布つくも
レベリングが進んでいる刀剣男士には、審神者から極となる為の修行に出る事を許可される。
この本丸では既にカンストをしている刀達も多いので、修行に出られる刀から次々と修行に旅立っていった。
修行を終えた刀は、皆戦装束を一新させてこの本丸に帰ってくるが、決して今まで使ってきた戦装束を捨てた訳ではなく、各々自分の部屋に大切にしまわれていた。
そして極となった刀剣男士の数が増えて来た頃、本丸の中では最初の方に修行に旅立った国広の布にそれが起こった。
朝から内番の当番が振られていた国広は、朝起きてジャージに着替えると、いつも纏っていた布がなくなっていた。
極になった大きな特徴であった布を出陣で纏う事は無くなったが、内番の時だけフードを被らない状態で纏っていた。
なので内番がある日は、必ず寝る前にジャージの隣に綺麗に畳んで置いていたのだ。
「どこにいったんだ……ん?」
国広が布を探していると、視界の端に何かが動いているのが見えた。
一体何だとそれに目を向けてみると、国広の布が部屋の隅っこでひらひらと動いていたのだ。
「は……?」
寝起きの回っていない頭のせいか、理解が追い付いていない国広は気の抜けた声を上げた。
国広が起きた事に気づいた布は、驚いた様に飛び上がって、近くにあった文机の下に隠れたが、彼から逃げようとしている訳でもないらしく、彼の布は文机の下からこわごわといった感じで、頭とも言えるだろうフードの部分だけ出して、国広の様子を伺っていた。
「お前……まさか動けるようになったのか?」
その日を境に一部の極になった刀達の極前の戦装束の布と、極になっていないのに何故か山姥切の布がひとりでに動くようになった。
聞いた事のない現象に驚いた審神者が、慌てて政府に問い合わせた所、付喪神である刀剣男士達に数年使われてきた事で、彼らの戦装束も付喪神化したのではないかという解答が帰って来た。
特に害があるわけでもないらしく、このままでも大丈夫だろうという事で、付喪神化した戦装束達も次第に本丸の日常に馴染んでいった。
『饅頭』と名付けられた国広の布は大人しく人見知りな性格らしく、ほとんどの時間は国広の足元をうろついている。
頭ともいえるフード部分を撫でられるのが好きな、少し甘えたな部分もあるらしく、特に国広や山姥切の布である『一反木綿』に撫でられると、照れくさそうな仕草を見せる事があった。
「偽物くんの可愛げは、この布君が全部取っていったみたいだね」というのが、そんな饅頭の様子を見ていた山姥切の感想だった。
ちなみに一番最初に布が付喪神化した国広は、何故か他の刀剣男士の付喪神化した戦装束に懐かれており、国広もそれはまんざらでもない様子で、それら一つ一つに独特な名前を付けては彼なりに可愛がった。
この本丸では既にカンストをしている刀達も多いので、修行に出られる刀から次々と修行に旅立っていった。
修行を終えた刀は、皆戦装束を一新させてこの本丸に帰ってくるが、決して今まで使ってきた戦装束を捨てた訳ではなく、各々自分の部屋に大切にしまわれていた。
そして極となった刀剣男士の数が増えて来た頃、本丸の中では最初の方に修行に旅立った国広の布にそれが起こった。
朝から内番の当番が振られていた国広は、朝起きてジャージに着替えると、いつも纏っていた布がなくなっていた。
極になった大きな特徴であった布を出陣で纏う事は無くなったが、内番の時だけフードを被らない状態で纏っていた。
なので内番がある日は、必ず寝る前にジャージの隣に綺麗に畳んで置いていたのだ。
「どこにいったんだ……ん?」
国広が布を探していると、視界の端に何かが動いているのが見えた。
一体何だとそれに目を向けてみると、国広の布が部屋の隅っこでひらひらと動いていたのだ。
「は……?」
寝起きの回っていない頭のせいか、理解が追い付いていない国広は気の抜けた声を上げた。
国広が起きた事に気づいた布は、驚いた様に飛び上がって、近くにあった文机の下に隠れたが、彼から逃げようとしている訳でもないらしく、彼の布は文机の下からこわごわといった感じで、頭とも言えるだろうフードの部分だけ出して、国広の様子を伺っていた。
「お前……まさか動けるようになったのか?」
その日を境に一部の極になった刀達の極前の戦装束の布と、極になっていないのに何故か山姥切の布がひとりでに動くようになった。
聞いた事のない現象に驚いた審神者が、慌てて政府に問い合わせた所、付喪神である刀剣男士達に数年使われてきた事で、彼らの戦装束も付喪神化したのではないかという解答が帰って来た。
特に害があるわけでもないらしく、このままでも大丈夫だろうという事で、付喪神化した戦装束達も次第に本丸の日常に馴染んでいった。
『饅頭』と名付けられた国広の布は大人しく人見知りな性格らしく、ほとんどの時間は国広の足元をうろついている。
頭ともいえるフード部分を撫でられるのが好きな、少し甘えたな部分もあるらしく、特に国広や山姥切の布である『一反木綿』に撫でられると、照れくさそうな仕草を見せる事があった。
「偽物くんの可愛げは、この布君が全部取っていったみたいだね」というのが、そんな饅頭の様子を見ていた山姥切の感想だった。
ちなみに一番最初に布が付喪神化した国広は、何故か他の刀剣男士の付喪神化した戦装束に懐かれており、国広もそれはまんざらでもない様子で、それら一つ一つに独特な名前を付けては彼なりに可愛がった。