ハエの王のあらすじ

ラルフは過去のことを話し終えた。そしてこう言った。
「彼女がもし結婚していないのなら、僕は彼女に会いたいです」
そう言い終えた後、取材をしていた記者がこう言った。
「ラルフさん、あなたに会いたがっている女性がいます」

そこに一人の女性が入ってきた。
ウェーブがかったきれいな茶髪に薄化粧をした整った顔立ち。余所行きのブラウスとスカートにパンプスと、「あの夏の少女」が大人になったような姿だった。
「クレア…!」
ラルフは立ち上がり、クレアの元に歩み寄る。そして、クレアに婚約指輪を渡した。
「僕は26年間ずっと君のことを忘れられなかった…だから、僕と結婚してください」
「ラルフ…ええ、よろこんで」
クレアが答えると、ラルフはクレアの左手の薬指に婚約指輪をはめて、抱き合った。

その後、ラルフとクレアは、かつて無人島生活を共にした生還者にもスマホで結婚報告をし、祝福してもらった。
結婚式は自然を感じられるガーデンウェディングにし、ラルフとクレアの家族だけでなく、ラルフの友人やクレアの会社の人、もちろんかつてあのサマースクールに参加していた生還者9人も呼んで盛大な式を行った。

ラルフとクレアが誓いのキスをする時にモーリスはスマホを構えていたが、それを見て涙ぐんでいたし、クレアがブーケトスをした時にはジャックとアリスの娘がブーケを受け取った。
とても楽しい結婚式だった。

ラルフとクレアは新婚旅行で、サマースクールで行けなかったハワイへと行った。もちろん、今回は無事ハワイに到着した。
「奇跡が起きたハエの王」の舞台となった無人島をまた見に行きたいと、ラルフとクレアはクルーザーに乗って無人島を見に行くことにした。

「戻りたくなったらまた声をかけてくれよー」
「ありがとう」
ラルフはクルーザーの運転手にお礼を言うと、妻のクレアと共に無人島を歩く。砂浜には景観を損なわないように小さな石碑がある。
ラルフとクレアは石碑に祈りを捧げて、写真を撮ってから、お花畑の方へと行った。あの頃と何も変わらない、色とりどりの花がそこにはあった。
クレアが持っていたスマホでお花畑の写真を撮る。

その時ラルフには、子どもだった自分とクレアの幻影が走って行くのが見えた。
「どうしたの、ラルフ?」
クレアが尋ねると、ラルフが呟いた。
「なんか見えたような…気のせい、じゃないよね?」
ラルフが子どもたちの幻影を追いかけて、浜辺の方へと下りていく。クレアも後を追いかける。

浜辺に戻ったラルフには、13人の子どもたちの楽しそうな笑い声と砂浜で追いかけっこをしたり、遊んだりしている幻影が見えた。
ラルフがジーンとしながら海の方を見ていると、クレアがラルフを手を握った。
「ラルフ…この島の景色はこんなにきれいだったのね」
「ああ、そろそろ戻ろうか」
ラルフとクレアは頷き合い、浜辺に停まっているクルーザーの方へと歩いて行った。

その時、雲一つない空はどこまでは青く、澄み渡っていた。
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