2話「月夜の死神と愛の女神」

ピュアンナのいるリビングに、あいりと颯人が来た。
二人ともバスローブから私服に着替えており、お風呂上がりなのか石鹸のいい香りがする。
「ピュアンナ、何を観てるの?」
「他の街にいるプリキュアピュア」
「他の街にもプリキュアがいるの?」
「情報屋をやってるひなに教えてもらったピュア」
あいりとピュアンナの会話を聞いて、颯人が考える。
「梓さんもプリキュア知ってるんだ…梓さんの想像するプリキュアって、てっきりあいりちゃん達のことだと思ってた」
「他の街のプリキュアは、ピュアンナ達の害になるような仁義外れじゃないから問題ないピュア」
「さすがに他の街にケンカを売るようなことはしないと思うよ…?」
ピュアンナの言葉にあいりがフォローを入れる。

颯人のスマホに通知音が鳴る。噂をすれば、梓ひなからだ。
颯人はスマホを確認した。
『如月くんなら確認できると思うけど、プリキュアのおっかけと言う人のキュアスタアカウントだよ』
颯人は「ありがとう」のスタンプを押すと、さっそく「プリキュアのおっかけ」と言うアカウントをフォローした。

「颯人くん、何かあったの?」
「ちょっとプリキュアについて調べてただけ」
颯人と話した後、あいりはピュアンナに聞く。
「このプリキュアとわたし達の状況が違いすぎるけど、プリキュアってどっちが本当なの?」
あいりはテレビに映る平和な街のプリキュアと治安の悪い愛須市で暮らす自分達があまりに乖離しているので、こう聞いたのだ。

ピュアンナは答えた。
「…プリキュアはもともと絶望的な街に突然現れる希望の光だったピュア。だから本当はこの街のような治安の悪い街にしか現れないピュア」
「…でも、今は平和な街に暮らす普通の女の子がプリキュアなんだよね?」
颯人の問いに、ピュアンナは頷く。颯人は続けた。
「プリキュアは今となっては、子供たちにとってあこがれの正義のヒーローだよね…知ってるよ。今の俺は、あいりちゃんを通してプリキュアの真実を知っていっている最中だ」
「颯人…」
「ピュアンナ、わたしもプリキュアをもっと知りたい!そして、他のプリキュアとも友達になりたい!そうなれば、ラブってるよね?」
「あいり…ありがとうピュア」
ピュアンナは笑顔になった。そして、あいりと颯人はピュアンナと仲良くプリキュアを観た。
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