【完結】僕らのフェアリーテイル

「私が作ったアクセサリーだわ…!」

タブレットで動画サイトを覗いていたら、『今日のニュース』という番組のサムネイルに巻き貝のストラップが大きく映し出されているのが目に留まる。自分の作ったものを本当に誰かが使ってくれているのかと思ったら嬉しくて、興味本位でそれを開いてびっくり。『変な形だけどそこがいい!』と、思いも寄らない言葉で紹介されていたから。実は私自身、お花の形やハートの形のパーツはないんですか、とアズールさんに聞いたことがあったのだけど、僕はこれがいいと思うのですがおかしいですか、と逆に詰め寄られて言い返せずに過ごしていたこともあって、やっぱりそうなのねと少ししょんぼりしてしまった。
アズールさんは巻き貝モチーフにとても強い思い入れがある様子だ。私にも金色の巻き貝のネックレスをくれたくらいだから間違いない。私はそれが気に入らないとかそんなことは全くない。でも、壊れてしまったら生きていけないと机の上に飾っていたら身につけているところが見たいと強請られたことすらあって、すごく大事なものなんだなと感じたのは記憶に新しい。

「…どうしたらいいのかなぁ…。好きなものに対して異見されたら寂しいものね」

そんな風に頭を悩ませたけれど、理由はどうあれ皆が手に取ってくれている、使ってくれているのなら、私が目を瞑れば良いだけかもしれないと思い直した。
数年後、アズールさんが学校を卒業すると同時に私を海に連れて行ってくれた際、そのネックレスがご実家に代々伝わる大切なものだったと教えられるまで、私がそのモチーフの重要さに気づかなかったというのは、まだまだ先のお話。
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