3話「黒と紅の彩り」

この日の午後、あいり達は大輝の家で打ち上げのお菓子パーティーをしていた。
「かんぱーい!」
塾を新しくする準備を手伝ったお礼にもらったラムネの瓶で乾杯をし、ラムネを飲む。

「俺達も社会貢献ができるなんて…夢みたいだ」
颯人が言うと、大輝も行った。
「そうだな、俺もまさかみんなで打ち上げできるなんて思いもしなかったぜ!」
「え、今までなかったんですか…?」
大輝が何気なく言った言葉に引っ掛かった颯人は思わず聞く。大輝は考え込んだ。
「そうだな…今までみんなでワイワイ集まったことがないんだ」
大輝の話に、あいり達は思わず大輝に注目する。大輝は話し始めた。

「俺、小さい頃は貧民街で暮らしてたって話しただろ?本当の誕生日もわかんねぇから、煌木組に保護された日を12歳の誕生日にしてるんだ」
「自分の誕生日もわからないとか、本当にそういう人いるんだ…」
レンがポテチを持ったまま目を伏せる。

ゆあがあることに気付いて言った。
「だから大輝さんはカタギなのに煌木組に協力してるんだね」
ゆあの言葉に大輝は頷く。
「ああ、煌木組に保護された後はプリキュアの恋人になる存在として育てられ、勉強だけじゃなくて将棋やチェス、オセロ、店の手伝いも教わった。それに編み物も教わったから、自分でマフラーも編んだことあるんだぜ?」
「え!?大ちゃん、マフラー編めるの!?」
「ああ、寒い時期になったらみつき用に編もうか?」
「やったー!」
みつきはキャッキャと一人で盛り上がっている。あいりはゆっくり手を上げて質問した。
「あの…大輝さんって、どうしてわたし達と集まるのが初めてだと言ったんですか?」

大輝はその言葉にはっとなり、重い口を開いた。
「あー…その話だったな。12歳の時から4年間の下積み時代は、ほとんどピュアンナ含めた煌木組の組員としか話していなかったんだ。裏社会の人や他の子供達から隔離されていたけど、ケンカになるよりはマシだと受け入れていたよ」
大輝は明るく言っているはずだが、先程までとは違ってどこか無理をしているようだ。ピュアンナが補足する。
「大輝は煌木組にとって、プリキュアの恋人として育てるのにうってつけの存在だったピュア。大輝の体に傷がつかないように、ピュアンナ達組員は気を使っていたピュア」
「やっぱり…大輝さんは普通じゃないなって思ってたんです」
「お、おい!変なこと言うな!」
思わず言ってしまった颯人をレンがたしなめる。颯人は慌てて訂正した。
「いや、変な意味じゃないですよ!愛須市でしか見ないタイプだなー…とか」
「…いや、いいんだ」
大輝はお菓子を手に持って行った。
「よし、今日はお菓子パーティーだ。たくさん食べよう!」
大輝の言葉にあいり達は頷いて、お菓子を食べた。
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