長方形のプラネタリウム
「今日の出陣でようやくカンストだね、おめでとう山姥切。誉もよく取っていたから予想よりも早かったし、これからもよろしく頼むよ」
「ありがとう」
顕現してから数ヶ月、数々の戦闘の経験を経て、山姥切長義はとうとう今日の出陣でカンストを迎えた。
今回の出陣部隊の隊長として本丸の審神者に報告をすると、審神者に労いの言葉をかけられて山姥切はふわりと微笑んだ。
「さてと。本丸の習慣として一つ好きなものをカンストしたお祝いとしてあげたいんだけど、何か欲しい物はある?」
この本丸ではカンストを迎えた刀は、審神者からお祝いとして、彼等が希望する物を一つ貰うことができる。
さすがに折り紙つきの工芸品みたいな高額な物はできないが、ある程度の値段なら希望は通るので、カンストした刀達は皆いつもより値が張る物を頼む者が多かった。
「そうだね……このストールをかけられる物を貰えないかな」
少し考えたように顎に手を当てた後、山姥切はそう言いながら自分のストールをつまんでみせた。
「そのストールをかけられる物?衣桁とか?」
「いや、そんな大層な物じゃなくていいんだ。洋服でも掛けられるような簡単な物でいい」
「……だったらハンガーラックかな?通販サイトがあるから一緒に見てみようか」
普段の生活でも戦闘や仕事に明け暮れて、趣味らしい趣味も持っていなかった山姥切から、生活感のある物を希望されて内心意外に思いながらも、審神者は早速自分のパソコンを立ち上げて、通販サイトから彼が欲しいものを一緒に探し始めた。
しばらく似たような商品を色々と見比べていると、隣で座って画面を見ていた山姥切が、ある物を見つけてそれを指差した。
「これにしようかな」
「えっ、これ業務用のすごく安いのだよ!?もう少し高いのとか、おしゃれな物でも大丈夫だよ?」
彼が選んだのは何の変哲もない、銀色のハンガーラックだった。
何か特別な装飾がされている訳でもなく、どこかの会社の備品として置いているような、安い代物だ。
他の刀達とは余りにも系統が違う物に、審神者は驚いて本当にこれでいいのかと再度確認した。
「幅も高さも調節もできるし、重量もそこまでないから車輪で簡単に動かせる、何より長持ちしそうだからね。本当は二つ欲しいところだけど、俺はこれがいいかな」
「ううん、二つでも安いくらいだよ。山姥切がいいならこれでいいけど、何か別の物でも本当にいいんだよ?まだ予算は全然余裕あるし」
「そうだな……では、今度買い物に付き合ってくれないかな。残りの予算はそれに使って欲しい」
「分かったわ。ハンガーラックが欲しいなんて、服でも揃えるの?」
「いや。カンストしたら、しばらくは今程出陣する回数が減って、自由な時間が増えるだろう?だから、前にやっていた趣味を、またここでも始めようかと思ってね」
「へえ~何をしていたの?」
「ふふ。今は内緒、かな」
山姥切の趣味に興味を示した審神者に、彼は誤魔化す為に人差し指を口許に当てて微笑んだ。
「ありがとう」
顕現してから数ヶ月、数々の戦闘の経験を経て、山姥切長義はとうとう今日の出陣でカンストを迎えた。
今回の出陣部隊の隊長として本丸の審神者に報告をすると、審神者に労いの言葉をかけられて山姥切はふわりと微笑んだ。
「さてと。本丸の習慣として一つ好きなものをカンストしたお祝いとしてあげたいんだけど、何か欲しい物はある?」
この本丸ではカンストを迎えた刀は、審神者からお祝いとして、彼等が希望する物を一つ貰うことができる。
さすがに折り紙つきの工芸品みたいな高額な物はできないが、ある程度の値段なら希望は通るので、カンストした刀達は皆いつもより値が張る物を頼む者が多かった。
「そうだね……このストールをかけられる物を貰えないかな」
少し考えたように顎に手を当てた後、山姥切はそう言いながら自分のストールをつまんでみせた。
「そのストールをかけられる物?衣桁とか?」
「いや、そんな大層な物じゃなくていいんだ。洋服でも掛けられるような簡単な物でいい」
「……だったらハンガーラックかな?通販サイトがあるから一緒に見てみようか」
普段の生活でも戦闘や仕事に明け暮れて、趣味らしい趣味も持っていなかった山姥切から、生活感のある物を希望されて内心意外に思いながらも、審神者は早速自分のパソコンを立ち上げて、通販サイトから彼が欲しいものを一緒に探し始めた。
しばらく似たような商品を色々と見比べていると、隣で座って画面を見ていた山姥切が、ある物を見つけてそれを指差した。
「これにしようかな」
「えっ、これ業務用のすごく安いのだよ!?もう少し高いのとか、おしゃれな物でも大丈夫だよ?」
彼が選んだのは何の変哲もない、銀色のハンガーラックだった。
何か特別な装飾がされている訳でもなく、どこかの会社の備品として置いているような、安い代物だ。
他の刀達とは余りにも系統が違う物に、審神者は驚いて本当にこれでいいのかと再度確認した。
「幅も高さも調節もできるし、重量もそこまでないから車輪で簡単に動かせる、何より長持ちしそうだからね。本当は二つ欲しいところだけど、俺はこれがいいかな」
「ううん、二つでも安いくらいだよ。山姥切がいいならこれでいいけど、何か別の物でも本当にいいんだよ?まだ予算は全然余裕あるし」
「そうだな……では、今度買い物に付き合ってくれないかな。残りの予算はそれに使って欲しい」
「分かったわ。ハンガーラックが欲しいなんて、服でも揃えるの?」
「いや。カンストしたら、しばらくは今程出陣する回数が減って、自由な時間が増えるだろう?だから、前にやっていた趣味を、またここでも始めようかと思ってね」
「へえ~何をしていたの?」
「ふふ。今は内緒、かな」
山姥切の趣味に興味を示した審神者に、彼は誤魔化す為に人差し指を口許に当てて微笑んだ。