緋色の欠片
俺は我慢強い方じゃないと思う。
だから。
そろそろ限界が来て当然ですよね。
「沙弥先輩」
「なあに?狐邑くん」
「それです」
俺たちはれっきとした恋人同士。
それなのに、沙弥先輩はいまだに名前で呼んでくれない。
それが、納得いかないんですよねー。
「それって?」
「な・ま・え!なんで沙弥先輩は俺のこと、名前で呼んでくれないんですかー?」
「え!そ、それは…」
頬を染め、恥ずかしそうに視線をさ迷わせる沙弥先輩。
ほんと、可愛いなあ。
「それは?」
「その、いままで凌さん以外の人を名前で呼んだことなんてなかったから…恥ずかしくて…」
それも、納得いかないんですよねー。
いくら幼なじみとはいえ、俺以外の男の名前を呼ばないで欲しい。
…俺って、意外と嫉妬深いかも。
「そうなんですかー」
「だからね、もう少しだけ時間を」
「ダメです無理です待てないです」
「ええ!?」
俺は、俺にしては結構待った方だと思いますよ。
だから、もう待たないです。
俺は沙弥先輩にサッと近付き、その華奢な身体を抱きしめた。
「!!狐邑くん、恥ずかしいわ!」
俺の腕の中で暴れる沙弥先輩。
でも、そんな可愛い抵抗じゃあ俺から逃げられませんよー。
「離して欲しいですか?」
「え、ええ」
「なら、俺の名前呼んでください。」
「う…」
沙弥先輩、俺の腕の中で固まってる。
「呼んでくれるまで、離しませんよー」
困ってる顔を俺に向けてくるけど、ダメですよー。
これくらいのわがまま、叶えてくれますよね、沙弥先輩?
可愛い恋人に、名前を呼んでもらいたい。
ただ、それだけの事なんですから。
「……ん」
「そんな小さな声じゃ聞こえませんよー?」
「れ…くん」
「もうちょっと」
「怜くん!」
「はい、沙弥先輩」
やっぱり、すごく嬉しい。
ただ、恋人に名前を呼んでもらっただけでこんなに満たされた気持ちになれるなんて。
恋ってすごいですねー。
嬉しさを伝えるため、にっこり笑って強く抱き締める。
「ありがとうございます、沙弥先輩」
そして、額に軽く口づけた。
おまけ
いまだにギューっと抱きしめたままでいたら、沙弥先輩から困ったような声をかけられる。
「狐邑くん。名前を呼んだんだから、離してちょうだい?」
「ダメです」
「え!?」
「なんか、思ってたよりスゴく嬉しかったんで、離したくなくなりました」
「ええ!?」
「と、いうわけで~」
ちなみにここは、沙弥先輩の部屋。
直ぐ後ろにベッドがある、あの部屋です。
それに明日は学校が休み。
…ま、実はそれを狙って来たんですけどねー。
「今日は朝まで離しませんよー。覚悟してくださいね、沙弥先輩?」
青ざめた沙弥先輩を、ベッドに押し倒す。
沙弥先輩が照れずに名前を呼んでくれるまでどのくらい時間がかかるか分かりませんが、慣れるまで続けてみようかなー、と思いました。
だから。
そろそろ限界が来て当然ですよね。
「沙弥先輩」
「なあに?狐邑くん」
「それです」
俺たちはれっきとした恋人同士。
それなのに、沙弥先輩はいまだに名前で呼んでくれない。
それが、納得いかないんですよねー。
「それって?」
「な・ま・え!なんで沙弥先輩は俺のこと、名前で呼んでくれないんですかー?」
「え!そ、それは…」
頬を染め、恥ずかしそうに視線をさ迷わせる沙弥先輩。
ほんと、可愛いなあ。
「それは?」
「その、いままで凌さん以外の人を名前で呼んだことなんてなかったから…恥ずかしくて…」
それも、納得いかないんですよねー。
いくら幼なじみとはいえ、俺以外の男の名前を呼ばないで欲しい。
…俺って、意外と嫉妬深いかも。
「そうなんですかー」
「だからね、もう少しだけ時間を」
「ダメです無理です待てないです」
「ええ!?」
俺は、俺にしては結構待った方だと思いますよ。
だから、もう待たないです。
俺は沙弥先輩にサッと近付き、その華奢な身体を抱きしめた。
「!!狐邑くん、恥ずかしいわ!」
俺の腕の中で暴れる沙弥先輩。
でも、そんな可愛い抵抗じゃあ俺から逃げられませんよー。
「離して欲しいですか?」
「え、ええ」
「なら、俺の名前呼んでください。」
「う…」
沙弥先輩、俺の腕の中で固まってる。
「呼んでくれるまで、離しませんよー」
困ってる顔を俺に向けてくるけど、ダメですよー。
これくらいのわがまま、叶えてくれますよね、沙弥先輩?
可愛い恋人に、名前を呼んでもらいたい。
ただ、それだけの事なんですから。
「……ん」
「そんな小さな声じゃ聞こえませんよー?」
「れ…くん」
「もうちょっと」
「怜くん!」
「はい、沙弥先輩」
やっぱり、すごく嬉しい。
ただ、恋人に名前を呼んでもらっただけでこんなに満たされた気持ちになれるなんて。
恋ってすごいですねー。
嬉しさを伝えるため、にっこり笑って強く抱き締める。
「ありがとうございます、沙弥先輩」
そして、額に軽く口づけた。
おまけ
いまだにギューっと抱きしめたままでいたら、沙弥先輩から困ったような声をかけられる。
「狐邑くん。名前を呼んだんだから、離してちょうだい?」
「ダメです」
「え!?」
「なんか、思ってたよりスゴく嬉しかったんで、離したくなくなりました」
「ええ!?」
「と、いうわけで~」
ちなみにここは、沙弥先輩の部屋。
直ぐ後ろにベッドがある、あの部屋です。
それに明日は学校が休み。
…ま、実はそれを狙って来たんですけどねー。
「今日は朝まで離しませんよー。覚悟してくださいね、沙弥先輩?」
青ざめた沙弥先輩を、ベッドに押し倒す。
沙弥先輩が照れずに名前を呼んでくれるまでどのくらい時間がかかるか分かりませんが、慣れるまで続けてみようかなー、と思いました。