2章「Journey to the City」

ボイと遊んだり、夕食を食べたりして時間が過ぎていき、夜になった。ハナ達は用意してくれた部屋で寝ている。

廊下に出たフレイアは、イライラした様子でスマホを確認していた。
「どうして既読がつかないの、今までこんなことなかったのに…まったく、あの人はいったい何をしているのかしら!」
「ボイ!ボイ!?どこにいるの!返事して!」
ユウスケが走っている。フレイアが声をかけたユウスケによると、この時間帯は寝ているはずのボイがいなくなったようだ。

ダイチを除いたハナ達6人が騒ぎを聞きつけてきた。
「あの、何かあったんですか!?」
「どうしたんだよ…」
ハナとブレイズの声を聞きつけて、ツジモトもやって来た。
「ああ、皆様!騒がしくして申し訳ありません!ボイおぼっちゃまが行方不明になってしまい…!」
ツジモトの話を聞いて、ハルは驚いた。
「ゆ…行方不明!?」
「犯人側から要求はないですか?」
ミサキの問いにツジモトが答えた。
「いえ、犯人がどなたかは存じ上げませんし、そのような連絡も今のところはございません」
「とにかく、ボクは外を探しに行ってくる!万が一のことがあるから、君達は部屋に戻ってて!」
ユウスケに対して、ハナとアースが同行したいと願い出た。それを聞いて、ユウスケとツジモトが目を丸くする。
「お客様にそんなことをさせるわけには…と、言いたいところですが、すでに警察を呼んで事情聴取を行っている以上、私達はここから離れることはできませぬ」
フウトとハルはパトカーのサイレンがお屋敷の外で鳴っていたこと思い出していた。ツジモトが頭を下げた。
「本来はこちらでどうにかしなければならないことですが…ボイおぼっちゃまを、ユウスケ殿をどうかよろしくお願いします」

ハナ達はユウスケと共にお屋敷のすぐ近くを捜索することとなった。ダイチはアースが呼んで連れてきてくれたようだが、まだユウスケ達を信用できていないようだ。
「オレは別のところを探すよ」
「お、おい、ダイチ!」
フウトがダイチを引き留めようとしたが、アースがこう言った。
「フウトくん、ダイチにとってここは地元だから安心して。ボクも行くよ!」
そう言ってアースは、ダイチのあとを追いかけた。

ダイチとアースはボイを探していたが、ボイの泣き声が聞こえた。ボイの近くにエメラルドのような男性のエレメントと水のような青い髪のエレメントの少女がいる。
「おい、やめさせるか…!?」
「ちょっと待って、ダイチ。まず気付かれないように…みんなに教えないと」
「そうだな…」
アースの助言もあって、ダイチはスマホを取り出してフウトに電話した。
『もしもし…ダイチか?』
「うん、ボイを見つけたぞ!俺達がボイを連れ去ったやつらを足止めさせとくからそっちに来てくれ!」
『わかった、今行く!』
電話を切ると、ダイチとアースはボイと2体のエレメントの前に現れた。

「…お前ら、この屋敷の坊ちゃんを連れ去ろうとしてたのか?」
ダイチの声に、エメラルドのようなエレメントが一瞬驚く。
「勘が鋭いな…これだからニンゲンは……!…俺はエメ、エーテルの軍師だ。横にいるのはアクア…エーテルの少女幹部だ」
「やだー!おうちかえるー!」
「…暴れないで」
アクアが逃げようとするボイを押さえつける。

「そいつの親父はディバインアークとのつながりもあるから、連れ去って交渉材料にしようと思ったんだよ」
平然と言うエメに、ダイチは怒りを抑えられなかった。
「お前ら、汚い手を使うんだな…正々堂々勝負できねぇのか?」
「ぐぬぬ…!」
怒るエメに対して、冷静に言うアクア。
「落ち着いて、エメ。ここで挑発に乗ったらあいつらの思うつぼよ」
エーテルの所業にアースもさすがに怒っている。
「ボイをおうちに帰してあげてよ。ダイチは戦う気だけど、ボクは戦いたくないんだ」
「はっ、やだね…誰が人間とつるんでるエレメントの言うことなんか聞くんだよ」

交渉決裂だ。
ダイチとアースは、エメやアクアと戦うこととなった。
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