3話「黒と紅の彩り」

「なぁ、さっき話してたさやかちゃんって…貧民街で暮らすさやかちゃんか?」
大輝が聞いたので、あいりが答える。
「はい、ゆめちゃんと同じ塾に行っている女の子です」
あいりの話を聞いて、大輝は考え込む。
「あの子、本当は勉強したいんだな…」

「ゆあも聞いたことあるよ。貧民街に暮らしてるけど、礼儀正しくていつもきれいな服を着てる子でしょ?」
ゆあも聞いたことがあるようで、みつきが驚く。
「え!?ゆあも会ったことあるの!?」
「会ったことはないけど…ゆあの学校で噂になってるよ」
「生徒じゃなくても学校で噂になるほどなんだね…」
ゆあの話を聞いて、驚きを隠せないレン。

大輝は話を続けた。
「さやかちゃんはすごい子だよな…自分だけでなく、恵まれない人に服を配るために在庫処分される服を盗んでいるらしいぜ」
「え!?その服って、盗品なんですか!?犯罪じゃないですか!」
颯人の当然ともいえる反応に、大輝は目を伏せた。
「まぁ、当たり前だよな…話を聞くと、さやかちゃんは売れ残った服が捨てられるのは嫌だったようなんだ」
それを聞いて、沈黙するあいり達。
さやかは豊かな環境で育った自分達と違って、毎日生きるのに必死なのにもかかわらず服を大事に思っているのだ。

「盗みを繰り返していたら、そのうち取り返しのつかないことになりそうですね」
颯人が言うと、大輝はこう決意したように言った。
「ああ、この街だと警察は頼りにならねぇから、ひどいことをされるかもしれねぇな」
「そうなる前に、塾を新しくしないと!」
あいりが決意した。
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