夏と青
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『・・・まだ春なのに暑い』
片桐はるは顔に照り付ける日差しを見て目を細めた。
まだ入学式が終わって数日しかたっていない。
数冊の教科書が入ったリュックを背負いなおすと学校に足早に向かった。
下駄箱について上履きに履き替えると誰かが声をかけてきた。
「よー、はる。はよ。なんか朝から疲れてんな」
『あー・・・、倉持ぃー、おはよ。なんか今日熱くない?』
「確かに。朝練のとき思った。しかも朝から沢村うっせーし余計に暑っ苦しすぎてしごいてきたわ」
『あぁ、同じ部屋の。優しくしたげて』
同じ野球部員である倉持と朝からたわいもない会話をしながら教室に向かっていると後ろから再び誰かが「えー、朝から倉持と浮気?」声をかけてきた。
はるが後ろを振り向くと同じく野球部の御幸が立っていた。
『やばいんだけど。暑すぎて御幸のボケに突っ込む気力さえ出てこない』
「左に同じ」
「えー、つめた。おれは冷えたわ」
はると倉持は御幸を置いて歩き出し、御幸はへらへらと笑いながら2人の後を追った。
自分の教室の前まで来るとはるは二人に手を振った。
『そんじゃね。ちゃんと授業聞くんだよー』
「うっせーよ。お前もな」
はるは教室に入ると少し頬を緩ませ、朝から御幸に会えたことをひそかに喜んだ。
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はるが教室に入ったあと、倉持は御幸の片腹を肘で小突いた。
「何が浮気だよ。告ってすらねえだろうが」
「・・・はは、冗談に決まってんだろ」
「はるは気づいてねーけど目がガチなんだよ、お前は。けん制するならちゃんとやれよ」
「きびしーね、倉持君。俺のため?」
「不憫なはるのためだわ」
御幸は苦笑いすると、先に教室に入った倉持の後を追った。