6話「蛍石と黒曜石」

香澄がディアマン教団のオルガンの前に座っていると、アダマスが来た。香澄は思わず立ち上がる。
「アダマス様、ミッドナイト・ファミリーのボスからは何と…?」
「ええ、ディーノ園城が魔女に殺害されたとの連絡が先程入りました」
「そうですか…」
香澄はうつむく。アダマスは香澄の心の迷いを見透かしたかのように言う。
「香澄、魔女と恋人である悪魔の男達はやはり危険です。ディアマン教団のシスターでは魔女達を確実に仕留められるのは、あなたの他にいないのです」
「危険…ですか?彼女達が…?」
香澄はこれまで何度もプリキュアやその恋人達を見て、彼女達がアダマスの語るような危険な魔女や悪魔には見えなかったのだ。
特にキュアロージーの自分を案じる叫びは、魔女ではなく一人の少女の心からの叫びに聞こえたのだ。

アダマスは香澄の心が揺らいでいるのを感じて、あえてこう言った。
「ええ、その通りです。彼女達は人間に化けた魔女で、その恋人達は魔女と契約し堕落した悪魔なのです」
「…」
香澄は黙り込む。上司であるアダマスの言葉に納得できていないようだ。
アダマスはこう続けた。
「魔女と悪魔の力はこれまで以上に強力になっています。教団に育ててもらった恩を忘れたのですか?魔女と悪魔を、必ずあなたの手で仕留めるのです」
「はい…わかりました」
香澄はそう言われると、逆らえない。香澄がそう言うと、アダマスはこう言った。
「では、頼みましたよ…ご加護のあらんことを」
そう言うと、アダマスは去って行った。

一人になった香澄はこう呟いた。
「最近のディアマン教団はおかしい…前はここまで過激じゃなかったのに」
香澄はオルガンの近くのステンドグラスの窓の近くに移動する。
「あの魔女と悪魔は、普通の人の子に見えたわ…なのにどうして、私に始末するように言ったのかしら」
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