夏と青
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部活後、いつものようにはるは倉庫でボール磨きを始めた。
「チース」
『あ、今日は倉持だ』
倉庫に顔を見せたのは倉持だった。
倉持は用意された椅子にどかりと座り、腕を組んではる見を見た。
「なあ、お前、柳と付き合ってんの?」
『は?』
突拍子な質問にはるは手を止め、倉持を見た。
(なんでー?早すぎない?告られたの今日ですけど)
『え、なんで?付き合ってないけど』
「だよなー」
倉持は息をついて背もたれにもたれかかった。
心なしか表情は少し緩んでいる。
「なんかさー、御幸が聞いてきたんだよ」
『御幸が?』
「はるからそういったことなんも聞いてねえか、って。俺もまじだったらどうしようかと思って、知らねえっつっといたけど。はるから柳の話なんか聞いたことねえし、まじだったらシメるとこだったわ」
『なんでだよ。嫌だよ。あー、あれかぁ…。だとすると告られてたのは御幸の方なんだけど!』
はるは今日あった出来事を話した。
「あいつ自分の事なんか一言も言ってなかったぞ」
『フェアじゃない』
「まあ、あいつの前で手ぇつないで歩いてたんだろ。思うことあったんじゃねえの?」
『いや、言い方』
「普通に考えてあの柳がはるなんかと付き合うわけね―つの」
『だから、言い方。…あのー、そのことなんだけど…』
はるは言いづらそうに柳から告白され、返事はまだいいといわれたことを伝えた。
「はあぁ!?まじか!」
『いや、人使った冗談言うほど性格悪くないわ。…ほかの人に言わないでよ。特に亮さん』
「多分言わねえ。御幸にも言わねえつもりか?」
『なんでだよ、誓えよ、そこは。…言わないよ。言ったところで、ふーん、か、からかわれるかだよ』
「そーかよ」
ややこしいなこいつら、と思い、倉持は眉間にしわを寄せた。
「付き合うつもりなのか?」
『わかんない。まだ言わないでって言われてるし。どうすればいいのかわかんない。…御幸はあの子と付き合うのかな』
「知らね。あいつそういうのめんどくさがるだろ。野球に集中したいとか言いそう」
『めんどくさいのか…』
「だー!違う!今のは憶測だろ!めんどくせーな!」
『やっぱめんどくさいんじゃん!』
2人で言い合っていると沢村が顔をのぞかせた。
「片桐先輩!倉持先輩!お疲れ様です!」
「よお。うっせーのが来た」
「なんですとー!」
『聞いてよ沢村ー!倉持がいじめる』
「倉持先輩…」と引き気味な表情を浮かべる沢村に占め技をおみまいしようと倉持が立ち上がる。
『ストップ!ストップ!』と止めに入るはるに倉持は「やんねーよ」とため息をついた。
その間に沢村は「タイヤ引いてきます!」と行っていしまった。
「俺はもう自主練行くからな」
『了解です。ファイト―』
倉庫から出ていく倉持であったが一度振り返った。
「なんかお前ら拗らせすぎ。あと、俺を挟むな」
と、言い残していってしまった。
はるはため息を吐くと、ボール磨きを再開した。