つめる春歌。
これは……誘われているのでしょうか?
「あの、離してもらえませんか?」
違いましたね。
分かってはいましたがやはり残念です。
それより『離して』ですか…ああ、良い事を思い付きました。
「なら、私の名前を呼んで下さい。そうしたら離してあげますよ?」
「ほ、本当ですか?」
「ええ。本当です」
私がにっこりとHAYATOのように笑いかけると春歌はさらに赤くなりつつも、視線をさ迷わせたどたどしく言葉を紡ぎだしました。
「と…と、トキヤ、くん」
声を震わせながら、私の名を呼ぶ春歌。
「よく出来ました」
そう囁き、私は春歌の要望通り手を離しました。
バタンッ
「え?」
春歌が困惑顔で私を見ています。
まあ、当然ですね。
「あの…一ノ瀬さん?なぜドアを閉めたのですか?」
「おや、それは違います。私は君の要望通り、手を離しただけですよ?」
「え、でも、私が離してほしかったのは右手で」
「そうだったのですか?『離してほしい』としか言わなかったので、てっきりドアノブを掴んでいた左手の事かと思いました。…こうしてほしかったのでしょう?」
そう囁きながら春歌の細い腰を両腕でしっかり抱きしめる。
すると、彼女は目に見えて狼狽えました。
「ちちち違います!と言うか先程より密着度が増したためさらにドキドキで倒れそうです!」
「そうですか。なら、倒れる前に先に横になってしまえばいい」
ひょいと春歌を横抱きにし、私は再びベッドへと戻りました。
未だ狼狽中の彼女をゆっくりとベッドへと降ろし、その上に覆いかぶさる。
その瞬間、私は悟りました。
冷静な私は情熱的な私に負けたのだと。
「君の全てを見せて、感じさせて下さい」
「え、あの、一ノ瀬さん?」
「もう我慢は出来ません。私の全てを受け入れて下さい…いいですね?」
「え、え?きゃっ!い、一ノ瀬さ、ん~!?」
春歌の言葉を唇で閉じ込め、私は彼女を感じる。
柔らかな唇。
白く滑らかな肌。
そして……この後の事は好きに想像して下さい。
まあ、あえて言わせていただくなら…春歌が私の全てを受け入れるにはまだ時間が必要だ、とだけ伝えておきましょう。
頬を朱に染め、恥ずかしそうに俯きながら春歌がそんな可愛らしい事を言いました。
それとなくぼかして言ったので、彼女には真意が伝わらなかったようですね。
直接的な言葉を伝えるのはいくら私でも些か躊躇われるのですが致し方ないでしょう。
言います。
「春歌」
「はい!」
にこにこ
その様な無垢な瞳を向けられると、とても言いづらいのですが。
さてどうしたものでしょう。
「あ、あの、一ノ瀬さん?」
「何ですか?」
「その…手が…」
手?
ああ、まったく気付きませんでした。
いつの間にか私の右手が春歌の腰に回されていますね。
彼女が傍に居ると、つい触れてしまう。
無意識とはなんとも危険なものですね。
ですが…。
「私も、君ともっと一緒にいたい」
「わぁ…嬉しいです!」
私の一言で笑顔を浮かべる春歌。
なんて愛らしいのでしょうか。
抱き寄せ、その笑顔をより近くで見たい。
そう思った次の瞬間、私は春歌の腰に回していた手に力を込め抱き寄せていた。
「ふふ、君は可愛いですね」
「え、ああああのあのそんな事ないです!」
春歌は私の賛辞を必死に否定する。
笑顔もいいですが、慌てる顔も恥ずかしそうに頬を染める顔も愛らしいですね。
ああ、もっと春歌の色々な顔が見たい…彼女と居ると、私の欲は増すばかり。
だからこそ君をこのまま部屋に居させる事ができない。
名残惜しいですがお別れです。
「やはり、君はそろそろ帰るべきです」
「え…」
途端に悲しそうな顔になる。
そのような顔をさせたいわけではないのです。
ただ、君が好きだから。
ただ、君を愛しているから。
このままでは君を怖がらせ傷付けてしまわない自信が私にはないのです。
今の私は、心の赴くままに彼女の全てを私のものにしたい衝動と、それはしてはいけないと諌める理性が激しく葛藤しています。
分かりやすく言うなら情熱的な私と冷静な私が頭の中で激論を交わしている、という状態です。
現在、優勢なのは情熱的な私。
このままではいけない…分かってはいても、激情を止められない。
「そんな顔をしないで下さい…帰したくなくなってしまいます」
春歌の悲しそうな顔を見たくなくて、私は彼女を強く抱きしめた。
瞳を閉じ、彼女の存在を感じ、その温もりを全身に刻み込む。
心が春歌への愛で満ちる。
「春歌。顔を…君の笑顔を見せてくれませんか?」
「…はい」
私の要求に応え、笑顔を浮かべてくれる春歌。
やはり春歌には笑顔が似合いますね。
愛しい君にはいつも笑っていてほしい。
その気持ちに偽りはありません。
ですが…羞恥に赤くなる顔や泣き顔、そして快楽に歪む顔を見たいとも思うのです。
その矛盾する思いは春歌の全てを知りたいと思う気持ちがもたらすもの。
つまり、愛するが故の矛盾。
だから私が春歌を求めるのは自然な事であり、正しい心の在り方なのです!
…これはまずいですね。
情熱的な私がさらに優勢になったようです。
早く春歌の腰に回している右手を離さなければいけない。
そう、分かってはいるのですが、やはり離れ難い…いっそドアノブにかけている左手を彼女の頬に添え、そのまま…。
「あの、一ノ瀬さん」
「っどうしました?」
ポーカーフェイスを崩さず対応する。
我ながら素晴らしい演技力です。
「一ノ瀬さんに抱きしめられていると、ドキドキし過ぎて立っていられません!だ、だから…その…」
顔を赤らめ潤んだ瞳で私を見つめる春歌。
これは……誘われているのでしょうか?
「あの、離してもらえませんか?」
違いましたね。
分かってはいましたがやはり残念です。
それより『離して』ですか…ああ、良い事を思い付きました。
「なら、私の名前を呼んで下さい。そうしたら離してあげますよ?」
「ほ、本当ですか?」
「ええ。本当です」
私がにっこりとHAYATOのように笑いかけると春歌はさらに赤くなりつつも、視線をさ迷わせたどたどしく言葉を紡ぎだしました。
「と…と、トキヤ、くん」
声を震わせながら、私の名を呼ぶ春歌。
「よく出来ました」
そう囁き、私は春歌の要望通り手を離しました。
バタンッ
「え?」
春歌が困惑顔で私を見ています。
まあ、当然ですね。
「あの…一ノ瀬さん?なぜドアを閉めたのですか?」
「おや、それは違います。私は君の要望通り、手を離しただけですよ?」
「え、でも、私が離してほしかったのは右手で」
「そうだったのですか?『離してほしい』としか言わなかったので、てっきりドアノブを掴んでいた左手の事かと思いました。…こうしてほしかったのでしょう?」
そう囁きながら春歌の細い腰を両腕でしっかり抱きしめる。
すると、彼女は目に見えて狼狽えました。
「ちちち違います!と言うか先程より密着度が増したためさらにドキドキで倒れそうです!」
「そうですか。なら、倒れる前に先に横になってしまえばいい」
ひょいと春歌を横抱きにし、私は再びベッドへと戻りました。
未だ狼狽中の彼女をゆっくりとベッドへと降ろし、その上に覆いかぶさる。
その瞬間、私は悟りました。
冷静な私は情熱的な私に負けたのだと。
「君の全てを見せて、感じさせて下さい」
「え、あの、一ノ瀬さん?」
「もう我慢は出来ません。私の全てを受け入れて下さい…いいですね?」
「え、え?きゃっ!い、一ノ瀬さ、ん~!?」
春歌の言葉を唇で閉じ込め、私は彼女を感じる。
柔らかな唇。
白く滑らかな肌。
そして……この後の事は好きに想像して下さい。
まあ、あえて言わせていただくなら…春歌が私の全てを受け入れるにはまだ時間が必要だ、とだけ伝えておきましょう。