5話「全力疾走×全面抗争」

香澄はディアマン教団の教会にいた。ステンドグラスの光が香澄の体を照らす。

「香澄…また魔女に負けたようですね」
アダマスの言葉に、香澄は何も言い返せない。そんな香澄に、アダマスはこう言った。
「ほう、何も言い返せないのですか?…まあ、いいでしょう」
香澄が悔しさで拳を握り締めたのも意に介さず、アダマスはこう続けた。
「魔女に何度も負けてしまうとは…あなたには期待をしていましたが失望しましたよ」
「申し訳ございません…」
香澄は申し訳なさそうに頭を下げる。

そして香澄にアダマスはこう言う。
「そんなこともあろうかと、これを用意していたのです。」
アダマスはそう言って、メリケンサックを手渡す。
「アダマス様、それは…」
「はい、メリケンサックです。本来ディアマン教団のシスターは武器は使わず、己の体術で戦います。ですが、あなたは我が教団にとって特別なのです」
香澄はアダマスからメリケンサックを受け取って、それを眺める。
「これで、魔女を倒せばいいのですね…?」
「はい、あなたは魔女と対等に渡り合えるほどの実力を持つ特別なシスターです…これ以上失望させないでくださいね」
アダマスの言葉に香澄はうなずいた。
「はっ、承知いたしました」
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