2話「月夜の死神と愛の女神」

「あいりちゃん、あいりちゃん!」
ゆめがあいりの腕を引っ張って、新しくできた自分の部屋まで連れて行く。ランドセルのお礼に、ゆめはあいりを部屋に案内してくれたのだ。

「じゃーんっ!ここがわたしの部屋だよ!」
「わぁ…!」
ゆめの部屋をあいりは見渡す。
花柄の壁紙に、勉強机やテーブル、クローゼットもある。昔から大事にしている古ぼけたうさぎのぬいぐるみが新品のピンクのベッドの上に置いてある。
ゆめの話によると、おやこの家では5歳以上の子供は子供部屋が与えられるようだ。

「ゆめちゃん、ランドセル背負ったままで重くないの?」
「あ!そうだった!」
ゆめはランドセルを下ろすと、大事そうに勉強机の近くに置いた。
ゆめはあいりと並んで、ベッドの淵に座る。
「わたし達の家、倒壊しそうで危険だったからここに引越したの。ここだと塾から近いし…」
「あの家、倒壊しそうだったもんね…」
あいりはゆめの前の家を思い出す。
「ランドセル、さっそく使うね!」
ゆめはランドセルを気に入ったようだ。早速塾にも教材や筆記用具を入れて持って行くようだ。

「ゆめちゃん、何が欲しい?」
「うーん…」
ゆめは考え込んだ。「何が欲しい?」と聞かれてもわからなかったのだ。あいりはそれに気付いて、具体例を出す。
「そうだね…服とか本とか、アクセサリーとか」
「服!」
ゆめが即答する。ゆめはさらにこう付け加えた。
「お洋服いっぱい欲しい!」
「うん!小さくなった服があったら持って来るね!」
あいりは頷いた。
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