氷肌玉骨 ~氷のような君との物語~
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引退して5ヶ月、年が明け、無事に元気な女の子を出産した。
生まれたばかりの娘は亜麻色寄りの茶髪にグレーの瞳をしていた。
私は娘を見た時に亡くなった父方のウクライナ人の祖母の色に似ていた。
私はロシア人の祖父と父に似て、金髪碧眼だが、この子は祖母譲りで隔世遺伝だった。
ヨシキさんは私の性格を知っているから、私が浮気をしているのを疑いはしなかった。
この子の名前は「優璃」と名付けた。その4年後に我が家に初めての男の子を出産し、「亜藍」と名付けた。ヨシキさん似だけど、目元は私似で髪の色はダークブロンドだけど、目の色は琥珀色だった。
ヨシキさんはバンドメンバーであり、幼なじみのトシさんが倒れ、メンバーさんと話し合った後、バンド活動を休止した。
ヨシキさんは私に謝ってはいたけど、
「少しは期間を空けた方がいいと思いますし、ずっと、ギスギスしたままじゃ返って、悪影響です。」
と笑顔で言うと彼はホッとした表情をした。
私はわかっています・・・。あなたとトシさんが、Xでの活動の時にギスギスしていたこと・・・、無理だと分かっていて、トシさんをキツく当たり、あなたがイライラした状態で、ヤバいことになっていたことを・・・。
けど、トシさんは10年後に戻ってくるとミキさんがそう言っていた。
「”ミキは昔から予知能力みたいなのがあるの。ミキが言った事が現実になっているけど、大半は悪い予感ばっかりで良い予感が当たるのは稀だって。”」
とミキさんの友達である七海が言っていた事を思いだした。
「”初めて言われた時は信じられなかったけど、本当に現実に起きて、俺たちは何度もミキに救われたんだ。トシとかも舞台で共演していた女優と付き合っていたけど、ミキの予言で別れたんだ”」
ヨシキさんもそう言っていた。その頃のヨシキさんはバンドへのプレッシャーと家族との裏切りとも言える行為とか悩まされていて、この件が理由でトシさんは家族と疎遠、音楽活動をしばらく離れた。
あ、ちなみに家族とはちゃんと和解したらしい。家族も今までの事を謝罪した。ミキさんが叱ってくれたおかげで。
バンド活動休止から10年後。ミキさんの予言通り、Xの活動が再開。念願だった世界進出をし、ワールドツアーも行うことができ、私はヨシキさんの夢が叶ったんだと感激した。
一方の私は引退後、女優として活躍し、現役時代に高卒認定、興味があった免許を取得ができ、元々勉強が大好きだったため、数々のクイズ番組に出演している。
結婚20年目の時に私たちは結婚式を挙げた。歌音がデキたこともあり、仕事が忙しかったこと、色々あったから式を挙げられなかった。
そしたら、ミキさんが「今からでも遅くないし、ちょうど20年でしょ?結婚式挙げれば?」って提案してくれた。
まさか、この年でウエディングドレスを着られるとは思わなかった・・・。けど、嬉しかった・・・。
ヨシキさん、こんな私を出会ってくれて、選んでくれて、愛してくれて・・・、ありがとう・・・。
天国にいるお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん・・・。そして、おにいちゃん・・・。私は今、すごく幸せよ・・・。
終わり
