にわか雨 駆ける歪な 影一つ
万屋で審神者に頼まれた物を受け取り、ついでに厨当番から頼まれた物も全て買い終えた二振りは、荷物を風呂敷に包んで万屋の外に出ようとした。
店に入った数分前は晴れていたというのに、今では数歩先が真っ白に見えるくらいの大雨だった。
どうやら今しがた降り始めたらしく、突然雨に降られた若い男が頭を庇いながら、目の前を走り抜けて行く。
そんな彼の足音も、腹の底まで響く大きな雨音にあっという間に搔き消された。
ただでさえあまり顔を合わせたくない相手と一緒だというのに、こんなにわか雨で足止めを食らうとは、本当に今日はついていない。
山姥切は土砂降りの空を見上げて、自分の不運にうんざりして溜息をついた。
「偽物くん傘は持って来ていないのかな」
「持ってきていない」
「はあ、気が利かないな」
「あんたも忘れて来ただろう、お互い様だ」
山姥切は入口から万屋の中を見渡して傘が売っていないか探してみたが、売っている傘を入れている籠の中は空っぽになっている。
どうやら売り切れてしまったようだ。
「こんな時に限って傘も売り切れているなんて……はあ、運が悪い」
写しと相合傘なんてごめんだが、一本でも残っていたらさっさと本丸に帰れただろうに、これはしばらくここで雨宿りするしかない。
山姥切はその事に二度目の溜息をついた。
店に入った数分前は晴れていたというのに、今では数歩先が真っ白に見えるくらいの大雨だった。
どうやら今しがた降り始めたらしく、突然雨に降られた若い男が頭を庇いながら、目の前を走り抜けて行く。
そんな彼の足音も、腹の底まで響く大きな雨音にあっという間に搔き消された。
ただでさえあまり顔を合わせたくない相手と一緒だというのに、こんなにわか雨で足止めを食らうとは、本当に今日はついていない。
山姥切は土砂降りの空を見上げて、自分の不運にうんざりして溜息をついた。
「偽物くん傘は持って来ていないのかな」
「持ってきていない」
「はあ、気が利かないな」
「あんたも忘れて来ただろう、お互い様だ」
山姥切は入口から万屋の中を見渡して傘が売っていないか探してみたが、売っている傘を入れている籠の中は空っぽになっている。
どうやら売り切れてしまったようだ。
「こんな時に限って傘も売り切れているなんて……はあ、運が悪い」
写しと相合傘なんてごめんだが、一本でも残っていたらさっさと本丸に帰れただろうに、これはしばらくここで雨宿りするしかない。
山姥切はその事に二度目の溜息をついた。