3話「黒と紅の彩り」

香澄は、ディアマン教団の本部に呼び出された。
「香澄、突然呼び出してすみません」
教会の聖堂に、柔和な男性の声が響く。

「アダマス様…話って何ですか?」
香澄はわずかな嫌悪感を抱きながらも、ディアマン教団の最高司祭であるアダマスに尋ねる。
アダマスは一呼吸おいて、答えた。
「最近、裏社会でプリキュアとか言う魔女が現れて騒動になっています…しかもその魔女には、そばに使える悪魔の男もいます」
香澄は幼い頃、母親と共に父親に捨てられた。その母親も男のせいで堕落し、香澄は教会の孤児院で育てられたのだ。

そのこともあって、香澄は男性に嫌悪感を抱いていた。

香澄のその嫌悪感を煽るように、上司のアダマスはプリキュアの恋人を「悪魔」と呼んだのだ。
ディアマン教団の教えでは、女性は慎ましく結婚するまで純潔であることが求められる。そのため、恋人と一緒にいるプリキュアが魔女と判断されたのだ。

アダマスは、両親に捨てられてディアマン教団にしか頼れない香澄を利用していたのだ。

「それで、私は…どうすればいいのですか?」
香澄は、アダマスに指示を仰ぐ。アダマスはこう言った。
「あなたは身体能力が高く、この街に現れた怪物と対等に戦える我が教団では数少ない貴重な戦力です…よって、あなたをプリキュアと戦う特殊戦闘シスターに任命します」
「はっ…ありがたき幸せ」
香澄は手で十字に切った。
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