3話「黒と紅の彩り」

「あの、煌木さん…話は何ですか?」
あいりは自分の前に座る煌木に聞く。
この日、あいりはゆあ、みつき、颯人、れん、大輝、ピュアンナと共にキラットの中にある煌木組の事務所に呼び出されていたのだ。

あいりの問いに、煌木の隣に座っていた矢野が代わりに答えた。
「プリキュアとプリキュアの恋人が揃っただけやなくて、うちのかわいい組員を助けてくれた礼をしたいのと、キュアエンゲージリングを全員が手にしたから呼び出したんや」
「まさかこんな短期間で立て続けに功績を上げてくれるとは…我々も正直驚きを隠せない」
煌木の言葉に、矢野は補足した。
「…ちゅうわけで、俺らも本格的に動かなあかんと思ったんや。もちろん、プリキュアへの全面的なバックアップは引き続き行う」

大輝が質問する。
「組長、最近はミッドナイト・ファミリーだけでなく、ディアマン教団でも動きがあったと聞きましたが…」
「その話だったな。最近はミッドナイト・ファミリーだけでなく、ディアマン教団でも不穏な動きがある。君達がミッドナイト・ファミリーと戦っている時に、ディアマン教団から妨害があるだろう」
「…やっぱり、ディアマン教団だったんだ」
みつきが戦いに乱入したシスターを思い出す。ゆあが手を上げて質問した。
「あの…ディアマン教団から妨害があると聞きましたが、妨害する可能性のあるシスターの名前とかわかりますか?」
「おい、ゆあ!」
レンが小さな声で制止したが、矢野が答えた。
「さっきひなから聞いた話やが…そのシスターの名前は黒曜香澄や」

シスターの名前を聞いて、衝撃を受けるあいり達。特に、あいりは驚きを隠せず固まっているようだ。
「…あいり、知り合いなんか?」
矢野が驚きを隠しきれないあいりに聞く。あいりは頷き、答えた。
「はい…中学時代の同級生です」
「あいり…」
うつむくあいりを、心配するピュアンナ。
「ヤロロ、あいりにはあまりに酷な話だ…それと、貧民街についての話もあるだろう」
煌木が話題を変えた。

「貧民街にある塾は、施設が老朽化していて危険だ。だから、建て替えて子供達が安心して暮らせる寮も併設しようと思う」
「あの…塾の子供達って、親はいないんですか?」
颯人は煌木の言葉に引っかかりを覚えて質問する。愛須市外で生まれ育った颯人にとって、塾とは子供達が放課後に家から通うところだからだ。
煌木が目を伏せながら答えた。
「そう言えば、颯人くんは愛須市の外から来たんだったな…愛須市では、塾は学校に行けない子供達、親のいない子供達が勉強するところなんだ」
「俺らは水面下で塾を建てるために準備する。俺らの代わりに貧民街のリサーチをしてくれへんか?」
煌木組が行ったら勘繰られることを、カタギであるあいり達に任せたのだ。
あいりは力強くうなずいた。
「はい…!貧民街の子供達も、わたし達が相手なら、きっと喜んでくれます!」
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