二次創作の著作権

二次創作にも著作権は発生します。[1]
創作された作品に自然発生する権利。
「自分のもの」だと主張する権利。
誰かに勝手に使われない権利。

発生しないとどうなるか……



シミュレーション:二次創作に著作権が発生しない場合



『O』という原作に対し、
Aさんが『虹』という二次創作を某日公開しました。
Aさんは二次創作に対し謙虚すぎる考えをもっており、自身の作品に対して「著作権はありません」とポストしました。

数ヶ月後、
Bという方が、『O』の同人グッズと思しき物を生産、大々的に販売しました。

【FACT】他者の権利物で無断で利益を得る行為は完全なる著作権侵害です。[2]

そこで、善意の一般人がBに注意しました。
すると、Bの返答は、
「これは、Aという方の『虹』という作品を基に、製作されたものです。
 Aさんは自身の作品に著作権はないとポストしていました。
 なので、『虹』という作品には著作権はありません。
 著作権が無い作品を、他人がどう使おうが自由でしょう?」
と。

【FACT】著作権の無い作品は、誰でも自由に利用(商用も)できます。[3]

善意の一般人はもう反論できなくなりました。

【FACT】著作権侵害の申し立ては、著作権を有する著作者のみができる権利です。[4]

【POINT】Aさんは『虹』の著作権を放棄しているため、Bさんの行動を止めさせることができる人物は、この時点で誰もいません。


Bは『O』そっくりな造形のグッズをどんどん生産・販売して、多大な利益を出すようになっていきます。


転機は突然訪れます。

Bが脱税の容疑で国税庁から調査を受け、ニュース映像でそれが『O』そっくりなものであることが、世間の目に明らかになりました。

しかしBが主張するのは
「これは『O』ではなく、『虹』という作品のグッズです。
 『虹』には著作権はありません。」

ところが、ニュースでこのことを知った『O』の原作者と出版社が、Bに対し著作権侵害の訴訟を起こす動きがみられました。

それでもBは引き下がりません。
「これは『O』ではなく、『虹』という作品のグッズです。
 『虹』には著作権はありません。
 著作権侵害したのは、『O』の二次創作をしたAでしょう。
 Aを訴えるべきだ。

と。

事態は泥沼へ……



というような最悪のシナリオを防ぐのが、
二次創作にも著作権が発生する、という法解釈です。

このシナリオで、もし、Aさんが『虹』の著作権を主張して、「勝手に使わないで」と告知していれば、Bはグッズの生産をしなかったかもしれません。(これはあくまでシミュレーションです)


FAQ:
Q: 私の二次創作はスバラシイので、パクったやつ全員許せません!
A: 二次創作という特性上、シチュエーションや萌えポイントが「丸被り」することは、よくあることです。それをパクったパクられたとイチャモンつけるのはむしろ恥ずかしい行為です。そんなにパクられるのが嫌なら、キャラも世界観もストーリーも全て自分で考えた一次創作に転向しなよ、と思う。似た創作に遭遇したら、「似た嗜好をもつ方に出逢えたラッキー」くらいに思うとよいでしょう。そのまま仲良くなっちゃえ☆彡

FAQ:
Q: 二次創作ごときで著作権を主張するなんて図々しい!でも自分で創ったものが誰かに勝手に使われるのはイヤ。
A: 現行法では、著作権を有する者でしか、勝手に使われるのを止めさせることはできません。著作権を有していないのに使うな、の方が不条理です。

FAQ
Q: 私ごときの作品が悪用されるわけがないので、関係ないよね?
A: すべての作品が悪用されるおそれがあります。上手い・下手関係なく。それが二次創作の場合、悪用されると原作の利益を侵害することになりかねないという危険な状況となります。原作を護るという意味でも、自身の作品を護る必要があります。


著作権。「他者に勝手に使われない」権利。
二次創作にも著作権が発生する、という法解釈。[5]

それは、自分の作品を護るだけでなく、
原作を護る、という意味でも、必要な【抑止力】となると考えています。


悪意ある使われ方をされないために。


自身の作品の「権利」を意識することで、
すべての創作者のもつ「権利」も意識することになり、
結果として、
原作をたいせつに思う。
すべての創作者へのリスペクト心が高まる。
そうして、健全な創作が生み出されていく。

そうなったらいいな、という、備忘録。



二次創作が法的にグレーで、時々問題となるのに、何故、脈々とこの文化が続いているのか? については、そのうち書くかもしれないし、書かないかもしれません。



ダイヤの千晶シリーズならびに龍ち羽シリーズは、一切の二次利用を認めません。
オマージュ元に「似すぎている」ために、そちらへの影響を懸念しているのと、先ほどの「最悪のシナリオ」になるのを避けたい、というのもあります。
が、
「これならオーケー」「なら、これもオーケー?」「ならこれも、これも…」となし崩し的に、「なんでもあり」になってしまう。……今の二次創作界隈みたいに。
そうなる前に、はじめからすべて禁止、とすることで、悲しい諍いを避けたいのです。

自分の作品は、自分の「こども」ですから、どこの誰かも知らない人に勝手に「いいように」使われるのは、見たくないから……。

二次創作すべてが悪いというわけではありません。
好意的な二次創作、すてきな作品は、むしろ、もっともっと、見たい、から。

すてきな二次創作に触れて、原作の理解が深まって、より一層好きになる。この好循環こそ、二次創作の醍醐味だと思っているから。

二次創作ってすてきだな。
誰もがそう思える界隈であると、いいな。


ファルガイア生まれファルガイア育ちの異星人による、長いひとりごと。


コラム:検索避けは「おまじない」


当サイトにおける二次創作ポリシー

二次創作においては、公式ガイドライン※1があるものについてはそれに従い、特に定められてないものについては、前者に準じるものとして、
一、不当に利益を得ない
二、原作のイメージを著しく損なわせない※2
三、原作(公式)と詐称しない
等といったデファクトスタンダードに則ります。
原則として「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」への無料公開と対面頒布のみ。不特定多数に届く方法(BOOTHや書店委託など)はしません。
※1参考:ウマ娘(2024)、プリンセッション・オーケストラ(2025)等、できるだけ最新のもの
※2全年齢向けにリリースされた作品を成人向け(性的・暴力的)に描くだとか、キャラクターの性質そのものを改変(性別転換、特に明言されていないのに同性愛者として表現)したものも含むと考えています。
公式のルールこそがルールです。
自分の都合のいいようにねじ曲げることはしたくないと考えていますし、そういった「公式のルール」を逸脱する行為に加担するつもりもございません。


注釈
[1]BL同人誌事件(知財高裁令和2年10月6日)、二次創作の著作権を認める判決
[2]著作権法(刑法)のうち、公衆送信権など。
[3]著作権フリー、パブリックドメインなど。たいていは作者の死後70年経過で自動的に著作権は消失。
[4]著作権侵害は親告罪(刑法)
[5]創作者によるオリジナリティのある部分に二次的著作権が発生。必ずしもすべての二次創作に著作権が発生するわけではない。例えば原作に「モロ寄せすぎ」るとむしろ著作権侵害の虞れ。萌えシチュのつぶやきなどの「アイデア」に著作権が発生しないのは勿論のこと。


答え→
”例えばいわゆるコミックマーケットにおける同人誌等の二次創作活動については,一般的には,原作のまま著作物等を用いるものではなく,市場において原作と競合せず,権利者の利益を不当に害するものではないことから,(中略)のような要件に照らせば,非親告罪とはならないものと考えられる一方で,販売中の漫画や小説の海賊版を販売する行為や,映画の海賊版をネット配信する行為等については,非親告罪となるものと考えられます。”
引用元:環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(平成28年法律第108号)及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第70号)について/文化庁(外部リンク)