颯人が愛須駅からキラットへと急ぐと、何者かに呼び止められた。
「少しいいかしら」
颯人が足を止めると、そこにはディアマン教団のシスターである香澄がいた。

「ディアマン教団のシスター…何の用だ？」
颯人が警戒しながら尋ねると、香澄はこう聞き返した。
「そうね…なら愛須市とは関係のないあなたはどうして、魔女に肩入れするのかしら？」
颯人はむっとなって反論しようと考える。
(魔女…？プリキュアのことか？どうしてシスターがプリキュアを魔女と決めつけるんだ？)
宗教的な話題には興味がなく、聞き馴染みのない言葉に困惑する颯人。颯人にとって魔女とは、ハロウィンのイベントに関するものかアニメなどに登場する架空の存在だからだ。

颯人が答えに困っていると、香澄はこう続けた。
「あなたが魔女と関係があることは知っているわ。ずいぶん煌木組とかいう組織に気に入られているようだけど…」
「…何の関係があるんだよ」
颯人は珍しく、香澄を睨みつけて言う。プリキュアを魔女と決めつけられ、煌木組の名前を出されたことに腹が立ったのだ。
香澄が颯人の神経を逆撫でするように言う。
「関係あるわ…愛須市の裏社会を騒がせる魔女はあなた達のような悪魔と交わることで力を得ている。ミッドナイト・ファミリーの息がかかった情報屋によると、魔女と煌木組には切っても切れない関係があるらしいわね」
「…今、何て言った？」
颯人が拳を握りしめ、低い声で言う。颯人も自分が想像できないくらい低い声が出たと思っていたようだ。

颯人は香澄に反論させずに、こう続けた。
「俺には愛須市の仁義はよくわからないし、プリキュアはあんたが思うような悪い魔女じゃない。それに、俺はあんたと揉めたくない」
「ちょっと待ちなさい！」
それだけ言うと颯人はキラットまで走り去り、キラットの扉を開けた。