夏と青
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テストが無事終わり、本格的に試合に向けた練習が再開された。
ベンチに入ることができるメンバー20名が発表され、さらに練習に熱が入っている。
はるを含めマネージャーたちも部員を支えるため奮闘していた。
そんな中でも週に1日だけオフの日がある。毎日厳しい練習に耐える選手たちの体を労わるためだ。
「やっと明日オフだねー!はるは何するの?」
練習が終わり、部員たちが個別練習に入る中、マネージャーたちはおしゃべりをしながらボトルや部員たちが休憩に食べた間食の後片付けをしていた。
『えー、なんだろ…。学校終わって、帰って課題とか予習とかかなぁ?』
「さっすが進学クラス。この前のテストもすごかったんでしょ?」
『いやいや、ついていくの必死だから!テストだってぎりぎりまで単語帳読んでたわ。そういう幸こそなにするの?』
「明日はクラスの子たちと駅前にできたカフェ行くんだ~」
『え!私も気になってた!いいなあ。どんなだったかまた教えてね』
「いいよ。唯はなにするの?」
「あたしはね~、」
幸子に話をふられた唯は恥ずかしそうに言った。
「彼氏と映画に行くの」
『いいな~!青春じゃん!アオハルじゃん!』
「そっか、そっか。こんな時じゃないとデートできないもんね。てゆうかはるは御幸とどっかいったりしないの?」
はるは御幸と両想いになったことをマネージャーたちには伝えていた。
『うーん…、御幸は自主練するだろうしいいかな。私も私ですることあるし』
「でも練習ある日でも課題とかこなしてるじゃん。1日くらいいいんじゃない?」
『私っていうか、御幸の邪魔したくないんだ。今は大会のことしか考えてないだろうし。終わったらどっかいきたいな~なんて』
はるは照れ臭そうに微笑んだ。
「はる…、こんなに女子だったんだ…。いい子…」
「ほんとにね。はるのこと不幸にしたら御幸のこと殴ろうね」
『急に物騒な』
3人で話していると先輩の貴子がやってきた。
「そろそろ終わりそう?」
「もう終わりますよ。貴子先輩のほうはどんな感じですか?」
「私と春乃のほうはもう終わったよ。それでね、さっき救急箱の整理してたんだけどここのとこ色々消耗多くて。追加でいるもの書き出してみたんだけど、誰か明日買いに行けそうな人いないかな。学校の近くの薬局でそろうと思うの。私が行こうと思ったんだけど、明日は家の用事があってすぐ帰らなくちゃいけなくて…。春乃も用事あるみたいで」
「そうなんですね~。あ、じゃあ私行きますよ。明日薬局の前とおるし」
貴子の頼みに幸子が手を挙げた。
そこへはるが声をかけた。
『いいよ、いいよ。私が行く。』
「でもはる、明日外に出る予定ないでしょ?」
『大丈夫だよ。せっかく遊びに行くんだから羽伸ばしといで。私も気分転換に買い出しいくわ』
「そう?じゃあたのもっかな。ありがとね」
「ありがとうはる。これ、書き出したメモね」
『いえいえ、お構いなく』
ーーーーーーーーーーーーーーー
全員が片づけを終え、マネージャーたちは帰路についた。
はるはいつものように空き倉庫でボール磨きを行っていた。
「よ、」
倉庫にひょっこり顔を出したのは倉持だった。
入ってくるといつものようにパイプ椅子を引っ張り出して座った。
『なーによー。自主練はどうしたのよ』
「ちょっと休憩。お前はもう帰るだろ?御幸は降谷たちにつかまってる」
『もうすぐね。てかなにその御幸報告。いつもしてくれるけどそんなに御幸の行動気にしてないから』
「御幸に変な虫がつかないか心配してるはるのためを思ってしてやってんだろ」
にやにやと笑いながら倉持は答えた。
『どんだけメンヘラなんだよ。そんな随時報告いらないから。明日はオフだからそんな余裕そうなの?』
「まあな。気分的にはちょっと楽。自主練するには変わりねーけど。お前はどっか行くの?」
『私はたまった課題とかするよ。引きこもりデーだよ』
はるは次のボールを手に取ると『あ』と思い出したかのように言った。
『そうだった。明日買い出しいかなきゃなんだった』
「買い出し?」
『そうなの。救急箱のものが色々足りないみたいで。マネのみんなが用事あるから気分転換に行こうかなーと』
「やーい、ぼっち~」
『うざ。私らマブダチじゃん』
「主人と下僕だろ」
『はあ?あ、じゃあ下僕の倉持君』
「俺が主人に決まってんだろ。なんだよ、特別に下僕のいうことを聞いてやる」
『はいはい。明日薬局一緒に行かない?倉持の気分転換にもなるでしょ?』
「あ?」
倉持ははるの発言に眉を寄せた。
『え、なにその反応。ガラスのハート傷つくんだけど。いやなの?』
「いやに決まってんだろ。一緒に行ってみろ。あの腹黒眼鏡にネチネチ言われるに決まってんだろーが!」
『大丈夫でしょ!倉持はいいよ、的なこと言ってたし』
「お前には見せてないだけなんだよ!お前に告ってからあいつ、目に見えてあからさまな態度だしてるぞ!」
『え、そうなの?』
「…なんでちょっとにやけてんだよ」
『いや、愛されてる感あっていいな、と…』
「…お前」
倉持はあきれて声が出なかった。そしてため息をついた。
「つーか、そういうなら御幸を誘えばいいだろ」
『え、やだよ』
はるは心底いやそうに答えた。
「今の愛されてる発言はなんだったんだよ…」
『いやいや、自主練する中買い出し誘われても迷惑なだけでしょ!』
「俺はいいのかよ」
『倉持はなんやかんやついてきてくれるし…、え、私と買い出し行くの嫌なの?』
「…お前ら、結局付き合ったところでなんも変わんねーじゃねぇかよ…」
『だから付き合ってな「うっせー、そこじゃねえ」うっす』
倉持はもう一度小さくため息をついた。
「わかったよ。何時に行く?」
『よっしゃ。学校終わってそのまま行こ!そんでさ、アイスも買って帰り道に食べちゃお!』
「お前ダイエットがどうとか言ってなかったか?」
『いーの、いーの!テスト明けのご褒美!』
「ハイハイ」
はるは倉持に御幸ののろけをしながら買い出しに行けることを楽しみにしていた。
しかし、倉持は全く別のことを考えていた。