2話「月夜の死神と愛の女神」

その頃、刹那は貧民街を歩いていた。
倒壊しそうだったゆめの家の解体撤去作業が行われているのを見て、クレーン車に目を付ける。
「闇をまとい、我が鉄砲玉となれ…!」
「バレッティオー!」
刹那の放った弾丸が当たったクレーン車を媒体としたバレッティオが暴れだした。

「あいり、大変ピュア!」
ピュアンナがゆめの部屋へと飛んでいく。
「うん!ゆめちゃん、また今度ね!」
そう言うと、あいりはゆあ、みつき、颯人、レン、大輝と共におやこの家から出た。
「ゆめちゃんにとって、大切な家を壊させない!ゆあちゃん、みつきちゃん!行くよ!」
「うん!」

「プリキュア、スイーティーハニー!」
あいり、ゆあ、みつきはスマホのアプリを起動し、プリキュアに変身する。
「愛に咲くピンクのバラ、キュアロージー!」
「高貴に煌めく紫の水晶、キュアアメジスト!」
「熱意に実る黄色い果実、キュアシトラス!」
そして決めポーズをした。
「スイーティーフィフィプリキュア!」

「今回のバレッティオ…クレーン車だ!」
颯人が叫ぶ。クレーン車は重いものを運搬する車だ。貧民街のあばら家を派手に運搬しているようだ。
「中に人がいたら危ないよ!早く浄化しなきゃ!」
みつきがそう言って、バレッティオの元へと急いだ。

「来たか、プリキュア…今日がお前らの命日だ……!」
刹那はなんとも死神らしい言葉を放ち、バレッティオに攻撃させる。
空き家を下ろそうとした時、キュアロージーとキュアシトラスがそれを抑え、キュアアメジストは「アメジストバリア」で防ぐ。
「刹那、お前は何でこんなことするんだ!?」
「…ボスからの命令だからだ」
大輝からの問いに、刹那は冷たく言い放つ。
「大輝さんって…こいつの知り合いなのか!?」
颯人は驚いた様子で言う。レンも冷静にこう言った。
「そうみたいだな…僕も驚いたけど」

キュアアメジストの力技で、アメジストバリアを置いて、空き家を安全に下ろした。
バレッティオは物乞いをしていた怯えている少年に向かっていく。その少年は、颯人が最初に貧民街に来た時に刹那に「もっと稼げ」と言われていた子だ。
「やめろ!」
颯人が少年の元に走り出そうとする。クレーンで釣り上げようとした時、刹那はこう叫んだ。
「止まれ!」
刹那にとって、この少年は幼い頃の自分と重ね合わせてみているような存在だった。

刹那が叫ぶと、バレッティオが止まる。
「あれ?止まった…」
キュアアメジストが言った後、キュアシトラスが躍り出た。
「なら、うちの出番だね!」
キュアシトラスはキュアテージスキルを発動した。
「プリキュア・シトラススパークリング!」
黄色い無数の閃光がバレッティオめがけて飛んだ。こうして、バレッティオは浄化された。
「フィジッティオ…」

バレッティオが浄化された後、貧民街のあばら家は元の位置に戻っていた。
「ぐっ…!」
刹那が去ろうとした時、大輝が叫ぶ。
「刹那!」
「大輝…なんでお前がプリキュアの味方をしてるんだ!」
刹那は柄にもなく感情的になって喚く。大輝は言葉に詰まりそうになって、こう言った。
「俺もまさか…お前が死神になってるなんて思わなかったよ……!」
「死神…なんでお前が俺のあだ名を知ってるんだ!」
「それはっ…!」
大輝が言葉に詰まると、刹那が耳につけたイヤホンから命令を受け取ったので去って行った。

「大ちゃん…死神と知り合いなの?」
変身を解いたみつきが聞くと、大輝はこう言った。
「まだ整理がつかねぇんだ…今度の休日、刹那のことを話すよ」
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