2章「Journey to the City」

ハナ達はティエラの近郊にある大きなお屋敷の執務室へと通された。
頭にわっかがついている毛先が青いグラデーションになっている赤い髪のエレメントの男性がこう言った。隣にはインナーカラーを施した長髪の女性エレメントがいる。
「やぁ、いらっしゃい。長旅お疲れ様…でいいのかな?」
「はい…」
ハナは緊張しながら、うなずく。後ろではフウトとダイチはさっきから険悪な様子なので、パートナーであるハルとアースがそれぞれでなだめている。

「私はタイタン。ここらの一帯を管理する者さ。」
「ごきげんよう。妻のルティアと申します。」
ルティアは学園の進路相談課で、生徒の悩みを聞いたり進路相談をしたりしているようだ。
「先程、ディバインアークの方から連絡が入ってね。コガネくんとシロガネくんが危険人物に遭遇したらしく、捕まるまでヒカグラへの道を閉じることになったんだ」
タイタンの話を聞いて、ダイチがつぶやいた。
「誰が危険人物だよ…ホント気分わりぃな」
「確かにな…でも、僕達が疑われてるのは事実だ」
さっきまで険悪だったフウトとダイチだが、自分達が疑われていることに共感している。もう和解したのだろう。
「順当に行けばピラミッドから出て来た君達が犯人ということになるけど、それにしては様子がおかしい。良ければ話を聞かせてくれるかな?」
ハナとブレイズは、タイタンにピラミッドでの一件を話した。

「あの…私のことは通報しないんですか?」
ミサキは気になって、タイタンにこう質問した。
「そうだね…これに関しては君次第かな。もう下がっていいよ」
「はい…失礼します」

ハナ達がタイタンが仕事で使う執務室から出ると、ユウスケ達は頭を下げ謝罪した。
「先ほどは申し訳ありません。手荒なマネをしてしまい…現在、あなた方がお泊りになる部屋の準備が整いました」
「私からも誠に申し訳ございません…私の名はツジモト。どうぞお見知りおきを」
ツジモトがハナ達を部屋に案内しようとした時、フウトはユウスケに尋ねた。
「失礼ですが、あなたの名前は?」
「え?ボクの名前?重ねて謝罪します…自己紹介がまだでしたね。ボクは…」
「…ん?って、ボイおぼっちゃま!?」

「ボイおぼっちゃま」と呼ばれた小さな男の子のエレメントがユウスケの後ろにいる。
「あ!坊ちゃま!いつの間に後ろに…!」
「ゆーすけ!ぼい、ぼっちゃ、ちがう!ぼい!」
そう言うとボイは、ユウスケをポカポカと殴る。
「って、痛っ!?叩かないで~!呼び方が違うってさすがにお客様の前なんだから~!」
ツジモトもあわてて止めようとする。
「ああ、そんなユウスケ殿を叩いてはなりませぬ!」

「あの…その子は?」
ミサキはそのエレメントの男の子について尋ねた。ユウスケはボイを抱っこして答える。
「え?この子…?こ、このお方は旦那様のご子息であり、ボイ様で…わ~!眼鏡引っ張るのだけはやめて~!」
「子供が小さいと大変ですね…」
フウトはフレイアにこっそり伝えた。
「これくらいの子なら、ちょっとぐらいわんぱくな方がいいわよ。ブレイズはもっとわんぱくだったけどね」
「う…」
母に自分の幼少期を暴露させ、言葉も出ないブレイズ。

少し離れた所にダイチとアースがいる。ダイチはまだ警戒しているようだ。アースはダイチのことが心配である。
「ねぇ、ダイチ…そろそろ機嫌を直しなよ」
「ちょっとな…でも、信用できねぇよ。今はひたすら様子見だ」

ボイがハナ達に近付いてきた。
「おねーちゃ、おにーちゃ、だれ?あそんでるの?ぼいもあそぶー!」
「もうお話終わったからいいぜ」
ブレイズがボイにうなずき、ハナの方を見る。
「いいよ、何して遊ぶ?」
ハナがしゃがみこんで、ボイを見つめた。ボイは大喜び。
「かくれんぼしよ!おねーちゃ、おにーちゃ、おにね!」
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