2話「月夜の死神と愛の女神」

「そうだ、みんなに俺ん家を案内するように組長さんから言われてたんだ」
大輝がこう切り出す。思わずドキッとするあいり達。

キラットから少し離れてはいるが、裕福なエリアに大輝の家はあった。しかも、みつきの家の近所だ。
「え!?大ちゃんって、ウチの家の近所に住んでるの!?」
「そうだぜ?みつきを家に送ることもできるぞ」
驚くみつきに、大輝は答える。ゆあがみつきをからかった。
「みっちゃん、よかったね。大輝さんの家に入り浸れるよ」
「さすがにそんなことしないよ!」
みつきは赤面した。
「よーし、じゃあ開けるぞー」
大輝がそう言って、家の鍵を開けて中に入る。あいり達も彼に続いた。

家に入った後、大輝はリビングであいり達に家の合鍵を配る。
「これがこの家の合鍵だ。俺がいない時も自由に使っていい」
「ピュアンナ達煌木組で用意したピュア!」
ピュアンナが得意げになって言う。大輝はこう補足した。
「この街は夜は危険だし、いざと言う時はここに泊まっていい。でも、親への連絡は忘れるなよ」
「大輝さん達はわたし達のために…」
「え、いいんですか…?」
「いいの…?大事に使うね」
「マジ、太っ腹じゃん…」
あいりと颯人、ゆあとレンが少し戸惑っていると、みつきが大輝に抱きついた。
「ありがとーっ!ウチらを守ってくれるんだね!」
「ああ、泊まることになった時の部屋も見るか?」
「大輝がバイトしてる間に、ピュアンナとブンタで掃除と模様替えはしておいたピュア」

大輝とピュアンナは、あいり達を上の階にある寝室にまで案内する。部屋割りはあいりと颯人、ゆあとレン、そしてみつきと大輝とカップルで同室であるようだ。
あいりと颯人は、真ん中の部屋に案内された。
「…」
「これは…」
あいりと颯人は赤面して、部屋を見つめる。椅子と机、姿見、棚、クローゼット、ドレッサーがあるが、ベッドはダブルベッドで天井からはキャノピーが吊るされている。しかもクローゼットにはバスローブがあるようだ。

「颯人くん、どうしたの…?」
あいりが聞くと、颯人は赤面したまま言う。
「女の子と同じ部屋で寝るなんて初めてだからさ…ちょっと緊張してる。俺のいた街ではお泊まりする行事もあったんだけど、そういう目的じゃなかったし…」
颯人は今まで異性と寝たことがなかった。愛須市で生まれ育ったあいり、ゆあ、みつき、レン、大輝と違って学校には宿泊行事もあったが、そこでも同性と同室だった。
「プリキュアのパワーアップには、恋人の協力が欠かせないピュア」
「ちょっと、ピュアンナ!」
ピュアンナをあいりがたしなめると、颯人はあいりの手を握った。
「あいりちゃん、俺も本当は君と…」
「颯人くん…」
あいりも頬を赤らめ、颯人を抱き締めた。
「アツアツピュア、ちょっと他の部屋も見てくるピュア」
そう言って、ピュアンナは他の部屋を見に行った。
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