2話「月夜の死神と愛の女神」
カフェでのランチを終えた後、大輝は颯人とレンを連れて、愛須市の貧民街へと行った。
「ここが貧民街…俺達の知ってる街と全然違う」
颯人が辺りを見渡す。ボロボロの家屋が並んでおり、辺りには壁によりかかって座っている人もいる。
「愛須市だとここみたいな貧困エリアもあるんだよ…親や先生には近付くなって言われてた」
レンは颯人に貧困エリアのことを教える。大輝が二人に気を付けるように言う。
「ああ、中でも貧民街は愛須市でも最悪の治安だ。二人とも、俺から離れるなよ」
2人が頷くと、大輝は颯人、レンを連れて歩いて行った。
少し歩いていくと、ござを敷いた所に10歳くらいの男の子が座っている。近くにある小さな段ボール箱には「おめぐみください」と書かれている。
男の子はうなだれた様子で座っている。おなかが空いているようだ。
「あの子、おなかが空いてるみたいだ!これが普通なんですか!?」
颯人が男の子を見て、大輝に聞く。大輝はどこか辛そうに答えた。
「ストリートチルドレンだ…聞こえはかっこいいけど、現実はそうじゃねえんだよ」
「なんか食べ物をあげないと!」
男の子の元に誰か来る。颯人をレンが制止した。
「しっ、誰か来たみたいだ…」
3人は物陰に隠れて、男の子を見守る。男の子の前に来たのは黒いパーカーを着た紺色の髪の青年だ。
青年は何も言わずに小さな段ボール箱を持ち上げる。片目が髪で隠れているが、月のような黄色い瞳は鋭い。
「ちっ、これだけか…」
青年は静かだがどこかいらだった様子で、段ボール箱の中身を見る。中に入っていたお金が少ないのだろう。
青年は男の子に暴力を振るうわけでもなく、段ボール箱を男の子の横に置き、見下ろして冷徹にこう言った。
「…もっと稼げ」
そういった青年の瞳はいらだちだけでなく、男の子に対する哀れみもこもっていた。
その後、青年は何もせずに去って行った。
目の前でのストリートチルドレンの様子を見て、颯人は安堵したようにレンに聞いた。
「あの人、なんであの子を傷つけなかったんだろう…?」
「…あいつも人の心があるんだ」
レンが言っていたが、大輝はどこか様子がおかしい。
「大輝さん、どうしたんですか…?」
「あいつ、ストリートチルドレンのブローカーになってたのか…」
「大輝、そいつのこと知ってるの?」
颯人とレンの質問に、大輝が答える。
「…昔の顔馴染みだよ。…もしその子が女の子だったら、もっと悲惨だっただろうな」
いつもの明るさとは打って変わって暗く、どこか辛そうに答えたのでもう質問せずに貧民街から出た。
男の子は、颯人達の存在には気付いていなかったようだ。
「ここが貧民街…俺達の知ってる街と全然違う」
颯人が辺りを見渡す。ボロボロの家屋が並んでおり、辺りには壁によりかかって座っている人もいる。
「愛須市だとここみたいな貧困エリアもあるんだよ…親や先生には近付くなって言われてた」
レンは颯人に貧困エリアのことを教える。大輝が二人に気を付けるように言う。
「ああ、中でも貧民街は愛須市でも最悪の治安だ。二人とも、俺から離れるなよ」
2人が頷くと、大輝は颯人、レンを連れて歩いて行った。
少し歩いていくと、ござを敷いた所に10歳くらいの男の子が座っている。近くにある小さな段ボール箱には「おめぐみください」と書かれている。
男の子はうなだれた様子で座っている。おなかが空いているようだ。
「あの子、おなかが空いてるみたいだ!これが普通なんですか!?」
颯人が男の子を見て、大輝に聞く。大輝はどこか辛そうに答えた。
「ストリートチルドレンだ…聞こえはかっこいいけど、現実はそうじゃねえんだよ」
「なんか食べ物をあげないと!」
男の子の元に誰か来る。颯人をレンが制止した。
「しっ、誰か来たみたいだ…」
3人は物陰に隠れて、男の子を見守る。男の子の前に来たのは黒いパーカーを着た紺色の髪の青年だ。
青年は何も言わずに小さな段ボール箱を持ち上げる。片目が髪で隠れているが、月のような黄色い瞳は鋭い。
「ちっ、これだけか…」
青年は静かだがどこかいらだった様子で、段ボール箱の中身を見る。中に入っていたお金が少ないのだろう。
青年は男の子に暴力を振るうわけでもなく、段ボール箱を男の子の横に置き、見下ろして冷徹にこう言った。
「…もっと稼げ」
そういった青年の瞳はいらだちだけでなく、男の子に対する哀れみもこもっていた。
その後、青年は何もせずに去って行った。
目の前でのストリートチルドレンの様子を見て、颯人は安堵したようにレンに聞いた。
「あの人、なんであの子を傷つけなかったんだろう…?」
「…あいつも人の心があるんだ」
レンが言っていたが、大輝はどこか様子がおかしい。
「大輝さん、どうしたんですか…?」
「あいつ、ストリートチルドレンのブローカーになってたのか…」
「大輝、そいつのこと知ってるの?」
颯人とレンの質問に、大輝が答える。
「…昔の顔馴染みだよ。…もしその子が女の子だったら、もっと悲惨だっただろうな」
いつもの明るさとは打って変わって暗く、どこか辛そうに答えたのでもう質問せずに貧民街から出た。
男の子は、颯人達の存在には気付いていなかったようだ。
