ハエの王のあらすじ

「雲だから軽いな」
ジャックが星屑をまとった大きな雲を持って下山している。隣のロジャーはこんなことを言っていた。
「こんなきれいなものが怪物だったとはな…」
ロジャーは雲を持ちながら、妄想していた。

『ロジャー…私のために怪物の正体を突き止めてくれたの?』
カレンが大きな雲を見て、喜ぶ。
『ああ、君のためにわざわざ山頂まで行ったんだ』
『ありがとう!怪物だと思ってたら、こんなにきれいな雲だったのね!』
そして、ロジャーとカレンは二人でその雲に座る。そして、カレンは隣に座るロジャーの頬にキスをした。

そこまで想像し、赤面するロジャー。
「ま、待ってくれ!カレン!まだ心の準備が…!」
「おい、どうしたんだ…?」
隣のロジャーが妄想しているのを見て、内心引くジャック。

「大きな雲なんだけど、どこに置こうかしら?」
「みんな集まって来るだろうね」
アリスとハンナも話をしている。クレアが前を進むラルフに言った。
「ラルフ、肝試しで怪物の正体がわかったわね」
「ああ!これで一件落着だね…」
ラルフが言い終えようとした時、誰かの叫び声がした。
「やめろおおおっ!来るなあーーーっ!」

「モーリス!?ピギー達と待ってるって言ってたはずじゃ…!」
「あのバカ、何やらかしたんだ!」
アリスとジャックが悲鳴がした方へと走りだす。
「ま、待て!」
「ロジャー!ハンナと先に浜辺に戻ってろ!」
ジャックが去り際にロジャーとハンナに叫ぶ。
「えー?なんであたし達はダメなの?」
「ハンナ、俺達は先に戻るぞ」
頬を膨らませるハンナと共に、ロジャーは山を下りる。

ジャックとアリスが走って行った方向に、ラルフとクレアもついて行く。
そこには血を流して倒れるサイモンと放心状態で立ち尽くすモーリスがいた。モーリスの近くには木の槍とビデオカメラが落ちている。

「サイモン!」
ラルフはサイモンに駆け寄り、肩を乱暴にゆする。だが、息をしていない。
「サイモンは…?」
クレアが聞くと、ラルフは泣きそうになりながら、首を横に振った。
「ダメだ…死んでる」
「そんな…!」
ラルフの悲しそうな声に、涙を流すクレア。

それを聞いたジャックは、モーリスに駆け寄り両肩を掴む。
「モーリス!お前、まさか…!」
ジャックの声は震えており、モーリスの肩を掴む手も震えている。モーリスはボロボロ泣きながら叫んだ。
「やだあああ!違うんだ!怪物だと思ったんだよおおお!」

それを聞いたアリスが泣きながら言う。
「モーリス!あんた、何してくれたのよ!あんたが勝手なことしなかったら、サイモンは死ななかった!」
「俺だって、怪物の正体を突きつけたかったんだ!ジャックが俺を連れて行かなかったからっ…!」
「それは、お前そう言うのやったらパニクるからだろ!」
言い合いになるジャック達にラルフは叫ぶ。
「やめてくれよ!」

「ラルフ…」
クレアに支えられながらラルフは立ち上がり、涙を流しながら言う。
「僕が二人に肝試しのことでもっと強く言うべきだったよ…モーリスの忠告ももっと真剣に聞くべきだった。ごめん…」
ラルフはその後、クレアと共に力なく歩いて行った。
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