1話「絶望の淵に咲く花」

「あいり、かわいい!」
「あいり、高校の制服似合ってるわよ!」
妹のゆうりと母親の美希が制服姿のあいりを見て喜んでいる。

今日はあいりの進学した夢咲高校の入学式。
あいりは新品のブルーのブレザーに赤いチェックスカート、ピンクのリボンという制服に身を包んでいる。

その前、あいりはピュアンナとこのような話をしていた。
「ピュアンナ、どこに行くの?」
「煌木組にプリキュアのことを報告しに行くピュア」
「今日わたしは入学式だから、後で行くね!」
話の後、ピュアンナは窓から飛んで行った。

「よし、そろそろだな。忘れ物ないか?」
「うん!忘れ物がないように前日までに準備してたもん!」
あいりが父親の直人と話していると、ゆうりも話しかけた。
「入学式に行ける家族は人数制限があるんでしょ?わたしはおうちで待ってるね!」
「うん!お昼ご飯までに帰ってくるね!」
こうして、あいりと両親は家を出て、夢咲高校へと向かった。

入学式の看板の前で写真を撮った後、一人の少女が声をかけた。
「あいりちゃん!」
「えっと…ひよりちゃん!」
この少女は瀬名ひより。あいりとは、同じ中学校だった同級生だ。
あいりは両親に「後でね」と告げて、ひよりと校門の中に入って行った。

入学式も厳戒態勢で行われ、あいりの両親も武器を持っていないかの身体検査を受けて出席した。
担任の先生の話が終わった後、プリントを受け取る。
こうして入学式が終わった後、あいりはひよりと話していた。
「そう言えば、ひよりちゃんとこは入学式にお父さんしか来ていなかったね」
「うん、お母さんはまおとお留守番なんだ。まおは春から幼稚園に通うの…それと、この前ショッピングモールで怪物が暴れたらしいよ」
あいりはギクッとなって、とっさにこう言った。
「そ、そうなんだ…大変だったね~」
あいりは嘘をつくのが苦手だ。ひよりはお父さんが心配するからと教室を出た後に、入れ違いで見覚えのない男子生徒が声をかけた。

「俺は同じ高校に入学した如月きさらぎ颯人はやとなんだけど…君、ちょっといいかな?」
紺色の髪にエメラルドのような瞳のその男子生徒はじっとあいりを見つめる。あいりは自己紹介をして、本題に入った。
「わたし…?花房あいりだよ。颯人くん、だっけ…?どうしたの?」
「花房さん、だよね?普通はショッピングモールで怪物が出たなら、SNSで大騒ぎになってるよ」
「え、SNS…?」
あいりはその単語を聞いたことがない。それを察した颯人はこう続けた。
「やっぱり知らないんだ…まぁいいや。花房さん、愛須市ってそんなにヤバい治安なの?」
あいりは答えられないのを察すると、颯人はこう切り出した。
「そうだ、ここだと学校も物騒かもしれないし、君の親御さんのところまで連れて行こうか?」
「え?いいの、ありがとう!」
7/26ページ
いいね